てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

今度こそロンドン暴動

―の話なんですが、暴動の本質の話、分析が長すぎて40000超えて駄目になりました(゚Д゚ )。先にこっち書きましょう。ロンドン暴動事態については知見もありませんし、そんな大した事言うわけでもありませんが。こっち先に。

 

 

【警察の予算獲得のためのあえての対応遅れ?】

 己がいくつか気になったのは、なぜここまで警察の対応が遅れたのか?以前にも小規模なものはあって、フランスでもあったように全く想定できないはずがない。とするなら何らかの対策が取られ手おり、大規模なものに発展する前に出動してある程度は抑えられると考えるのが普通でしょう。それがこんな大規模になるなんて普通はありえない。財政危機で当然警察の予算が削減された。そして今後もその傾向は強まりますから、その影響と考えるのが筋ですけど、警察の官僚がわざと今後の予算を確保するためにあえてほうっておいたのではないのか?という疑惑を当然抱くと思うんですけど、その点どうなんでしょうか?

 

 また黒人社会に対する麻薬取締がきっかけであり、それが捜査の正当な法プロセスを逸脱していたわけで、その抗議がまずあった。本当の売人だとしてもイギリスほどの国家が正当な手続き、デュープロセスを逸脱するなんてことありえませんからね。黒人に対しては法手続など関係ないというのか!という怒りが爆発したと見るべきでしょうか。そこらへんの不手際があり、まずその対応に手いっぱいになってしまって、治安に割く人手が足りなくなった。結果このような統制のない、頭のない群盲的な暴動につながったと見るのが自然ではないでしょうか?今回の原因、発生の一番初めに来るのは警察の不手際がまず真っ先に来ると考えられると思うんですがね。


【生きていけない階級から、国家に寄生する階級まで参加した暴動】

 ワーホリしている人のあるブログを見たら、ブロックごとに全く違う生活をする集団が住んでいるそうです。社会にうまく溶け込んでいる人や、そうでない人。福祉大国で何の苦労もせず、仕事もせずに生まれながらただ遊んで暮らすという変な階級が生まれているといいます。

 イギリスでピンときたのは確か13か15くらいのカップルが妊娠・出産したという社会問題。これだけならともかく、こういうのがさして珍しくなく、当然のこととして常態化してしまっている。だからこそ若い家庭が多いゆえに生活が苦しくなったりして、マフィア文化の温床になる。あるいは前述のように不当利権として、働きもせずに金だけもらって生きている。暇だからマフィアになる。働きもせず、金だけもらっているからこそ若すぎるカップルの出産に非難が集まっていたのかな?と今から考えるとそんな気もします。

 階級・価値観・人種が多様な人達がブロックごとにより合って住んでいる。そこに社会的融合はおそらくないのでしょう。以前アメリカの問題で指摘したそのままで、アメリカ教・アメリカ人といった融合の結果新宗教・人種が生まれていない国家としての力・魅力のなさであると言いましたが、そっくりそのままイギリスのこの問題に当てはまると思います。

 

【暴動の背景】

 どこを見てもパーティー気分で罪のない商店を焼き討ち・略奪していた、そんな報告が目についたと思います。まあ、そりゃそうでしょう。それをもってくだらないとかけしからんとか、当然誰もが思うこと。それ以上に重要なのはなんなのか考えなくてはいけませんね。

 背景にあるのはなんといっても失業率NHKでは24歳以下のそれが19.6%で、全体では7.7%といってました。つまり確実に世代間の対立があるわけですね。若い世代に社会のツケが集中してしまっているわけですから、希望が失われて自暴自棄になっていると言えます。確かイギリスの人口ピラミッドは大体20~30と40~50の世帯が突出している構造だったと思います。この2つがほかと比べボコッと出ている。青年対中年そういう配分是正を求める無言の訴えと解釈できるでしょう。そういえば学費も削減されて、ふざけんな!と学生が暴れてましたしね。

 

