てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

梶谷懐さんの文章を呼んでつぶやいたことのまとめ


 中国経済がご専門の梶谷懐さんの文章を読んでいろいろ考えたこととか、メモをまとめておきました。公開したと思ったらしていなかったので(^ ^;)。


 悲観?楽観?それとも客観? - 梶ピエールの備忘録 。ふむ、一国単位の経済論を己には理解しようもないが、不確実性に満ちており、中国経済の将来を予測するのは容易くない―というのは的を得た指摘でしょうね。

 津上さんの本も何冊か読んだことあるので、参考になる人だと感じるので、津上さんの意見に違和感はさほど感じない。ただ「経済」の観点から詳細に論じればそこにまた問題があるということなのだろう。己は政治分野に関心があるから、この「経済」分析も政治のプリズムを通してかいつまんで解釈をする。

 津上さんは「願望」を論じているというよりかは、中国が氏の唱える路線を選ばないとハードライディングどころか、社会構造事態が崩壊しかねないという懸念を持っており、選ぶ道はこの一手しかなかろうという主張だと感じた。己は政治的に見てこういう危機意識があるので、そう感じた(違ったら失礼)。

 >TFPの上昇こそが持続的な成長のカギを握る、というのはマクロ経済学の常識
 ―という梶谷氏の意見は重要で、つまるところ今後ここがどうなっていくかを論じなくてはならないのだろう。中国を維持するために8%成長を維持しなければならないという説があり、己もそれを盲信してた。

 実際には、ン%成長という数字に根拠はないらしい。無論、経済成長が重要なのは言うまでもないが。緩やかな成長へペースダウン&緩やかな政治改革=民主化というのが中国が選択すべき道であると思うのだけど、必ずしも緩やかな成長&現状政治制度がありえないわけではない。

  民主主義の原理と資本主義の原理は同根であるから、中国の経済発展が進めば進むほど民主化は避けられない。しかし、個人の権利の確立を避けたまま、国民に経済恩恵を行き渡らせるような中国式モデルを組み立てる方向に行く可能性は大いにある。それを支えるとしたら日本のような技術力が必要だろう 。

  知的財産権・技術コピーなどが問題であるように、中国はオリジナルの創造でまだまだ独自に富を生み出せていない。イノベーションがなければ成長は頭打ちになる。資源配分の効率化によるTFPの成長もそれほど長続きするとは到底思えないのだが、どれくらい続くものなのだろうか?


 で、依然つぶやいた丸川知雄氏の有斐閣の『現代中国経済』への梶谷氏の言及がここに d.hatena.ne.jp/kaikaji/201307 ありましたた。中国経済アメリカ経済を抜く!っていう主張に対してのコメントはなかったでしたが、こういう意見は中国経済の専門家内で一定の理解を得ているのだろうか…?

 氏が言うように、国家VS民間!みたいな図式は疑問ですし、むしろその構造において民間の資本の原理が国家のそれに負けてしまうからこそ中国経済の問題があると思うのですが…。まあ、いずれにせよ、梶谷さんのものの見方は参考になりそうなので、今度何か見つけたら本を読んでみたいですね。

 理念型としての「中国」 d.hatena.ne.jp/kaikaji/201111  『中国化する日本』についての言及があったので、これについてもまた紹介したいと思います。己はこの書を評価していないのだが、結局「グローバル化」VS「アンチ―」の構造を独自の用語で解釈し直したものにすぎない。そこに何らかの新しいオリジナリティがあるとは思えないというのが拙感想。

 そこへ梶谷氏の「関曠野によってバブル期に著された『野蛮としてのイエ社会』によく似ている」という主張を見て腑に落ちた。「イエ社会」のロジック=日本の台頭を受けたもの。 その日本の台頭を好意的に受け取るか、否定的に受け取るかで差異が現れたと言える。日本の台頭という現象を、これまでの歴史的事実からどう受け止めるべきかという時代のニーズを受けて著されたと言える。そしてこの『中国化する日本』はその中国版ということだろう。

 北京コンセンサスなんてものが話題になっているくらいですしね。>資本主義が「中国化」すればするほど、リアル中国の方は「脱中国化」していく ―という意見は正鵠を射たものですね。ちなみに溝口さんより内藤さんの意見に同意ですね。別に湖南さんの弟子の宮崎市定御大リスペクトだからではなく(笑

 梶谷さん面白いなぁ。『「壁と卵」の現代中国論』か近所の図書館にあるかしら?ちょっと読んでみたいなぁ。


 ―とまあ、そんなことをつぶやいていたら、梶谷さんご本人にこういうものを紹介していただきました。asahi2nd.blogspot.jp/2014/01/gendai 丸川さん、津上さんの著作を題材に、「国家と民間」の問題について論じたものだと。ご本人に教えていただきましたし、いつか本なりブログなりごっつり読んで感想書きたいんですけどね…。いかんせんなかなか進まない…orz。読みたい本も読めないこんな世の中じゃ、ポイズン状態です。

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