てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

ADIZ防空識別圏についてのメモ

 ADIZ(Air Defense Identification Zone)防空識別圏というのは書いて字の通り、安全保障のためにこっからここまで通過する際には航空計画を出しなさいよというもの。自国の領空外に規制的な空域を一方的に設定し、その範囲に存在する航空機に義務を課すというのは、国家管轄権の違法な行使ではないかという指摘・議論もあるらしいですね。

 しかしちょうど領海の範囲が大砲が届く距離が伸びるにつれて拡大されていったように、航空機の性能が拡大してあっという間に領空入って、そのまま首都に到達することが可能になった時代ですから、まあ監視・誘導するだけならいいんじゃないって感じですね。国際慣行として成立しているし大丈夫でしょう。不必要な緊張緩和するためのものですし(適当)。まだ完全に慣習法として成立していないみたいですが、今後変わるような新しい要素があるとも思えないですしね。

 公空上にADIZを設定するケースでは、それを認めない国には適用されないなど、またいろんなケースが有るみたいですが知らないのでわかりません。


■中国のADIZ 「識別」と「実行」を割っている?

 まあ、そんなことを考えると、ポイントはまず実際にこの防空識別圏に基づいた排除を実行するか。そして尖閣を中国領として考えて近寄ってくる航空機に対して排除命令を出すかということですね。設定だけの挑発・示威行為で留まる可能性もありますが…。はてさてどうでますかね?

 日米空軍機や民間機が中国に事前通知せず通常運転すればそれだけでもう中国のADIZ宣言は無効化・無意味化する。そして実際に米は早速爆撃機を飛ばしました。民間機についてはそういうプランを出しなさいとなっているみたいですけどね。

 中国はADIZを設定しても、厳格に応用するかしないかは、結局中国が判断すること。今回は宣言だけで、軍事的緊張が高まったら実際に運用する。今は平時で緊張状態にないから識別圏に入っても発動しないという可能性はあると思うんですけどね。どうでしょうか?一律にいつでも適応する気なんでしょうか?

 で実際、識別圏を設定しただけで実行には踏み切りませんでした。向こうの空軍事情知らないけど実行する予算とかちゃんとあるのでしょうか?軍事評論家の小川和久氏いわく、中国にはADIZ(防空識別圏)を管理する能力はないと。森本元防衛相も中国は今まで一度もスクランブルをやったことはないと発言。きっと今回は口だけなんでしょう。

 中国外務省は「識別した」ことを強調した。北なんかによく見られることですが、外交でこれまであるステップを細かく割って少しづつ実行するという手段があるんですよね。防空識別圏の「設定」と「実行」のプロセスを割っているんじゃないでしょうか?

 今回の中国の行為は外交上マイナスだ。という指摘もありましたが実際にスクランブル能力を備えた時の布石かもしれませんね。五年後十年後単位の話でしょうね。そういうことができるようになる時期は。いや詳しいことは知りませんけども。海軍に力を入れる、空母を作って、それから空軍へというステップを踏むでしょうから。空軍もちゃんと防衛能力強化をやってるんだ!という風に見せたい。そうしないと海軍に比べて空軍のメンツがつぶれてしまう。そんな要請が空軍からあって仕方なくという背景も考えられそうですね。単純に空軍にごねられたんじゃ?という気もします。外交で戦略性がある、駆け引きを巧みにする国じゃないですからね、中国は。

 習近平も政権とったばかりで、軍部の掌握とかそういうことで強硬姿勢を示しているという線じゃないでしょうか?あの国は強いリーダー=祖国を守る!みたいな姿勢が必要条件ですからね。ですから個人的にはただ設定しただけという印象が強いですね。日米が持ってるならウチも!という背伸びみたいなものかと。

 中国の強硬的な態度は米にちょっと似ていて、未だ戦時中。欧米と戦っているという意識が根底にあってのものですからね。普段は眠っていてそういうのは出てきませんが、何らかの反応で呼び起こされる。もしくは定期的にそういう衝動が表に出て来るという感じですね。

 実際、中共にはスクランブル体制は整っていないようです。10年ほど前アメリカの戦闘機が敢えて大金門島に不時着して中共の監視体制を試したことあるらしいです。それに気づいたのは数年後だったとか。


■台湾のADIZはなし
 そういや台湾も一応尖閣の領有権を主張していたはずですけど中VS日米にあって、台湾はこれについてはどうしているんでしょうかね?防空識別圏を制定するとはけしからんと日米側に相乗りしているんですかね?日米と別に抗議しているんでしょうか?

