てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

落合監督辞任について

名古屋大など国際研究グループのニュートリノの実験を行ったところ、ニュートリノの速度が光を上回ったという。門外漢だが、アインシュタイン相対性理論によれば物質が光を超えることはない。ニュートリノはこれまで質量はないものと思われていたが、日本人学者の実験でわずかながら質量が存在することが確認されていた。たしかこれはものすごい発見で結構なニュースになったはずである。

これまで物質は光の速さを超えることはないというのが相対性理論の前提であり、その大きな常識が覆されかねない発見である。さてさて、光の速さを超えることができない故にタイムマシンも成立せずとなっていた物理学の常識が覆ってタイムマシンができるんじゃないか!などと騒ぎ立てることになっている。0%の可能性が、0ではない=理論上ではできるかもしれないになっただけで、気が早いなぁ…、と思わずにはいられない。少なくとも50年や100年そこらでできるものでもないだろう。

そんな話はさておき光の速さを上回るニュートリノの実験結果から比べれば取るに足らない話なのかもしれないが、落合監督辞任の件についてだ。

結構巷では辞任(というよりは契約満了、更新なし。こういう場合なんと表現するのが適切か…表現に苦しむ)の話題が盛り上がったようだ。少なくとも一年でコロコロ変わるどこかの総理のクビよりかはよっぽど威厳があり、権威がある。そういうことなのだろう、文句なしの抜群の成績も残したし。であるからこれだけの実績を残しながらなぜ球団は契約更新をしないのか、続投を要請しないのか?ちょっと話題になったわけだ。

しかし、己は別にまあそんなものだろうな、ありうる話だと十分納得する話だと思った。信賞必罰の原則からすると見事な成績を上げている落合監督を辞めさせるなんて!けしからん!と中日新聞社人間の鎖で囲んで、フジ偏向止めろ!デモばりの人間集団でヤジるところだが、これには別のロジックが働いているため、そんなブチ切れる事ではない。

落合監督の成績を見るまでもないが、一応記すと8年連続Aクラス・日本一一度(53年ぶり)・リーグ制覇三回という輝かしい成績。しかもAクラスと言っても一度三位になっただけであとは二位が四回という毎年優勝争いをしたチームなのだから、これよりすごい実績はあるのだろうか?といぶかしんでしまうレベルだ。川上V9のような黎明期はもちろん別のはなしだ。近代野球が確立されてから常勝軍団を作ったのは西武とヤクルトとダイエー(そしてそれは現ソフトバンクに受け継がれている)くらいではなかろうか?

もちろんパ・リーグセ・リーグは違う。巨人中心の腐れリーグとは違ってパは毎年争っているんじゃい!と言われれば言い返し様がない。中日は星野時代からナゴドという球場を見ても分るように守備・投手で勝つというチーム方針が確立しており、元から弄る必要がなかったという恵まれたチームを率いたという素養も割引く必要があろう。それでもその後8年にわたって常勝軍団を率い続けたのは特筆に値すべきことだといえよう。

ではなぜ落合最終シリーズ、落合ファイナルなのか?ファンサービスの欠如とか、観客動員減少、勝利至上主義の限界などというアホがいた。まあ取るに足らない説だが、監督がチームを勝たせるのを第一に置くのが当たり前だ、落合は落語家ではないまんじゅうこわいなどとテキトーな小話をして客が毎年5000も10000も来る、アップするならいいが、そんな酔狂な客がいるわけもない。サーカスを見に来ているわけではない、プロ野球を見に来ているのに肝心のプレーがおなざりで一体誰が見に来るというのか?少なくとも今セリーグで見たいという野球、しっかりした野球をやっているのはヤクルトと中日だけだろう。ドアラブームで分るように、球団も客を呼ぶには経営戦略としていろんなことを模索して企業努力をしたのだろう。こんなのは誰がどう見てもセリーグの体質の問題と、球団の経営の問題であろう。落合が何をどうして客を増やせるというのか?客を増やしたければ、ジャニタレでも韓流スターでも監督にすればよろしい。

本質は球団経営の健全化であろう。巨人・阪神・広島しか黒字がないそうだ。いくら強くても赤字であれば企業として何とかせねばなるまい。企業である限り黒字を追求するのは当然のことだ。そのため3億7千万という日本一の監督にふさわしい高年俸がネックになるのは当然の話だ。ノムさんも高年俸がネックになった。楽天とはちがい強いチームとしての下地があり、黄金時代を経験した中日が多少負けてもいいといえば言葉がおかしいが、それなりの監督でもいいと考えるのは至極当然の発想であろう。

選手がようやく俺の言う野球をわかってくれた。自分たちで動くようになってくれたと8年目の今年になって言っていた。人を作るというのはそれぐらい時間がかかること。無論それまでもできてはいたのだろうが、落合自身で納得できるレベル。もう自分があーだこうだ言わなくてもいいなというレベルにまでなったという話だろうと勝手に思っている。

落合野球とは己は常識野球、不動心野球だと思う。①プロとして高い技術を身につける②当たり前のことをきちんとやる。高い能力を備えたものがきっちり当り前の仕事をこなして淡々と勝つ。シンプルに見えてこれをやるのは難しい。地味なことをきっちり確実にやっていくことほど難しい物はない。短期なら派手な戦力だけで十分勝てるが、長期を見据えれば絶対にこういう地味な野球が強い。ペナントというゲームを何回やってきたかは知らないが、経験則としてこの黄金律を否定できる野球人はおるまい。豊富なタレントを集めて圧倒的戦力で勝つ、これも真理だ。重要なのは戦力と戦略・戦術の常識両方を兼ね備えること。どちらか一方に偏るセリーグにおいて両方を兼ね備えたのは中日だけだったと言って間違いない。もちろん今年の戦力が完璧だったわけではないから、特に打線において、ここまで苦しんできたわけだが。