 次に連想したのはやはり、真っ先にノルウェーの事件でした。これは白人青年が移民制作や社会の融合政策に対して反発して引き起こした事件であって、移民してまともな取り扱いを受けないがゆえに暴動に発展するという図式の真逆ですね。しかし、この事件が示唆するのはひとつの社会の中に、2つの異なるコミュニティが融合することの難しさを象徴する出来事ですね。新しい社会が誕生する過渡期での痛ましい出来事と将来振り返ったとき見いだせるのならいいのですが。社会のイスラム化に対する反発。そしてそれをすすめる政権・その支持者たちに対するテロ。

 冷遇されるのは移民だけでなく、移民によって自分たちの住処・役割を奪われると感じるその移民のすぐ上にある階層。かといって実際にデータを分析したりすれば、そんなに迫害されたり、職を奪われたりというような事態はそこまで起こっているとは思えないんですよね。移民を入れるときに一番慎重になる点ですから、単純労働力を入れて、違う問題がおきましたでは話にならない。だから相当慎重に進めているはずで、密入国が取り締まれない、現地マフィアが巨大化してどうにもできなくなったというならともかく、そこまで深刻な社会問題化していたわけでもないでしょうから。

 大体こういうケースで本当の問題は社会からの迫害感・疎外感だと思います。自分が社会から必要とされていない、排除されている。どこにも居場所がない。それを多分社会のイスラム化という事を理由にして、ああいう形になったのでしょうけど。フランスとかならともかく、ノルウェーでそうまでひどいとは思えませんしね。それよりはEUという巨大な経済圏によって生まれた歪みのほうがはるかに大きいと思うんですけどね。

 自分が所属していない他のコミュニティに問題の責任を押し付けるというのは今後も起こると言えるでしょう。

 

 そしてロンドンはノルウェーのように自己の所属する階級・階層以外に問題を押し付けた、暴発したという形でしょうか?ロス暴動のように黒人が韓国人を襲撃したでしょうか?特定の階層・人種の対立・攻撃ではありません。被害にあったのは高級商店、上の階層だけでなく、一般的な商店もそうでした。下層が下層を攻撃するという共食いのような歪んだ事態でしたよね?いったいこれが何を意味しているか?


【正当な抗議→暴動ならいいのか?】

 たとえば、今回の暴動は何の主義主張もなく、暴れただけということを言う人がいました。だから正当化も、評価も出来ないと。そりゃそうなんでしょうけど、その暴れまわるような背景にいったい何があるのか調べないと。そもそも主義・主張のない暴動っていままであったでしょうか?マスヒステリーですか?成熟した民主主義国家のイギリスで、このようなことが起こる。このようなことがまかり通る。この事実に驚かないのは何故なんでしょうね?己はモラルなき暴動を見て、当然アノミーを連想するんですが、狂気・狂人に陥ったとは見ていません。

 面白いのはイギリス人でさえ、警察はなんとかしる!もっと強行に鎮圧しる!という叩いてしまえホトトギスのようなことを言っていた点だと思います。物事の本質は最近の若者は!けしからん!みたいなところにあるわけではないでしょう。軍隊でも教会でもボランティアでもさせて叩き直してこい!という例の主張にたどり着くのでしょうか?

 

 今回の暴動がより深刻なのは、その主義も主張ない点、論理性なき暴動になった点でしょう。民主化を要求、裁判のやり直し、労働問題etc....そのような正当化出来る理由があって、暴動に発展したのなら、機動隊と衝突とかならこれまでの事態の延長線上ですね。しかし今回は全く違いますよね。それは大衆運動の組織化の失敗。日本社会の『孤人化』に共通することでもあります。『孤人化』すると閉鎖的な社会に生きますから、社会とつながる正当なシステム・ルールを知らずに、行動が暴走する。そういう傾向があります(日本の場合カルト宗教に救いを求めて、『孤人化』を脱っして宗教教団の中に生きる「社会」を見出しましたね。脱『孤人化』だけならいいですが、その後自分たちの「社会」こそが正しく、既存社会は狂っているとして自分たちの「社会」にとって変わられるべきだと破壊活動にまで展開していきましたね。この傾向は今後も続くでしょうね。

