てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

法治国家としてのプロセス軽視

 今日もまた時間がなくなってしまったので簡単なものを。辺野古の移設関連作業が環境基準に適わないというのは、以前から指摘されていたこと。そしてそれを名目に、翁長氏はストップを要求しました。

 ところが、沖縄防衛局局長井上一徳氏は、林芳正農林水産相に審査請求をして、それで許可を与えたという話になりました。

 環境アセスメント基準をクリアしていないから、難しいと言われていたものが、果たして農林水産省トップの判断でころっと覆るようなものなのか?農林水産省が直々に調査をした。その結果これまでのデータを覆せるようなちゃんとした論拠が出せたのか?どうもうそ臭い。

 公害問題で環境保全が声高に叫ばれて、それでできた法律はこんなに簡単に変更出来てしまう(破られる)ゆるい基準でしかなかったということなのでしょうか?

 その疑問もさることながら、このようなことを実行するには、裁判所に判断を仰ぐ。「既存の環境法がありますけども、安全保障上の重要性云々~。さらに特別にこういった環境保全の措置をとるので、環境は保存できます」―といったようなことを論じて、裁判所で許可をもらう必要性があるのではないでしょうか?

 とにかく、既存の方に抵触する・プロセス上の問題があるのに、裁判所でなければ議会で新立法することもなしに、特定部署から別の部署へたらい回しに「許可」与えて、ハイオーケーというのは三権分立の原則から行って非常におかしなことだと言わざるをえないでしょう。何のための議会なんでしょうか?

 こういった法治国家としてのプロセス軽視が、この安倍自民は非常に目立つ。それをマスコミが盛んに指摘できないこと、民主主義を崩壊させると危険性に触れないことにも腹が立ちますね。

 毎日の記事で例のパスポート没収事件での手続き無視の記事がありました。警官を従えて、パスポートを出さなければ逮捕すると脅したことは、旅券法19条1項4号(本人の生命や身体、財産を保護するため返納を求めるもの)の濫用ではないか?梓沢和幸弁護士いわく、これは「適用違憲」ではないか?憲法22条の保障する居住・移転の自由の侵害に値すると。

 外務省の警官同行の理由が「道案内のため」という驚きの理屈も出てきているのを見ると、本当に大丈夫か?と言わざるを得ません。子供の言い訳みたいなことを言ってますね…。

 また、学習院憲法学の青井未帆教授は、極めて重要な個人の権利を制限する『不利益処分』にもかかわらず、聴聞の手続きを踏んでいないことを問題視しています。聴聞とは、行政手続法13条で定められている事前に不利益処分を受ける前に本人の意見を聞くというワンステップのことのようです。それを今回怠っていること。

 法治国家というのは、法律でありとあらゆることを決めて、動かすこと。「手続き」ということで動くものです。その手続をすっ飛ばしている、法の運用・解釈を恣意的に行っている。こうなればもはや法治国家ではなくなる。この危険性をなぜもっと声高に叫ばないのか…。

 法治国家として守らなければいけないことという最低限の事を理解していないとしか思えませんね…。


 Nステで古賀さんの例の事件の後、自民党が事情聴取というか?こっちでは聴聞したということ。都合のいい時にはきっちりやるようですね。というか、そもそも古賀さんの論理はかなり怪しいと思いましたが、「政権がメディアに圧力をかけている」という論理をぶちあげているのに、それを立証するようにメディアを呼びつけて説明を求めるってバカなんじゃないですかね?

 NHKもやらせ云々でついでに呼び出されたようですが、政権与党が呼びつけて「どういうことなんですかねぇ?」なんてやれば、実際会話の内容に圧力がなくても、ヤクザの「誠意を見せんかい!」みたいになって、放送局が萎縮するに決まってるでしょうに。

 報道サイドは与党・政権に睨まれないような番組をつくろうと事なかれ主義に走ってしまうに決まっている。そしてそんなことをすれば、「やっぱり古賀の言ってることは正しいんじゃないか?」と思う人が出てくるに決まっているでしょうにねぇ。

 官邸の圧力がないのならば、「圧力なんてあるわけないでしょ?古賀さんのあの発言が報道されることを見れば一目瞭然。あのあと古賀さんを使うな!なんて指令を出したことありませんし、現にあの人はテレビに今も出ているじゃないですか」といえばいいだけ。逆に古賀さんにバンバン出てもらうほうが今の官邸にはありがたいはずです。古賀さんが出れば出るほど、報道への圧力がないことの裏付けになるんですから。

 古賀さんがあのような会見を開いて、テレビから露出を減らせば「官邸からの圧力が!!!」と却ってマズイことになるという論理を理解していないんでしょうかね?ひょっとして古賀さんはこれを狙って、あのような行動に出たのかも?だとしたら面白い話ですけどね。