てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

増税延期、衆議院解散見送りについて

衆議院を解散して、参議院W選挙だと騒がしかった昨今、その見送りがようやく表明されて参議院単独選挙になることが決まった。ハッキリ言って当たり前のことで、何をこんなことで騒いでいるのか理解できないレベル。

 

 国会や外交スケジュールを考えれば、衆議院を解散してなんてやってられるわけがない。そもそも2014年11月に解散して信を問うたばかり、まだ二年も経ってないのに出来るわけがない。前回の選挙でも解散権の濫用*1ではないのか?という疑義があったのに、またこんなに早く解散するなんていうのは憲政の常道を考えてありえない(まあ何度も憲法違反、憲政の常道を踏みにじってきているので今更何をか言わんやだが)。

 

 消費税を増税すると決めた前回の選挙でとは情勢が変わった。信を問い直さなくてはならない重大な変化が起こったので、改めて公約を修正して解散をするというのも一つの正しい考えではあるが、それはもうわかりきっていたはず。前回の選挙でアベノミクスで信を問うて解散をした以上、増税に対する公約修正をいまさら問うのならば、見通しの甘さを認めて、もはや自分にその経済対策をする能力がないことを認めて、党内の反増税派に道をゆずるのが筋だろう。

 

 増税が景気を冷え込ませて、民需を押し下げて、最終的に税収を下げるなんてのはもうわかりきっていたこと。今すべきことは増税延期ではなく減税だろう。増税で財政健全化は出来ない。財政健全化も社会福祉の充実も、経済成長尽きるところ新技術の発展しかありえない。そのようなイノベーションを生み出すのが第三の矢だったはず。それがまるで上手く言っていないことについての説明のほうが先であろう。既得権のしがらみで、ダイナミックな政治改革が出来ない・官僚の言いなりで何も出来ない自民党にそんなことが出来るはずがない。優秀な総理・実力での叩き上げ派の政治家ならともかく、世襲での血縁で党内の政治力学から担がれたお坊ちゃまに出来るはずがない。総理以前のキャリアでキラリと光る業績もないのだから何をか言わんや。

 

 そもそも、W選挙投票率を上げれば自民党は負けるとは言わずとも不利になる。支持母体がしっかりしている組織ほど、浮動票・無党派層が選挙に行けば行くほど不利になり、彼らが選挙に行かないほど有利になる・勝つというのは、前回の2014の無気力選挙での史上最低の投票率で自民が圧勝したのを見れば明らかだ。

 

 今回は前回と違い、野党がまとまっている。「民進党」という受け皿を作って、共産党とも選挙協力を進めて、野党票が無駄になることが少ない。参議院単独でもおそらく前回の参議院ほどの大勝は難しいだろう。衆議院W選挙になれば、候補者の選定・選挙区調整はしやすくなる。野党側に立てる人がそもそもいないという絶望的な状況であれば難しいだろうが、衆院選で大敗した=党の人材が浪人の身で再選の機を伺っているということでもあるから考えにくい。民進党という組織化に成功して、これならばしばらくは党に残って政治家で入られるだろうと計算が立って政治家を続けられると考える人が多くなる。人材の確保がそれほど難しいとは思えない。

 

 自公に入れた無党派も前回は自公・今回は野党に―とバランス感覚が働く。参院では自公に、衆院で野党に(またはその逆)という選択が多いだろう。参議院で3分の2を確保できれば改憲が出来る。その議席数を確保したいからW選挙という話があったが、なにをやっても参議院で大勝して3分の2を確保するのは不可能だろう。前回民主は大敗して17議席しか得られなかったが、民主党が分裂して選挙区調整もできなかったからこその大敗であったわけで、今回も自民が約30増やし、民進が約30減らすというような形にはならないだろう。

 

 

 むしろどうやっても自公が負ける。野党が団結して調整を進める以上、自滅して自公が楽勝出来た。実質国民に与党を選択することすら出来ない選挙であったという状況が消えるわけで、まともな選挙がようやく復活すると見るべき。自公が負けることはないにせよ、民進党の欠点・マイナスが修正されることになるので、参院で少し増える程度でも、衆院では確実に減る。以前試算したところ、共産党選挙協力して候補者を取り下げてもらえば衆院選挙区で与野党が逆転するのが40近くあったはず。無論、現実的にそううまくいくかはおいといて、しかし実際に協力することになれば自公が320を確保するとは言えないことだけは確か。

 

 改憲したいがために今までやってきた安倍氏ですが、まあ今の状況で参院でも衆院でも3分の2を確保して憲法改正に結びつけるのはまず無理でしょう。衆院選挙ではまともに立候補者を立てることすら出来ない状況であったので、衆院選で同じような勝利は出来ても、参院選はきっちりスケジュールが決まっているので、候補者調整が間に合わないということはない。野党の足並みが揃わないサプライズ解散で勝負を制するというやり方は衆議院では有効でも、参議院ではまず通じないと考えます。

 

 結局せいぜい微増で改憲ラインの160はまず無理。そして徹底的に反安倍姿勢を打ち出す野党は改憲だけはさせない!!となって失敗するでしょう。野党との協力というのをここまで拒んできたのですから、安倍との改憲談義なんで絶対しない!と突っぱねられるでしょう。もう詰みだと思いますが、どうするんでしょうかね?民進党内でも改憲すべきだという勢力はある。しかし安倍とは絶対にやらないとなるでしょうし、共産党改憲絶対反対という政党と協力しての勝利で、まず合意できるところから改憲をということすら難しいかもしれない。

 

 結局、強硬にでしゃばった結果、改憲の道筋すら潰してしまう、塞いでしまうだけなのではないでしょうか。安倍以外なら誰でも良いという今の野党事情で、新リーダーを選出して、改憲にこぎつける新リーダーが自民に育っているとは思えませんけどね。

 

 そういえば増税先送りなら麻生さんが解散すべきだと言ってました。要するに「自爆選挙だぞ、それでも増税止めるのか?」ということですね。盟友麻生氏を増税派と切り捨てて、離党に追い込んで郵政選挙のように刺客を送り込んで対決すれば面白いでしょうね。減税派VS増税派にして選挙をすれば、野党は埋没して勝つでしょうね。もちろん、自民党内の太子党である安倍氏が同じ盟友を切り捨てるようなことは出来ないでしょうけどね。そういう党内の反対勢力を切り捨てられるような実力がない以上、まあ先は見えたと言っていいでしょう。

*1:※過去拙記事参照:解散権の濫用