 日本のような個人が政治から遠いような環境にあるならともかく、イギリスはかなり近い。そのような国でさえこうなっている。つまり簡単にもう政治を通じて問題を解決できなくなっている。政治が複雑化し、単純に問題の解決を要求して投票などしても、まずその声が反映されない。社会に変革性・革新性、イノベーションや階層の流動化・入れ替わりそういうことが起こらなくなって停滞している。はじめから這い上がれない社会になっている。その絶望ゆえ努力すら放棄の対象になってマフィアになっている。スラム化&マフィア化が進んでいる。今回の暴動とはそれを如実に証明した。己なんかはそうとしか思えないんですよね。

 そもそも、正当な抗議活動をする気力さえわかない、はじめから諦めている。今の現状がどういう社会で、どういう秩序ある抗議をすればいいのかすらそもそもわからない。だからこそ、このような何かのきっかけで普段のフラストレーションを爆発させるという事態に陥っているのではないか?

 

 その背景には絶望的な格差があり、生まれた瞬間から未来に限界がある。超えられない壁ができてしまっている。だからこそこのような事態になったのではないか?そもそも自分たちがどういう正しい行動をすれば、今の状況を変革できる、それすら理解できていないという大衆を生んでいる社会になっている。何をすればいいかわからない、さらにそういう彼らを教育したり、支援したりという有効な手段がない。それこそが本当の問題でしょう。単に豊かでモラルのないバカなガキも参加しただろうけど、それは本質からはるかに遠い。むしろそういう豊かなガキがマフィアに参加していること、そのマフィア社会くらいしか這い上がれない階層と結びつく社会結合・連帯がないこと。それが本当の社会病理ではないのか?

 ※ このはてぶの記事にしっかりイギリス事情が解説されてますね。こちらを参考にどうぞ。

 カウンシルフラットという低所得者層が住む公営住宅がある。この階層の親、子供は働かない。働けニートという問題ではない。働くということ、誰かの役に立つことでそこに生きる道を見出す。貢献することで社会から名誉を人はもらう。その名誉をもらえない、与えられない。そういう人間がゴロゴロしている。必然的に社会との関係性も薄くなる。こんなところにも社会からの疎外感・距離感を見いだせるでしょう。なんどでもいいますけど、社会から阻害されたと感じれば、距離感があればあるほど、人は暴走・狂人化します。

 

まあ、こんなところでしょうかね?ちゃんと調べてないから、とりあえず思いつくことを書いてみたんですけど。あとツイッターで面白いなというつぶやきがあったので紹介させて頂きます。

 

よこやまじゅん
 

 

 

教育のサービスが受けられず、仕事は海外へアウトソーシングされ、ユースセンターなどの社会との接点を社会や経済、財政によってどんどん切り崩され、市民であることを辞めざるを得ない状況の人間が大都市の中に存在する。もう市民社会とは別の社会に生きている人間がいると思ったほうがいい。

 

 

 

彼はむしろ暴動に参加していたティーンの人たちよりも、彼らの親世代と同じ年代とあって、彼らの親世代がどう感じているか、どう見ているかという事を教えてくれた。もう暴動に参加しているギャングはおろか、それに追従していた若者達と親たちはほとんど連絡を取り合えていない様な状況らしい。

 

親としては教育を受けさせる事もできず、仕事を見つけられる様な時代にしてあげるようにも出来ず、そして子供の連絡先も知る事もないまま、家に帰ってこない。そして暴動に乗っかってしまっている。本当に悔しい状況。お金がない状況、子供をどうしてやることもできない。

 

絶望しているのは暴動を起こした子供達だけじゃない。貧困や社会的な排除、教育を子供に受けさせてやれない親世代も本当に絶望してる。この暴動を自己責任や私利私欲によって説明しきれる訳ない。もちろん暴動や窃盗を賛美するわけじゃない。けど、それしか方法がなかったらぼくやきみはどうする?

 

よこやまじゅんさん引用させて頂きました、ありがとうございました。m(_ _)m

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06 地球の歩き方 aruco ロンドン 2018~2019 (地球の歩き方aruco)