てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

吉本の乱 河本生活保護不正受給問題

かなり時間が経ちましたが、基本的なことをいくつか。

 まず、生活保護というものが、貧困が問題となり、200万人を超えた現在新しい取り組み・枠組みが急務だということ。なのにいまだに昔の拙いシステムを使い続けている。地方財源で生活保護・割り当てとなっているために、特定の地区に貧困が集中してしまえば、当然その地区は受けにくくなり、別の地区は大して深刻でなくても割りと簡単に通ってしまう。制度の不公平性の問題がある。

 かつ、今のようなシステムだと一旦降りるともう殆どフリーパス。入り口が厳しく出口が緩いという例の二本システムですね。変化への適応というものを念頭に置いていない。まず行政の制度の不作為というものがあること。河本を叩く前にこの制度は何なんだ!と根本をまず問うべきでしょう。一人の人間をクソ野郎と吊るしあげて溜飲を下げるのはまあ、いつもの話ですね。

 次に吉本の問題。吉本(きっぽん)の乱をよしもとの乱と読んで、面白いから、吉本の乱にしておこうと、吉本の乱と名づけますが、責められるべきもう一つの存在として吉本があることです。このことに意外と注目されない。

 例えるなら野球やサッカーのような競争原理が激しい業界。一流は高額報酬を受けるけど、そうでない二軍ぐらしはカツカツの極貧という世界。故にこういう世界では、以前触れたように年金制度の整備や成功しないで去っていく選手の将来の道を何とかしてやらないといけない。今のところ入った球団・人脈だよりという拙い現実がありますね。

 吉本のような世界・一大企業が失敗したら消えて行くというのはまだしも、その後の生活について何の保証もないまま放置するというのはやはり問題でしょうね。社員の生活について何らかの制度を考えておくべき。そうでなかったらこういう問題はいくらでも起こる。吉本の下のほうじゃ生活保護受けながら芸人やっているなんて人間がいてもおかしくない気がしますけどね。本人じゃなくても両親・兄弟とかいるんじゃないでしょうか?

 そういうイチゼロの世界に生きている人間を支援するような制度はあってもまったくおかしくない。ハリーポッターの作者の女性なんかたしかそういう手当を受けてましたよね。あれは児童保育かなんかか?忘れましたが。

 最後に河本本人について。己は彼がそんなに好きじゃない、というか嫌いな部類なので、これを機にテレビに出なくなってくれるならそれに越したことはないですが、そういう弾圧に近い排除の理論を一貫して否定してきました。ですからそういう主張はしません。

 しかしこれまでそういうふうにパージされてきた人間が何人もいる中、彼が大手をふるってテレビに出ていることに違和感を感じます。出すなということではなく、そのルール・基準は何なんだ?と言わざるをえない。それは吉本・大企業の人間だからでしょう?だからTVに出し続ける。ふざけるなという感じですね。

 芸人というのは一発屋でも、一度成功をしても人気がなくなったら、その後はクビで放り出されてしまうでしょうか?小島よしおはマックス月千五百万収入だったそうです。それでも彼は少なくとももらえるわけです。特許の全額ドカーンと振り込まれるような仕組みではなく、会社と契約する社員ですから。ましてや吉本と契約を結んでいる河本がその後生活に苦しむ、不安定になるということはかの会社が地方周りでがっちり仕事を掴んでいる以上ありえない。とんだ詭弁なわけです。テツandトモという少し前に消えてしまった芸人が地方興行ではしっかり生き残っている。食えているわけですからね。

 梶原とか弁明に母の住宅ローンという話を掲げていました。これについては本来資産価値がロスした以上、何らかの控除が受けられなくてはおかしいわけです。家屋に対する資産価値を査定する制度がないため、日本では住宅資産がバカ高い金を払ってすぐ十~二十年でゼロになるという無駄遣いになっている。そういう別の問題を露呈した話でもありました。

 これでじゃあ、それなら私も受けられるのか?と市役所に殺到したという話がありましたが、それなら日本中の家庭が控除ではなく、手当で欲しい。もらえるなら貰いたいと考えるのが当たり前です。むしろ、そういう制度を早く整備すべきです。住宅の資産価値向上と損失を手当・控除する。

 梶原のようなケースは本来そんなに簡単に下りる問題ではない。それで役所が認可を出すという審査のずさんさが本質であって、もしかしたら、窓口の人間とコネがあれば不正受給をしたのではないか?と疑いをかけられるレベルです。実際地方役所の親戚に審査をゆるくして認めていたなんてのがありましたし。全国一律で公務員関係者への生保を一度調べる必要があると思います。また宗教・政治団体関係者への認可もきちっと調べ直さないといけません。

 そんな話はさておき、河本ケースの続きです。彼の問題の本質は彼が社会上層に属する人間であるということです。芸能界・テレビに出ている人間は、基本社交界の人間=社会の特権階層に参加する可能性がある人間です。まあ、上の上でなくとも、上の中か下には間違い無く所属する。そういう人間が生活保護を受けるという事に対する問題感がまるでないということです。

 稼いでいるからもらう、貰わないという話ではないのです。社会階層の上にある人間として振る舞うべきルールがあり、それに違反したらもう社会上層にいられない。そういうのが当たり前であるのに彼らにそういう認識はないでしょう。そこが物事の本質なのですね。

 個人的なスキャンダルならともかく、税金関係は社会の上層なら絶対に犯してはならないタブーです。上層でなくても叩かれるのが当たり前。税金なくして代表権なし、税金こそが民主主義の基礎であるわけですから。

 そして社会の上層は常に社会奉仕、その与えられた才に成功の証である富を再配分しなくてはならない。そうしないと社会が崩壊しやすくなる、危険になるから。社会上層の人間が仮想の社会を見捨てない、無知・無関心であることはしない!社会に対して責任感を持つ!これこそ民主主義社会の革命という惨事を経た一大教訓なわけです。

 芸人仲間が彼について問題意識もなく、のへへ~んと擁護していたのもそういう認識がまるでないからです。問題は当の芸人という人間<class>に自分たちが特権階級の一部であるという認識がまるでないことなんですね。年長の人ではそういう意識がない人もまだ多いですが、権威・威光という点で芸人に対するそれがまだ不十分であると言えども、芸人はれっきとして社会の上層に食い込んでいるわけです。

 そういう認識がこの社会・階層にまるでない。よって同じ問題はまた何度でも起こるでしょうね。

 社会の上層にある人間が生活保護を受けていて、ルール上問題ないとかアホ極まりない発言ですね。彼は成功したのだから、巨額の富(中額?)を得たのですから、当然役者のさんの手当のお陰で成功できました、困らなくなりました本当にありがとうございましたと、自主的に全額変額すべきなのです。もしくは同じような苦しんでいる方への助けにと、寄付をするのが普通。

 今彼がクソ野郎かどうかなんてどうでもいい話。大事なのは今後、彼が社会問題に対してどういう意識・関心を持って行動するかということなのであって、叩いて魔女狩りは論外ですね。まあしかし今後どういった社会への貢献をするのかとかまるで聞こえて来ませんけどね…どうなっているんでしょうか?

 売れなくなって将来の生活が不安だから生保を受けていたら、それがきっかけでテレビに出れなくなってしまって生活できなくなったでござるの巻にというなんかのおとぎ話のようなオチになりそうです。落語でこういう話作ったらいいじゃないですか?