てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

人口グラフを見て思うこと

東京劣化 (Kindle版―東京劣化)という本についてのつぶやきが目につきました。
 秋田圏は今後5年間、少子高齢化でどんどん悪くなるのだとか。しかし5年後の2020年を過ぎると、高齢者人口が減少に転じるので圏内の成長率が上昇に向かっていくとのこと。

 日本の「人口減少」には東京と地方で時間差があるとのこと。地方では2020年頃から高齢者人口が減少に転じるので財政状況が徐々に安定し、2040年頃には完全に落ち着くのだそうです。ところが今は絶好調な東京が、2025年から高齢者人口が急増し、2035年になると「劣化」状態となって、これが2060年代まで続くのだとか。東京が落ち着くのは地方から20~30年後の2060年代。東京と地方でこれくらいの時間差があるのだとか。

 以前、人を地方に返そうというような話がありましたが、結局人を吸い上げて集めて問題が起きたら、やっぱりイラネとでも言わんばかりに追い返そうという話なのでしょうか…。自分たちに都合のいいように人、労働者を集めておいて、都合が悪くなればポイ捨てというような図式があるような…。

 地方都市はあと五年もすれば高齢化問題も切り抜けられるのでしょうかね?だとすると、意外と地方のほうが財政問題などで明るい状況が続いて東京よりも住みやすいというようなことになるのでしょうか?都政がウハウハで、尖閣買うだとか、夕張支援だとかなんでも出来ていた時代は終わるのでしょうか?それこそあとあと無駄遣い批判されそうですが。


 で、子供が34年連続現象だとかそんな話を聞いて、人口ピラミッドを見てきました。統計局ホームページ/人口ピラミッド 平成22年(2010年)  このデータを見ながら書くのでよろしければこのページのグラフを片手にご覧ください。
 
 2020年とかもあるので、最新のデータではなく昔のデータからの推測の可能性がありますが、まあこれとそんなに今の人口データで大差はないでしょう。34年といえば、山本昌の現役か、それともこち亀の連載が始まった前からか、まあそんなだいぶ前からの話になるわけですね。そんな頃からの話だったとはね。

 少子化はせいぜい20年位前から急激に進んだというイメージが有りましたが、34年連続と、そんな前から始まった出来事なのかと、数字を聞いて改めて驚きました。1950年頃は見事な、正三角形。それが時代が経つに連れて、子供が生まれなくなっていく。

 61か62歳の世代が最多人口の年、ベビーブーマー団塊の世代でしょうか?そしてその世代の人間がまた結婚して家庭を持って子供を産んで、37~39歳くらいにまた揺り戻し、出産数が増えるという現象が起こるわけですね(2010年データなのでそれぞれ年齢は今だとプラス5されますね、グラフを見ながら書いていますのでお手数ですが現在換算のためには年齢にプラス5を、プラス5歳肌でお願い致します)。

 注目すべきが65・66の年齢の少子化、人口数の少なさですかね。72も少ないということがありますが、それはおいといて、この年終戦直後なわけですね。終戦の混乱で子供を産むどころではなかったと。戦争が終わって子供が増えるとはよくいいますが、その反動で人口がワッと増える。誰も彼もが子供を産んだ。

 社会的狂乱というか、ブームというかそんな感じで、あと集中してしまったということもあって自然とそのあとで出産数は減少してしまう。とはいえ、多い年の人間はまた成人して結婚して子供を産むわけで当然、彼らが成人すれば第二ベビーブームが起こるというのが、当然の成り行きですね。44~37くらいがその辺りに当たるのでしょうか。まあそれはいいとして、問題はその彼らが再び子供を作って人口増加をもたらしていないことですね。

 18~16くらいでしょうか?まあその辺りにグッと一山揺り返しが来ておいて欲しい所。それがきていない。セカンドピークの毎年の人口が大体100万人くらいで、10代が大体60万人くらいで、仮に皆が子供を産むカップルとなっていたなら40万人がそうせずに子供を産む・持つという選択をしなかったということになる。

 出産年齢の高齢化があったり、家庭あたりの子供の数が一人っ子であるところもあれば三人以上だったりするところとかもある。まただいたい同世代がバランスよく適齢期にカップルとなっているわけではない。一昔前の傾向として大体5歳以上男のほうが年上で女性と結婚する傾向があったわけだし、そのような要素も本来頭にいれないといけないわけだが、そこまでは出来ないので今回は無視する。

 あまりにも雑なざっくりとした類推で申し訳ないが、思考実験、話半分お遊び程度に聞いていただきたい。

 終戦直後に、子供が急増する。その反動が来る。ここまではいいとして、底を打つのに7年かかっている。7年減り続けている。更に上昇カーブに向かう停滞を入れれば10年は人口の停滞が続く。これくらいが通常の人口であり、第二ベビーブームは、多い人口の世代が成人して産んだだけと見て良いのだろうか?

 その要素は前述通りあるとしても、もうひとつは、この時代高度経済成長期だったこと。なーんだ、高度経済成長期だったから、つまり庶民にお金があって、夢や希望があったから安定して子供が産めたのか―というオチか。それなら、じゃあ少子化対策のために安定した職と、労働環境整備を―といういつものオチで終われて話は早いが、人口グラフを見るとそうとはいえない。

 ピークが40歳として36歳までその範囲内と見てみると、逆算して子供を産まなくなっていくのが1974年頃、つまりまだまだ経済好調な時代まっただなかだった。1980年には80万、90年には60万人に人口が減少する。むしろ80年代の好調なバブル経済少子化の歯止めに多少役だった程度と見るべきだろう。その時代はマイナスではなく微減にとどまる。それ以降の順調な現象を見ると、大成果かもしれないが。

 なぜ産まなくなったのか―は「産めなくなった」とも考えられることだが、やはり社会の変化、ライフスタイルの変化というものに加えて柔軟に政治制度・社会が対応できなかった結果ではないだろうか?自分が子供の頃、漠然といつかは結婚して子供を産んで当たり前なのかなという思いがあった。しかし今思うと、学校に来る子供というのは両親がいるから学校に来ているわけで、その知らない外側の世界では、子供を持たないで生きていた大人の男女が大勢いたのだなと改めて気づく。

 そりゃ、日常生きていれば未婚の人、子供を持たない人など今どき珍しくもない。いくらでも出会うし、むしろ違和感を感じることは少なくなった。おそらく殆どの人がそういう感覚だろう。しかしデータで見ると改めてその多さに驚く。年代別に未婚、子なしというデータをハッキリ出すことができたらどれくらいの「孤独」な人がいるのかオドロキそうなデータが出るような気がする。ここに今問題となっている老人の孤独化を加えればなおさらだ。

 高度経済成長が始まりだした頃から、既に人口減少の種は蒔かれていた。そしてその対策を何もせずに放置されて、今の体たらくがある。そうやって改めて人口ピラミッドを見て思うと、政治の機能不全を嘆かざるをえないなぁ、と酒を片手にしみじみ思うのでありました。

 ヴェトナム人がヤギを捕まえて食っただとか事件がありましたけど、そういう「移民」は殆ど下層の自由にこき使える一種の奴隷労働者としてみているわけですよね。そのコインの裏がああいう外国人犯罪なわけで。結局抜本的な対策から目をそらして安い労働力、介護として移民で何とかしようと考えているわけですよね。いまの政治がやろうとしていることというのは。それで何とかなったとしても日本人は減り続ける。日本はなくなっていっちゃいますけど、果たしてそれが「美しい」と言えるのでしょうかねぇ?