てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

2016年のノーベル賞の話

 20~30年前は基礎研究にちゃんと予算をつけていたから、その結果今のノーベル賞ラッシュにつながっているというツイがありまして、そのとおりだなと思いました。今の中国は追いつけ追い越せという国是と、金があって「文化大国」を目指していますから、こういう研究などに予算が豊富につけられている。

 あと何年後になるかわかりませんが、今の好環境が結果となって出てくるのは不思議でも何でもない(金に繋がらないことを、地道にやり続ける優秀な人材がどれほどいるかは知りませんけども)。中国がノーベル賞とりまくって、ナショナリズムに火をつけるような時代がこない限り、研究費が増やされることはないという嫌な予感…。

 そしてそういう事態になったとき大事な文化資産が消えてなくなってしまっている。継承されるべき大事なものが取り返しがつかない事態になっている。一から海外に学びに行かなくてはならないという展開が予想されますね。

 まあ、いち早くナショナリズムを煽ってもらって、中国に飲み込まれるぞ!となって、アホみたいな中国を打ち負かせ!世論が沸き起る。そうなって予算がついて楽に研究できる事態になってほしいと思わざるを得ない状況に追い込まれている研究者は数多い気がします。


 今年、2016年のノーベル賞は、経済学賞が米ハーバード大学教授のオリバー・ハート氏と、米マサチューセッツ工科大のベント・ホルムストローム氏。契約理論の研究だそうだ。

 物理学賞は英国出身の米研究者3人デビッド・J・サウレス氏と、F・ダンカン・M・ホールデン、J・マイケル・コステリッツ氏。超伝導についてトポロジー位相幾何学からアプローチしたとのこと。フェルマーの最終定理などで話題になったトポロジーがまたここでもか、すごいなぁとバカみたいな顔して思う。トポロジーというアイディア(?)価値観念があらゆる学問を書き換えているのが現代なのでしょうか。

 重力波の検出というのが話題になっていたので、まあそれが取るのかなとか思いましたが、人選云々でどこの国の人とか頼らないようにするという配慮があるので、いずれ取るんでしょう。あんまりすぐ取らせない傾向ありますからね、ノーベル賞は。

 ノーベル化学賞はフランスのジャンピエール・ソバージュ、英国のJ・フレーザー・ストッダート、オランダのバーナード・フェリンガの3氏が受賞。「分子マシーンの設計と合計」だとか、無論わかるはずもない。

 わからないのでそこらへんはおいといて、コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領が平和賞を受賞しました。50年以上に内戦をしてましたからね。その終結に寄与した大統領が歴史的転換点ということで、ノーベル平和賞を受賞するのは本来の意味合いに近いのですっきりするのではないでしょうか。

 個人的に気になるのはそのゲリラが和平後にどういうふうに解体されるのか。治安安定化策はしっかりしているのかということでしょうか。一橋大生の事件があったので、なおさら治安の問題があるのでは?と思ってしまいますよね。

 聞けば国民投票にかけた和平案が否決され、修正案を議会可決でクリアしたとのこと。今後小競り合い・衝突などで一波乱・二波乱はありそうですね。

 ググるとコロンビアの女性が90年代に日本に人身売買されて売春を強制されたとか。治安が悪い、マフィアが跋扈する、人身売買へというパターンでしょう。こういうケースは決して少なくなく、「人身売買について何もしてこなかった」という負のイメージは今後もずっと引きずるのでしょうね。

 ゲリラ&中南米といえば麻薬犯罪ですが、コロンビアがゲリラ問題に悩まされなくなり米への麻薬ルートも減るという展開になるのでしょうか?大麻の合法化と併せて考えると面白そうなリンクですね。

 難民支援に携わる「ギリシャ島民」、シリアの紛争地で救済活動を行う「シリア民間防衛隊(ホワイト・ヘルメッツ)」という草の根組織が有力候補になっていたとか。シリア難民は国際政治を動かしたテーマですし、来年有力候補がなければ受賞ありそうですね。

