てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

フォーリン・アフェアーズ・リポート 2011/12

フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年12月10日発売号/フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

¥2,263 Amazon.co.jp

前回、前々回で書いたもののあまり、そこまで深くコメントしなかったやつですね。まあ一応。

アメリカは変化するアジアの戦略環境にどう関わるか― 経済と安全保障のバランス /エヴァン・フェイゲンバーム

 ―だったかどうだったか?、ここのメモはどこの文章かわからなくなっちゃいました(^ ^;)。まあそんな大したメモじゃないからいいでしょう。

 前国防長官ゲーツは放埒な軍事予算を「準封建システム」、中央の予算分配を気にしなくていい封建領土のようになっていると批判した。

 戦術と軍事技術の変化で米の優位が損なわれつつある。対艦巡航ミサイルの拡散によって、米海軍が敵の沿海近くで活動しづらくなっている。先端型の地対空ミサイルも、空軍力の優位を脅かしつつある。小火器を手にしたナショナリストや部族のゲリラ戦もイラク・アフガンで有効。

 財政上軍縮は避けられないーこれに付きますね。

米軍事予算の削減と沖縄

― 「海兵隊の機能は日本の政治を不安定化させることでしかない」

/バーニー・フランク

 こういった認識がもっと広がっていかないと基地問題に、日米関係の円滑な進化・成熟化というのはありえないんですけどね…。なお道遠しという感じでしょうか。書いてある事自体はふつうのコトなので触れることはありません。タイトルそのまんまです。鳩山政権を追いやっただけだと。

マリオ・モンティはイタリアを救えるか/パオロ・マナッセ

 イタリアの危機は国内発。給料・年金・公用車などの政治カーストの特権剥奪(なんか公用車60万台とか聞くと中国みたいですね、中国政治とイタリア政治は共通点あったりするんでしょうか?)と年金詐欺の摘発に労働市場の二重構造の解消。中年の産業労働者が守られ、若者のサービス産業には保障がない。また女性の労働市場参入率は欧州最低。職業序列が存在し、職業の移動ができないようになっており経済コストが上がっている。改革によって20年に及ぶベルルスコーニとその仲間の腐敗と失政のダメージを修復すること。イタリア政治の問題・構造って日中に参考になる気がしますね。本当、欧州って感じしないですからね、イタリア。

疾病の蔓延が中国経済を脅かす― 中国は「アジアの病人」なのか

/ヤンゾン・ファン

 文字通りアジアの病人化する中国。医療コストが中国の軍を抑えこむというストーリーはどれくらいありうるかしら?米軍縮→中国も軍拡必要ない→満足な医療がいつまで経っても受けられない!→軍縮というストーリーが成立すると面白い流れではあるんですけどね。米としてはRetrenchment・後退戦略を実現するためにも、米の後退が中の後退を誘発したいものなのですが、そのためにどんな外交を尽くしているのか気になるところ。まあ、だからこそ今の島嶼紛争で米は頭にきているというところなんですが。

インドネシアBRICsへの遠い道のり

/カレン・ブルック

 インドネシアの話。まあネクスト11の話ですね。ゴールドマンサックスの「ネックスト11」、プライスウォーターハウス・クーパーズの「新興7」、 エコノミスト誌の「CIVETS=コロンビア、インドネシアベトナム、エジプト、トルコ、南アフリカ」など、将来の有望株のすべてにインドネシアの名前があると。スハルト以降、インドネシアは、「躍動的な民主体制国家」へ姿を変えたと。経済成長は年5%、対外債務は25%と周辺諸国の40~50%と比較しても突出して健全なレベル。選挙制度が最も民主的な評価なんですがそれはどうなんですかね?

 テロ・民族紛争に終止符を打ち、「バリ民主主義フォーラム」を立ち上げこの地域の民主化の中心になろうとしている。民主化の経験をエジプトと共有しようとしているというのは面白いところですね。

 インフラの未整備が課題、政府投資も足りない。民間も利益が出る構造になっていないため期待できない。政治腐敗が過大であり深刻な問題。投資の受け入れや、外国政府・企業との契約履行に熱心ではない。ユドヨノ政権は外資の受け入れや、輸出主導型の経済戦略をとったりするより、外的ショックを直接受けないようにしておくほうが重要だと結論づけている。このため2008年のグローバル金融危機の際にインドネシアが大きなダメージを受けなかったのは、一つには世界経済への統合が十分に進んでいなかったから。今の経済消費は旺盛な国内消費にある。丁度中国と逆ですね。それでもやはり外国投資の受け入れ改革開放が課題になるのは間違いないところでしょうか、それによりさらなる成長のチャンス・構造転換が必要になる段階が来そうですね。人口動態が若い層・労働力人口が期待できる有利な構造ですが、貧困に農業従事者の多さという構造問題がありますからね。

 BRICsと比較して教育の質の問題がある。また労働市場の硬直性も世界的にかなり低いレベル。政党の多さゆえに法案が成立しにくい。また数十年に渡る権威主義で権力の分散化傾向があり、それゆえに一貫性ある政策実現が難しくなっている。

 憲法裁判所やKPKのような、独立機関の権限の強化が必要。憲法改正による、大統領弾劾の条件の厳格も。また現在の政治・経済エリートたちの多くはスハルト時代の落とし子たちなので、改革と同時に2014年の選挙で、新しい指導者への世代交代を期待したいと。

 最後に、中東革命でイスラムと民主主義が共存できるかどうかが試され、ア

フリカからヨーロッパまでの諸国で多元主義宗教的寛容が攻撃される一方で、政治的自由化をせずに経済的に台頭した中国のケースが欧米民主主義モデルの基盤を脅かしている。この環境下で、多民族・多宗教の民主国家インドネシアの経済成長は、途上国の経済モデルとして非常に重要だ―という切り口がなかなかうまいと思いましたね。もっと言うとイスラムの要素が強い同国で、インドネシアを支援することで、中東諸国に近代化の際の新しい参考モデルを提供できる。中東の変化・改革に新しい光を当てる事ができる故に、中東の安定化のために重要だ、みたいな感じを加えるといいかな?など思いました。