中国の日本大使襲撃の愚かさ
※短いけど、外交ネタなので備忘録として保存。
戦前、日本の目的とは中国との交易であった、自由貿易によって富を得ること。それさえ出来れば日本は中国に望むことはなかった。無論、領土的野心がないわけではなかったが、領土拡大を望めば国際協調から外れてしまい、より強国英仏、何より米と衝突する恐れがあったため、それを放棄していた。
戦前日本が大陸進出に至ったのは何より、世界恐慌以来のブロック経済で自由貿易が崩壊したことにある。だが、それでも大陸進出・暴支膺懲という方向に持って行かせたのは度重なる日本人駐留地域への襲撃、要人暗殺、協定無視であった。
度重なる侮日行為は枚挙にいとまがない。件の済南事件のごとし、それはさておいても反中感情の異常な高まりこそが日本の中国開戦の決定的要因となった点は見逃してはならない。
要人襲撃は、侮日行為と相まって、反中感情をかきたてることは間違いない。事実昨今の日本の反中感情は一つ問題として指導層の関心に上がっているほどだ。
日本人大使に対するこのような事件は単なる偶然ではなく、領土問題の延長・報復として行われた。今回さほど傷害事件として深刻なものでないからいいものの、大使という外交的に高い地位の人物が傷つけられるという行為そのものが、日本のメンツに傷をつけたことは言うまでもない。
これをさして大したものでないと放置するとどういうことになるか?言うまでもなかろう。中国側としてはきっとこれを表面上は大したことなく処理をし、のちのちこういうことがないように徹底的な対策を取るだろうが*1、日本の世論に与えた対中感情の傷は軽視できるものではない。
自由貿易というものがある以上、日中戦争などありえない。しかし法治国家・近代国家としての礼を守れない二流国というイメージが付いたこと。日本人にとって治安が良くないというイメージが付いたことがもつ意味は大きい。経済関係で重要な二国の深化が難しくなるだろう。
そしていざ、中国が国際的に孤立するとき、日本は中国を助けようなどという意見どころか、ほら見たことかとなるということだ。そして反中感情の高まりは暴支膺懲こそないものの、中国に対する非寛容的行動に向かわせるだろう。中露対立のとき、また天安門事件のとき、孤立する中国を救ったのは日本だった。そういう万一の救いの道を自分たちから遠ざけることになる、外交の選択肢を減らすことになる。このリスクを承知している民間中国人はどれほどいるのか?
まさに満州事変前夜の同じ過ちを中国は繰り返した。国際関係的に関係を深めこそすれ、国際紛争となる衝突要因・交戦事由を持たない=対立する要因がない二国間に摩擦をもたらした。愚かなり中国民意(まあ、流石に一部の暴徒をもってして、中国の民意とするのは問題があるか。敢えて言うなら、そういう暴徒を厳しく非難出来ない所ですかね。一般人に外交論理・常識なんかわからないですので、そもそも興味・関心すらないんでしょうね。一部のバカがなんかやってんなくらいで関心ないんでしょう。迷惑行為をきっちり叩いておかないと、後々厄介事を招くという発想すらなさそう。)。
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