てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

特定秘密保護法よりも議会政治の崩壊が日本社会の本当の危機

 今回の特定秘密保護法を見てわかるのは本当に、自分の政治スタンスが第一で、内容についてどうでもいいという人が多いということ。賛成派の自分としては、問題があるから賛成出来ない。ここで失敗したら、また10年単位で立法出来なくなるという危機感があるのだが、そういう危機感のない人が多すぎですね。

 この立法プロセスは消費税を初めて導入しようとしたプロセスに非常によく似ている。公開して広く周知して討論して説得する―このあたり前の原則を無視して影でこそこそやった結果、審議拒否という悪習が正当化されて日本の議会政治が大きく後退した。また消費税も以後タブーになった。その過程とそっくり。

 消費税を導入しようとした当時の担当者は、自分こそこの問題のプロ!素人ががたがた口を挟むな!という議会政治の何たるかを理解しないで突っ走ってあげく大失敗というざまでした。アホですね。取り敢えず法案が通ればそれでいい、その愚行が何を招いたか教訓が生かされていない。

 なにをぬかすか!通ったらそれでええんじゃ!勝てば官軍だ!というのはホント愚か者の発想で、まずそれは議会政治上ありえない発想であること。さらに今の状態を見たら野党がこれで共闘して対自民党のアイコン化する可能性が高いこと。成立しても野党再編で次に野党が勝ったら、子ども手当を児童手当に戻すことに拘ったように、狙い撃ちされるに決まってるではないか。

 野党が理性を発揮して、危険な部分だけ取り除いてこの方をまともなものに生まれ変わらせてくれるならそれでいいのだが、むしろそうなってほしい。だがもし万一何か野党間の調整、政策上の問題ですったもんだして結果、今回の特定秘密保護法だけはなんとしても許せない!これだけは絶対に潰す!ということになってしまったらどうするのか?今まで積み上げたものは一気にパアになってしまい。再び自民党でも他の政党でも政権を取ってこの機密保持に関する立法が出来なくなる。また必要な安保・外交上の立法に悪影響を及ぼし、本来重要な情報公開や文書管理などプラスになるはずの改革すらもまとめてタブー視されることになりかねない。

 そんなリスクを犯す必要はどこにもない。前回も強行採決で議会運営失敗したのに、これだから安倍さんは…。

 無論、野党はバカだから再編なんかありえず、自民党が負ける事も有り得ないという意見もある程度はわかる。今回の選挙で自民が絶対ではなくとも必ず安定した勢力を保持できると分かったから。みんなの渡辺もそれで与党に擦り寄った。しかし江田が離党して早速再編に乗り出したように、反自民の機運を盛り上げてしまった。それに自民の得票率は安定して落ち続けている。今後どうなるかはわからない。

 さらに今回の強行採決で法案自体、その当否はわからなくとも、大丈夫なのか?という不信感を抱く人がだいぶ増えただろう。改憲は賛成だけど、安倍政権では重大な決断を勝手に決めてしまうのでは?という恐れを殆どの国民は抱いたはず。改憲のためにも丁寧&慎重な姿勢が求められるのに…。

 安倍政権は言わずと知れた憲法改正を悲願とした政権。その安倍政権で改憲の試みが失敗したらどうなるか?当然政権の求心力は落ちるし、その次の政権で改憲は政権の命取りになりかねないと改憲については慎重になるだろうし、野党は目の敵にするだろう。日本の政治をまさに「取り戻す」改憲が死にかねない。民主主義を「取り戻す」どころか、その殺害に共犯者として関与するようなものですからね。なんでこんなずさんなやり方をするのか己には全く理解できない…

 個人的には、選挙で勝てるから議会の慣習を踏みにじる。憲政の常道を踏みにじるような政治をする政治家、政党はぜひ地獄のズンドコまで叩き落としてもらいたい。議会における政治の基本は、多数決ではない。多数決でなんでも決められるというのはナンセンス。それならば事実上の独裁であり、独裁者が何でもかんでも決めてしまうのとあまり変わりはないではないか。言うまでもなく討論における合意が基本。民主主義の基本なんですけどね、なんで知られていないのか…。

 仮に悪法であるとしても、担当大臣にしっかりした人物をつけ、十分期間を設けて討論をして、野党の意見を加えて修正をすればまだプロセスを守ったということで、その立法に正当性が付与されるんですけどね…、議会政治とはプロセスだということが理解できないようです。野党にも問題を修正すれば、賛成するという姿勢がちょっと足りませんでしたし…。

 特定秘密保護法が成立して、日本が危ない!なんていうよりも、拙い議会政治の方が見ていて、本当に危ないなという気がしますね…。与野党ともに議会政治とはなにかということを理解していないと思われる行動が多すぎる。議会政治が機能しなければ、民主主義はありえませんよ。これこそ本当の危機でしょうね。


※おまけ
 日本の秘密保護法は秘密に該当するかの規定が曖昧。イギリスではその基準作りを、閣僚・軍関係者、メディア関係者などを集めて詳細に決めた。90項目に渡って明確化されている。さらに他にも関連法制による拘束があると言います。あらかじめこういう風に厳格にやるべきでしたね。

 ちなみに民主党時代の方の強行採決が多かったってツイみましたが、まあ言うまでもなく、強行採決も度合いがありますからね。議会政治で取るべきステップ・手続きをあまりにも軽視していて、問題があるから騒がれているんだからね。同じ強行採決でも意味が全く違うわけですから。んで強行採決で議会の慣習をむちゃくちゃにしたのは民主党政権じゃなくて、その前の安倍政権ですからね。強行採決20回以上やりましたから。

 秘密保護法が施行されたからといって、いきなり何か重要な影響が出るわけじゃなく、通信傍受法のようなものとかセットになって大きな意味を持つ。合わせ技の要素が強いわけですね。ですから冤罪を防ぐために刑事のプロセス透明、厳格化を進めたり、濫用がないように改正することを次のまともな政権に望むしかないですね。

 安倍政権崩壊で野党との歩み寄りをするまともな人が自民党から総裁になったりしませんかね?安倍政権とは違う!ということをまず、法案改正をすることで示したりするようなことがあればいいんですけどね…。

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