 「日本被団協」が平和賞への推薦を受理されているのだとか。オバマの訪問もありましたし、今後核問題が話題になれば取り上げられそうですね。しかし「憲法9条を保持している日本国民」て去年でしたっけ?話題になったの?まだ活動しているんですね。前述したテーマ活動団体に比べると…。

 ノーベル医学・生理学賞は大隅良典東工大栄誉教授が受賞しました。「役に立つという言葉が、とても社会をダメにしていると思う。本当に役にたつのは、10年後か20年後か、あるいは100年後かもしれない。社会が将来を見据えて科学を一つの文化として認めてくれるようにならないかと強く願っている」ということを述べておられましたが、まことに同感ですね。

 唯一つ違うというか、素直に頷けないのは「文化として認める=金を遣う」ということ。まあそういう意味ではないのかもしれませんけども、文化として根付いてもそれについて大らかに・温かい目で発展させようという風土がある気がしないのですよね…。ここら辺は文化の担い手である上流階級・貴族の問題と関わってきそうですが…。

 氏の受賞でオートファジーというものが話題になりました。生物の体内では、古くなった細胞や外部から侵入した細菌などを食べる細胞、マクロファージというものがあって、食べたアミノ酸を再び再利用できるようにする機能がオートファジー(自食作用)だとか。

 人間の細胞60兆、その細胞が健康的ならばそのオートファジーがうまく働いている!!的な健康食品が流行りそうだなぁとか思いました。そんなくだらないことを考えていたら、人間の細胞はきちんとカウントされていて、今は37兆と考えられているようですね。そのうちの3分の2は赤血球だとか。へぇ。骨や肉とか内臓の方が細胞が多そうなイメージですが、 血液なのか。

 あとついでに人間の細胞は7年で全て入れ替わるというのも嘘なのだとか。心臓・脳の神経など変わらないものはずっと変わらない、入れ替わって昔の私はどこにもいなくなってしまう的な話はどこから出てきたのでしょうね。

 最後にノーベル文学賞ボブ・ディラン。未だに授賞式をどうするこうするで話題になっていますが、受賞しなかったらサルトル以来になるとか。それはそれでおいしい気がしますがどうなるでしょうか。

 ボブ・ディラン世代ではないのであまり良くわかりませんが、CD買えば当たり前についてくる歌詞カードというものが彼のCDにはないのだとか。純粋に歌を聞いてほしいのに、メッセージ性を深読みされて困惑しているとのこと。そういえば反戦ソングと言われてはいるが、彼自身はそんな意味合いで歌作ってないと否定していましたね。

 ノーベル文学賞で曲のメッセージ性、変にカリスマ化されて持ち上げられて自分の言いたいことが捻じ曲げられてしまうのだとしたらそりゃ拒否したくなりますね。ボブ・ディランが失礼だ云々言ってましたが、そもそもそういう人を選んだ時点でそうなるのはわかったはずでは?と選考者の方を疑いたくなりますけどね。

 音楽をやっていて「文学」とされるのもどうなんでしょうね。少なくともあまり望ましいことではないような…。ぜひ「ノーベル音楽賞」の時に候補に上げて欲しいと選考批判して辞退してみてほしいものであります。

 公民権運動の代名詞的な存在でしたから、トランプが当選するにせよ、しないにせよ、そういうレイシズム的な言動が表面化しつつあるアメリカへの警鐘的な意味がやはり第一にあるのでしょうか。

 こういうメッセージを発せられるのが世界的権威の持ち味というか、ルール・ランキング発表者のおいしい所。東大が世界ランキングから落ちる指標の1つに女子学生が少ないみたいなものがあって、女子学生に補助金をみたいなことになってますが、そもそも自身で世界ランキングを制定する側に回ればそんな滑稽なことしなくても済むんですけどね。なんでおとなしくジャッジされる側に回っているのか不思議ですね。中国なんかいま一生懸命やってますからね、まあ成功するとは思えませんが。

 そんなノーベル賞にまつわるあれこれ思ったことを無駄に長々書きました。