てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

ジャーナリスト安田純平氏、シリアで拘束 安易な自己責任論を振りかざすべからず

 

 過去にこのような話を書きましたが、まあ同じですね。安田純平氏が誘拐された、拉致されたのであれば、政府は最大限努力して彼の救出にあたるべきです。交渉しないということはありえない。
 
 繰り返しですが、ジャーナリストというのは現地で取材をするのが仕事。それは社会のためになる社会貢献活動である。そういうことをやって危険な目にあったのならば、救助するのが当然。遭難した人を救助するレスキューと同じですね。テレビや新聞とは違い、自分の体を張って命がけで戦地に赴くのは尊い行為。何故か日本ではこれが理解されません。
 
 日本政府はジャーナリストがこういう目に合うことを「迷惑」という論理を持ちだして、渡航禁止を図るという民主主義国家ではありえない手にでました。現地でどういうことが起こっているのか情報収集をするには、一つでも多くのルート・パイプがある方がいい。民間人がそれをやってくれるのならば外交資産になる。歓迎すべきことに決まっているでしょうに(勿論キャリアの浅い、功名心にかられて自己の身の安全確保を怠るような軽率な行為は問題ですが)。
 
 そういうルートを潰してどうやって外交をやるのか?日本政府・外務省が既にありとあらゆる網を張り巡らしており、民間人ジャーナリストが入り込む余地はない。むしろコストがかさむからやめてくれとでも言うのならばまだわかりますが、そういうわけでもない。それにもかかわらずジャーナリストのパスポートを取り上げるような行為は確実に人権侵害です。法治国家の発想ではありえません。
 
 災害が起きて、危険である。わざわざ危険なところに出て行けば被災して、迷惑がかかる。そんなこともわからないのか?―かのような理論がジャーナリスト非難に適応されてきましたが、外交では現地で何が起こっているのか知ることが何より重要であり、戦地になって、今何が起こっているのかわからない。「情報というインフラ」が途絶している状態を解消する必要がある。戦地情勢がわかりやすければわかりやすいほど、早く戦争収拾に繋がる。そういう力学が存在するのです。
 
 世界情勢に精通してこそ大国としての責務を果たせる。大国としての責務を果たさずして、いかに日本という国の存在感をアピールできるのか?外交戦略を整えるのか?世界情勢なんかどうでもいいという意見は、実に政治意識の低い日本人らしい意見ですね。
 
 安田氏は過去何度も現地で拘束された経験があるようです。身代金さえ払えば、安全安心で生きて返ってこれるものだと思っているんでしょうか?一歩間違えれば、殺されてしまう命がけの仕事。それによって大きな見返りをえるわけでもないのに、ハイリスク・ローリターンなのに危険なところに出掛けていく。その精神を何故褒めないのか?
 
 イラク人質事件で人質を救うために人質は撤退せよという主張をした人物であるようです(また後に国を訴えたとか)。自衛隊の派兵とは国策であって、そもそも取引をするような交渉道具ではない。撤退せよ・すべきだったなどという代物ではない。これについては氏が間違っています。また平和系団体云々の人、そういう系統の思想の人でおかしな人なのかもしれません(具体的に知らないのでなんとも言えないですが)。
 
 だが、それとこれとは話が別。ジャーナリストとしてきちんとした実績のある人間である以上、政府・外務省は全力を上げて救出に当たるべきです。こんなことは本来言うまでもないことでしょう。こういう時にジャーナリストを救う仕事をしないというのなら、一体何のために外務省は存在しているというのでしょうか?そもそも、イラク戦争に賛成したのはどこの政党のなに総理だったのか?自民党の小泉ではなかったのか?イラク戦争が間違っていたとも総括をしていない、今の政権は、中東の混乱に責任を持つ必要があるだろうに。危険になっているから知らぬ存ぜぬ、触らぬ神に祟りなしで済まされると思っているのでしょうか?
 
 どんな思想の持ち主であろうと関係がないことなのです。自分達にとって好ましくない主張をするジャーナリストである・ないということは問われないはずなのです。危険な目にあっているジャーナリストは助けるべき。政府の責任逃れを許す、「自己責任論」を振りかざすべきではない。この「自己責任論」という刃が容易く我々に跳ね返ってくることを考えれば尚更です。安田純平氏の一刻も早い、身の安全の確保を願います。
 *1

*1:本を読んだことがなかったので、機会があれば何か一冊くらい読んでみましょうかね

ルポ 戦場出稼ぎ労働者 (集英社新書)

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戦場観光?シリアで最も有名な日本人 (幻冬舎単行本)

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ちらっとツイッター見ましたが、ちゃんとジャーナリストしていましたね。ジャーナリスト特有の、現場絶対主義・万能主義、また使命感の暴走みたいな驕りがなければいいですけどね