落合という人間を尊敬してその話を機あるごとに見て、考えを理解しよう・吸収しようとしてきた己が予想するに、今回の「分かりました」というのは、落合自身十分あり得るだろうな、ああきたか―そんな感じで受けとめたのではなかろうか?そう思うのだ。契約世界に身を置く以上、向こうがもう契約しませんよといえば、はいそれまでの世界ということを何度も強調してきたし、強いチームを作った誇りがある。8年というのはここ最近の監督事情を見れば異例とも言える期間、変な感傷を持ち込まずにただその結果を淡々と受けとめたと思う。

チクショー口惜しー!見返してやるとか、日本一になっても契約しない!こんなことは初めてだ!なんていう事も言わない。最初っから契約で一年限りの延長と、どうあっても今季限りと決まっていた。それは最近まで知らなかったが。そもそも最初は三年契約でそれ以上はないはずだったのだから、ちょっとイチャもんがひどい。ノムさんの言い方は。それもいつまでもしつこく言っている…。ノムさんの高年俸を四年払い続けるというのは新球団からすると基礎を築いてもらってありがとうございました、サヨウナラは、どう考えても常識・セオリーであろう。TBSみたら解任の理由がさっぱりわからんとぼやいてた(笑)。んでやっぱり間が悪くて、女子アナに打ち切られた。これも最早お約束か。

そんな話はさておき、球団の赤字経営改善に次の監督は70のつなぎの高木監督。てっきり高木豊さんだと思って、ああ、あの人か。テレビ受けして名古屋でなんか人気でもあるのか?と思ったら全然知らない。どうもミスタードラゴンズらしい。実力主義で球団のコネに基づいた人事をススメなかった落合流が邪魔だった。ドラゴンズOB主導の人事に戻したい、というかOBの天下りを増やしたい。そういうことでしょう。現役時代ならともかく、コーチ監督でどれくらい客を呼べるのか…。まあ、直接やったら露骨だから、もう一人の若いミスタードラゴンズ立浪新監督でやろうとするでしょう。少なくとも話題性という点では、へぇ~とか面白いところはあります。イチローとか川上呼んでくるとか…。まあそれが強さと両立するかは置いといて。

今後は話題を何かと先行させて少しでも企業努力をして黒字を増やそうとするであろう。まあその路線がどうなるか見物なので見守ろう。

それよりも気になるのは落合の今後だ。もちろん本人の意志がわからないので語れはしないが、横浜・阪神・巨人が動くのは間違いない。少なくとも候補の一人としては確実に上がる。みるみる痩せてきたところからしばらくは休んで、健康面で不安がないようにリラックスして欲しいと思うのだが、落合ほどの常勝監督というのはいないため三年でもやってもらえば強いチームの基礎作りをしっかりやってくれる。弱小・常勝関係なく球団を渡り歩くことになるのではなかろうか?

本人がヤクルトと日ハム最後の球団を選ぶとき強い球団を作るんだ、そのため是が非でも落合に来て欲しいという総意があった。だから落合は日ハムを選んだ。ガッツが落合を師と仰ぐように、今の日ハム・常勝軍団の基礎の一部には落合のプロフェッショナル精神があるわけだ。とすると巨人・阪神は江川・梨田がいて、落合が動く理由があるとは思えない。特に江川を高く評価している落合が、江川を追い落とすようなことをするだろうか?(あるなら三年限定で私のあと江川と確約してくれればいいですよとか、江川・桑田コーチ込の話だろう。うーんこれなら文句ない人事だなぁ…)。落合流を実行しようとしてもすんなりできるかどうかも不透明。しかし横浜はどうだろうか?横浜なら、5強1弱どころか、2強(ハム&鷹)9中1弱の、一番遥か後方・あさっての方向に行ってしまっている球団だ。

もし、球団再生が本格化して、地方移転で地域密着&親会社が変わってダメフロント一掃・将来のGM込で落合監督ならこれ以上ない路線だろう。ちょっと、国民栄誉賞を狙っているという話があって、もちろん胡散臭い話なのだが、それなら巨人監督→WBC優勝という方向性だろう。しかし未だWBCが機構としてもきっちりしたものとして確立したとは言えないし…。いずれにせよ不透明この上ない。己は落合は将来のコミッショナー日本野球機構強化のために動く中心人物になる=野球界を清浄化させるキーマンになると思っているから、パだったり横浜だったり、巨人だったりどんどん監督を手がけていく、そういう流れになると希望的観測でとりあえず締めくくる。

追記、そういえば阪神は外様のノムさんをあっさり追放したし、すんなり野村イズムを取り入れようとはしなかった。それをみて落合流が出来るだろうか?落合が引き受けるだろうか?金銭面の問題もある。阪神・巨人くらいで親会社変わった横浜が果たしてそれを出すことが出来るかという方が問題が大きい。球界経営は一寸先は闇、ワンリーグもまた出てくるだろうし…。いずれにせよ強いチームだけではなく経営という事を考えても落合という男に球界の未来が見える興味深い辞任騒動・辞任劇であったと思った。