てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

なぜ公職選挙法改正案に自由選挙を野党はねじ込まないのか?

「憲法改正」お膳立ては整ったが…改憲政党の衰退で存在感強まる
 このリンクにあるように、改正国民投票法が6月に成立し、11月には選挙権年齢を国民投票年齢に合わせるための公職選挙法改正案が衆院に提出されました。無論、衆院解散でこれは提出止まりで、おそらく来年、もう今年の通常国会で成立すると見られます。

 両院で賛成をえると考えられているのが、緊急事態条項と。これは橋爪さんが『国家緊急権』で書いていたように、憲法改正に伴いこれを新しく取り入れるということはもう政党・官庁・大学とかで論じられていたんでしょうね。気になって国家緊急権でアマゾンチェックしたら、

国家緊急権―非常事態における法と政治 (法学選書)/学陽書房
欧米八ケ国の国家緊急権 (日本立法資料全集)/信山社出版
憲法と緊急事態法制―カナダの緊急権/日本評論社

立憲独裁―現代民主主義諸国における危機政府/未知谷

国際法における緊急避難/有斐閣

 というのが出てきました。下3冊は特に新しいです。『立憲独裁』は稲葉先生が以前言ってたやつですね。有斐閣のやつは2014年と出来たてホヤホヤ。やはり憲法に書かれる前に学者世界で議論しよう!その結果を本の形として出しておこうという感じですかね。

 それはさておき、公職選挙法を改正するという絶好の機会に、何故戸別訪問解禁や選挙運動の自由化につながるいろんな項目是正を潜り込ませなかったのか?完全自由選挙を達成できないにせよ、一部だけならいくらでも出来たはずでしょう。選挙カーじゃなくても自由に演説していいとか、いくらでも変えるべき項目はあったでしょうに。

 投票率を上げることが次の選挙で勝つための維新・民主の最大のポイントになる。安倍晋三総理が憲法改正を最大の悲願にしている。共産党以外は憲法を変えることについてはそこまで否定的ではない。であるならば、改憲を飲ませるために野党に譲歩することは大いに有り得る。野党は普段なら認めないような譲歩が引き出せるこの機会に、ここで投票率を上げるための選挙制度、自由選挙を条件にしなくてどうするのか?これでどうやって投票率を上げようというのか?全く理解できませんね。

 共産党との選挙協力や、民主・維新の協力及び合併など、自民に勝つためにやるべきことかもしれません。そしてそれを肯定的に何回か書いてきましたが、何よりも重要なのは投票率を上げたうえで、維新・民主が野合せずに自民に勝てるようにすることです。

 政策・政治理念の異なる政党が選挙戦術で協力するというのは本来好ましくない。そういうことをなくすためには投票率を上げて健全な野党が勝ちを収めることです。さらに投票率が高まることで、それによって自民党がもはやこのままではダメだと分裂するなり、新自民党として生まれ変わらせる。与野党が相互影響しあって、より良い政党に生まれ変わって、良い政策を打ち出し実行できる政党になる可能性が高くなります。フェアな競争なき政治に、良い社会の実現はありえません。


 かなり短い、思いつきの反応なのですが、それくらい重要なポイントと野党の理解できない対応だったので、そのまま一本にして書きました。「自由選挙を導入して、投票率を上げる」これをやらなければ民主・維新は自民に絶対に勝てない。自民が自滅して、批判票が集まって政権をとれても、よっぽどの成果を挙げない限り、3~4年の政権でおわってしまう。無党派は連続して維新・民主に入れてくれません。2大政党制ではなく、1.5大政党制という構造になってしまっています、今の日本の政治構造は。ですから、それを打破するために必ず自由選挙制、投票率が70%を切らないような制度を導入しないといけない。

 あの小沢一郎が負けたのも、畢竟この低投票率という政治構造にあります。あれほどの立憲政治を知り尽くした政治家でさえ、総理大臣になれずに敗れてしまったのは、ここに手を付けなかったからです。橋下さんはここに手を付けなければ一時的に総理にはなれても、必ず負けることになるでしょう。