 こういうときに、台湾は韓中とは別に領土紛争での主権の主張は、国際ルールに則って現行国際秩序を犯さずにやる!とかになるのかしら?台湾が領土を巻き込んでナショナリズムに繋げるってイメージあんまりないな、そういや。たまに活動家が暴れてはいますけどね。

 宋文洲さんのツイートで、日本が5月に防空識別圏を中国側に一方的に拡げたというのが日本の報道ではなされていないというのを見ましたけど、正しくは2010年の5月ですね。決して今年のつい最近の話ではない。与那国空港のとこのWikiみたら米軍が施行していた識別圏を引き継いだのだという話みたいですね。本来日本の領空上であるにもかかわらず、台湾に配慮して日本の領空3分の2くらい台湾の防空識別圏に入っていたと。

 というかまあ米軍の事情なんでしょうけどね。ところが台湾の方はそこを自国でやる範囲内と認識していなかった。だから日台で話し合って、日本さんよろしくやでと拡大を認めたと。このへんは同盟圏内のよくある話。台湾としては、事実上の米日傘下としてその防衛を委託したということ。これまでの経緯を引きずってタブー化してたものを対中防衛をより確実にするために明確化したということでしょう。が、その後日本の行為は一方的だとして認めていないんですよね。

 台湾としては中国を挑発したくないと、裏では認めて表では認めてないという姿勢なのか。なるべく中国挑発を避けるためか?担当者や政権内情が変わって政策が変更されたのか。むしろ台湾の対応が気になる話ですね。日本の対応は日台の間、しかも日本の領空でもあるので中国より問題になるとは思えないんですが、どうなんでしょ?とりあえず抗議しといただけでしょうか?


■ロシア、不法漁船対策?
 露越の関係強化が対中包囲網の形成。ロシア軍機の東シナ海進出を抑制するために中国は防空識別圏の設定を宣言した。米日ではなくロシア牽制だという鍛冶俊樹さんの意見がツイッターで流れてきましたが、どうなんでしょうね?考えられなくもない要素ですが、ベトナムとそこまでロシアが今でも軍事的な繋がりを重視しているのか?海洋ルートについてソ連時代ほど執着していると思えないのですが。

 人民解放軍空海軍の派閥争い?というより、漁船など尖閣不法上陸で外交問題を引き起こしかねない。防空識別圏という名を借りて、スクランブル能力を高める=民間人の勝手な行動をいち早く察知し取り締まる事ができるようにする。そのための措置という可能性もありますね。また露越に対抗する必要性がどれくらいあるのか気になる話ですね。


 どうでもいいですが、「中国と共倒れしろ」「ついでに日本を占領だ!」 防衛 ... - J-Castニュース  防衛識別圏で「日中戦争」期待する韓国ネット民ーというのを見ました。 まあ、ネタなんでしょうけど、日中戦争で共倒れで韓国が漁夫の利!両方共手我が国支配下に!とか思ってるんでしょうが、そもそも開戦なら真っ先に韓国・半島は橋頭堡として叩かれるんですけどね(^ ^;)。

 防空識別圏を協議して正式に決めろってオチの可能性はないですかね?結構隣国双方で話し合って防空識別圏を設定するのが普通みたいなことを見ましたので、その話し合いの推奨かも?


■レーダー照射について
 レーダー照射事件の時、中国の非常識でありえない行為だと思っていましたが、そもそも日中間では取り決めがないということらしいですね。デタント以降初めて米ソ間で海上事故防止協定(INCSEA)ができて規制されたという流れだったんですね。日本も同じく、日露海上事故防止協定を結んだと。しかし日中間ではそれが結ばれていないと。

 領土問題でケリがついていない以上、中国はそれを認めたくないんでしょうね。つまり今までの領海侵犯とかもそういう交渉に引きずり込みたいということでしょう。日中海上事故防止協定を結びたいなら、領土問題を解決しろという条件付、セットで包括的にやろうとしているのかもしれません。本当にそういう構造的理解があってやっているかは微妙なところですが。

 中国のレーダー照射事件、各国の海上事故防止協定が禁じる「武器を直接指向する事による模擬攻撃」に当たらない可能性もあるかもしれないみたいです。まあ実際日中間で海上事故防止協定(INCSEA)が結ばれたら、話し合いでそういうのも禁止される方向に向かうでしょうけどね。とすると今までの中国の行動は挑発行為であってもそこまで非道とはいえないかもしれませんね。なんせ領土問題で決着がついていないですからねぇ。

 領土問題で日本は決着済み。そういう姿勢を取っている以上、その図式をひっくり返したい中国が、海上・将来的には空でも定期的に挑発する事態は起こりそうですね。

アイキャッチ用画像

China's Air Defense Identification Zone - Adiz (Crs Reports)