てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

TPPと尖閣

 さて、何かと話題に上がることが多いTPPですが、己は別にそこまで批判的ではないんですよね。どうせ「聖域なき」なんてできっこないですからね。TPP参加で補助金漬けのアメリカ農業は壊滅すると大前研一氏 ―とあるように、日米の二国間だけならともかく、多国間交渉ですからね統一ルール作るだけで一苦労で、穴ぼこだらけになって、結果ウルグアイ・ラウンドの延長になるというのは同感。

 せっかく安倍さんがTPP交渉参加しますって表明したのに、その途端メキシコ・カナダという後発参加国がそれ以前に出来たルールについては異議を唱えられないというぐう畜ルールを唱えだしたという…。

 日本が参加してこそのTPP、共通ルールづくりの意味があるのに、何考えてるんですかねぇ…。こんなばかなことやったら日本は不参加せざるを得なくなる。いくら圧力かけても安倍首相にイエスと言わせても、議会が反対してはねのけるに決まっているでしょうにね。アホですね。

 そもそもこういう太平洋諸国、米同盟圈で統一経済ルールを作ろう!というのは一朝一夕では出来ないもの。50年、100年単位で後から歴史を振り返った時、ああここから取り組み始めて、今こういうふうなスタンダード、制度が整っていったんだなぁ~と思われる長期的なプラン。深遠なものであって、ハイやります、ハイでましたなんて簡単にできるものではない。

 今のようなスター段階、一発目は「え?なにこれ?これまでの基準・ルールにちょっと手を加えただけで、既存制度に毛の生えた程度じゃん…失敗以外の何物でもないわ…」とドン引きされるレベルで、まずは信頼醸成レベルから始まっていくもの。そしてそれが二回目・三回目と数を重ねるごとに少しづつステップアップしていくというものですよね。

 それを一発で短期的に結果を出そうとしている。そんなこと出来るわけ無いでしょう?アホか?と言わざるをえないそもそも根底的にそういう国際制度・レジームについての理解がかけていると疑わざるをえないレベル。例によって日本に圧力を多少はかけてはいるのでしょうが、それ以上に、国内米志向の官僚様が一番躍起になって追従しようと全力前身ねこまっしぐらという構図なんでしょうけどね。

 「同盟傘下の諸国に、鶴の一声かければまとまるだろう」―という驕り高ぶった姿勢が見えますよね。日本がどうであれ、こういうのはまず失敗すると思いますよ。知り合って間もないのに、一回目のデートでプロポーズするようなもんですから。

パワーと相互依存/ミネルヴァ書房

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 ―を今読んでますが、ナイ・コヘインが主張するようにレジームというのは相互依存をより高めるものであり、大国・小国それぞれがルール作りにおいて平等に発言しあいルールを決めるもの。一件、大国のほうが多く譲って損をするように見えるが、きちんと意見が反映される、ルール作りに参加できるという公平性がリーダーとしての信頼を高め、結果的に国際秩序に安定をもたらすとしています。

 まあ、以前から拙ブログで述べている当たり前の話ですね、強圧的・トップダウンのリーダーより、部下のことを思いやって自分の身を切るリーダーが好まれるというやつです。そういった当たり前の国際秩序の法則を無視してまたしてもアメリカ単独主義、アメリカの都合で国際制度を弄ろうとしている。そんなんじゃ失敗しますよ。核なき世界を主張したのも、これまでのレジームへの回帰=国際協調主義へと舵を切り直したと考えられますが、TPPにおいてはそういうことが出来ていない。

 すなわち前ブッシュの単独主義傾向から、がらっと国際協調主義・路線に修正したというわけではないんですね。オバマさんの限界というかアメリカの限界ということなんでしょうけどね。TPPの失敗に直面して、次の大統領こそちゃんとした国際協調主義の人が出てきてくれることを望みますね。

 んで、TPPと同じく自国の主張を押し通すという尖閣問題があるわけですが、沿岸警備とかそこら辺の権限をまとめて国家海洋局に統合するというプランが出てきたようです。

 海洋管理部門を国土資源省の国家海洋局に統合して権限を強化する一方、海洋戦略に関するハイレベルの調整機関「国家海洋委員会」を新設するとか。んで、尖閣とか海洋資源確保などの日本との対立を視野に入れたものだと言われてますけど、無論その要素もありますが「第二海軍」を作って暴走する海軍を封じ込めようとする例のアレでしょう。暴走する軍隊封じ込めと、自己の手足としてしっかりコントロール聞く舞台に問題を任せたいというところでしょうね。そっちが本命ですね。

 (※リンクママ引用)尖閣に海洋監視船「海監」を派遣している国家海洋局に、農業省漁業局傘下の漁業監視船「漁政」、公安省辺防海警(海上警察)、海関総署海上密輸取締警察の3部門を統合する。新たな国家海洋局に所属する艦艇は、海上での取り締まり活動の際には「中国海警局」という名を使い、「公安省の業務指導を受ける」

 ―とあるので、公安省に権限をまとめて直轄にして、そこ経由で言うことを聞く日本でいう沿岸警備隊のようなものを作るというところでしょう。んで海軍が出張らないようにここを中心に対処して問題が日中関係悪化になることを防ぐという算段ですね。ここ中国の海軍レーダー照射事件についてで書いたように海軍が暴走して迷惑をかけた以上、必ず中央としてはこれを抑えにかかると分析しましたが、まずはこういう形で来ましたね。さて、次は強硬派のパージにまで来るか?それとも当たり障りの無い部署に飛ばされたりするのか?注目ですね。

 共通点がわかりにくい人のためにもう一度書いておきますと、TPPも尖閣も(=米中とも、中国の場合は海軍というより小さい部署になりますが、)レジーム、相互依存、二国間・多国間関係を無視している。国家関係の共通利益を無視したものは国際力学によって自ずと排除される、潰される、失敗するという方向に向かうということを述べたかったわけです。TPPはまだですが、そういう法則を無視しているので、自ずと潰れると思います