てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

五輪エンブレムのパクリ疑惑

 佐野研二郎氏が作った五輪のエンブレムがベルギーの劇場のそれと酷似している、パクリ疑惑が浮上した件について、触れていなかったので一言二言書いてみたいと思います。確かに似ていることは似ている。

  東山翔さんのトレパク事件についてで、以前触れたのですけども、トレスというのは犯罪にはならない。いわゆる知的財産権の侵害に当たるかと言われると微妙、余程のことでない限り、それが知的財産権の侵害としてアウトになることはないということをこの記事で書きました(書いたというかリンク先の引用元で書いてあったわけですね)。

 己が主張したかったのは、トレス=トレパクというのは犯罪には値しない。だが、それをしてしまうと、アーティストとして命であるオリジナル性・創造性が疑われてしまう。アーティストとしての評価を下げるためにしないほうが宜しいだろうと、特に作品の核心に繋がるものであるのならば、尚更そんなことはすべきではないと。そして同時に作品にあまり関係のない部分、背景とか、あまり重要ではない一コマにそういうトレスがあったとしても、それを周りがトレスだなんだと騒ぎ立てる風潮はおかしいということ。

 あくまで知的財産として認められる、芸術などにおいてのみ「パクリ」すなわち盗用という問題が発生してくるわけで、デザインや構図を一般に存在するものから流用してはならないというわけではないのですからね。元ネタがあるものに対してトレパクだ!なんて騒いで叩いたりするのはそもそもおかしい訳です。


 そのおさらいをした上で、今回の話をしますと、東京五輪のこのエンブレムは、ベルギーの劇場で使われているものに似ているとはいえ、全くそのまま同じというわけではなく、しかも直線と曲線の組み合わせという単純なデザインの組み合わせであるので裁判所も知的財産の侵害を認めるかと言われると微妙なのではないかという気がします。

 個人的にはこんなに似ているものが偶然で生じることは疑問ですし、背景が丸いベルギーの劇場のそれと東京五輪の場合は四角であり、さらに色が使ってあるのでオマージュとかそういう理由で認められる可能性があるのでは?という気がします。もっとハッキリ言うと、知的財産権の侵害に値しないという判断を裁判所が下してもやむを得ないかなということですね。

 ただし、これは「知的財産権を侵害しているという認定がされないだけ」であって、世間がそれを許すか許さないかとは別問題だと思います。デザイナーが自分自身のアイディアで作ったかどうかと言われればかなり怪しい、そこに芸術性・創造性が感じられないという認定がされてしまった以上、盗作であろうがなかろうが、相応しくない・アウトと思うのが多分大多数の人が感じることではないでしょうか?

 更にこの方は、手がけているトートバッグのデザインで米のデザイン矢印の中に文字が入っているというものをまんまパクったデザインを採用した。さらにネットに出回っているパンの画像をそのまま用いたとか人が泳いでいるのも似ているというのがありましたが、それはまあなんとも言えないので置いておきます。ただ矢印とパンは明らかにアウト。そしてこれをスタッフがやったことで自分は知らなかったという言い訳をしていました。

 デザインの流用を平気でやる人というイメージが付いてしまった以上、もうこの方はデザイン業界で働くことは難しいのではないでしょうか?デザインを決定する審査員とデザインを提出するデザイナーがズブズブの関係にあるという疑惑も出てきたようで、問われるのはデザイナーのモラルというより業界の仕組み似まで広がっていきそうで、一体どうなるのだ…という感じですね、この話。

 デザイン業界の安易なパクリや審査制度など自己浄化を発揮することが求められますが、果たして出来るのでしょうかね…。

 ※しかし、今回の出来事で「エンブレム」というものがあるのかということを知りましたね。いや、今までも見ていたし知っていたはずなんですけど、そういやわざわざデザイナー呼んで認定しているんだなぁ、ということを改めて知りました。正直、そんなもんどうでもいいですからね。過去のデザイン一覧とかみて、ああこんなんだったんだというものもありましたしね。