てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

存立危機事態=予防戦争?&NATOと武器輸出

 「存立危機事態」云々かんぬんの答弁をチラッと見て思ったのですが、予防戦争のことを念頭に置いているのかな?とふと思いました。北朝鮮を事例に、米艦を攻撃、そして我が国へも攻撃が切迫している時。またミサイル警戒にあたっている米艦が明確な危険にさらされている時が「存立危機事態」だとかなんとか。

 明白な危険、つまり襲われた→反撃ではなく、襲われそう!という段階で攻撃に出ると。疑わしきを罰する的な価値観で行くようですね。

 確か今でも衛星で北を監視して、ミサイルに燃料を注入した時点で攻撃の意思とみなして空爆するとか、そういう決まりがあったはずです。今はもっと条件が厳しくなっているかもしれませんが。何かあったら軍事的挑発をする北に、挑発をしにくくするためのプレッシャーという意味合いがあるということでしょうか?

 「存立危機事態」を物凄くあやふやにしといて、北朝鮮を攻撃しかねないような法制にしておく。そうやってプレッシャーをかけるつもりなのでしょうか?見ようによっては、「存立危機事態」の一言で、先制攻撃が可能にすらなる法案のようですからね。

 維新が「武力攻撃危機事態」という概念で、ハッキリ米軍が攻撃されてから~という条件にしたのは、かなり妥当に思えますね。これならまず北が怪しい動きをしているから、先制攻撃します!ということは出来ませんからね。イラク戦争で予防戦争が失敗したのに、こういう方向に議論しているのはどうかなぁという気がしますが。外交で決着をつけるという戦略があれば文句無いですけど、なにせ安倍ちゃんですからね…。


 米輸送艦に邦人が乗っている、公海上で攻撃された場合、米にお願い守って!と要請されても助けることが不可能だと。だからそれを助けることが可能になるようにしましょうと。

 それは集団的自衛権の発動をせずに領域警護の範囲内でいけるんじゃないでしょうかね?日本の領海内にせよ、日本に近いところなら既存法の延長で何とかなりそうな気がしますが…。

 緊急事態、国家の存立を脅かしかねないような大変なことが起こるとしましょう。その時にそういう備えをしておくことは大事だと思いますけど、話が一つ・二つステップふっ飛ばしている気がしますね。間に領域警護をワンステップ挟んで、さらに北朝鮮が崩壊して大変だとか、ミサイルぶっ放す明確な証拠があるだとか、そういう要件を満たさない限り、「存立危機事態」にはならないとかもうちょっとハードルを上げないと無理でしょう。

 ハイこれ「存立危機事態」―と言えてしまうような、軽いトリガーではあってはならないはずでしょう。

 世界中どこでも米のあとをついていって戦争する国になる!みたいなことを言ってますけど、まあそんな能力無いので有りえません。米軍からすればそれは自分たちで十分できるので、邪魔の一言でしょう。補給とか後方支援やって欲しいんですからね。その後方支援を世界中で出来るようにするためということでしょうかね?でも中東でもどこでもいいですけど、それが「存立危機事態」だから後方支援やります―はさすがに無理があると思いますが。

 中国の危機があるので、東南アジアくらいは「存立危機事態」ということに出来るんでしょうかね?フィリピンに基地が戻る。米の軍艦とトラブれば、日本もさっと出てくるということにしたいということでしょうか?

 まあ、それでも緊急性が高いというわけではないので、改憲してからで十分でしょう。そんな急いで「存立危機事態」をねじ込むほど、中国や北で何らかのリスクが炸裂するということでしょうかね?というかむしろそういうことを利用して、なんでもかんでもやりやすいように法案に都合のいい文言ねじこんどけ―といういつもの官僚の手口のようにしか見えないのですが…。

 領域警備というファーストステップから、更に危険な事態に対処するセカンドステップの法案を考えて、最後により緊急的なものをより深い鎖で条件つけて縛っておくというのが筋じゃないですかね?まあ今回民主・維新が領域警備法案を一度は物別れしながらも、最終的に合意して共同で法案を提出したのは非常に良かったんじゃないでしょうか?極めて妥当な野党のあるべき論理・法整備の主張だったとおもいます。

 これで強行採決ということになればもはや憲政の「け」の字も残らないことになるでしょうねぇ。しかしあの「戦争反対!」のスローガンはどうにかならんものか…。どの戦争に反対するのか、はっきりしてくれないと伝わらないっつーのに、外交には、「すべき戦争」と「すべきでない戦争」がある。「すべきでない戦争」をしそうになるリスクが上がるのなら、それをきっちり論じるべきでしょう。ワンフレーズの戦争反対じゃ伝わりませんよ、オウムみたいに同じこと繰り返しても、念仏にもなりゃしませんよ。

※ここからNATOと武器輸出という枠で書いた話。短いのでまとめて一緒に。
Japan Could Work with NATO on Deadly Next-Generation Missile | The Diplomat thediplomat.com/2015/07/japan-

 なんとなく読みました。この話もNATOとミサイル技術協力云々かんぬんというまあそんな特にびっくりするような話でもないんですが。

 やっぱ、安倍政権下で軍拡・軍事協力が進むと海外の人は見ますよね。このミサイルだけでなく、今後武器輸出三原則などをなくしていって、どんどん広がっていくだろうと。

 NATO的にはどうなんでしょうね?やっぱ日本を組み込んで影響力を増やす方向に行きたいのでしょうか?それとも東アの情勢に首を突っ込みたくない(≒中国を刺激したくない)のでしょうか?パートナーシップの強化どまりなんでしょうかね?それこそ、ウクライナ情勢やギリシャ債務問題で日本がEU・欧に取って死活的なものがある、協力が必要不可欠というわけでもなさそうですし。むしろ中国の影響を無視できない感すらありますしね。

 脱米・米と距離をとるためには、EUや国際機構との協力深化は不可避なのでNATOへの参加などは好ましいと思うんですけど、やっぱり親米べったりの安倍ちゃんにNATO参加みたいな発想は出てこないのでしょうかねぇ?

 そういや「存立危機事態」というガバガバな概念で、危機と見えたら攻撃もできるというのは、兵器輸出のためというものがあるんでしょうか?性能PRのために使う機会を増やしたいという動機が、そこに僅かながらでも含まれていたりするのでしょうかね?

 まあでも、今の法案でゴタゴタしていますから、改憲とか色々あって武器輸出三原則に手を付ける時も、苦難が予想されますけどね。こういうことがあるからこそ波風立てずに法案を成立させるノウハウが求められると思うですけどねー。