てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

世界史リブレットから、西欧の異端とか

中世の異端者たち (世界史リブレット)/山川出版社

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修道院にみるヨーロッパの心 (世界史リブレット)/山川出版社

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 読んだというか、目を通した程度であ、これ書くネタになるなと思いついた程度のことを。思いついたことをメモる程度の能力です。

 キーポイントは、秘蹟・貧民救済・女性カタリ派なんか異端というのが話題になるわけですが、まず秘蹟について有効なのか無効なのかというテーマが出てくるのですが、要するに呪術師ですよね。当時の一般人が聖職者に求めるのは、魔女と紙一重。

 救われているかいないのか、「救済」についての疑念・疑惑が一般人にある以上、いつでもどこでも異端は発生しうることになるわけです。

 貧しい生活に、病気や戦争など理不尽なことがひとたび起これば、「おかしいじゃないか!」と民衆の不満は爆発するわけですね。それが異端信仰に結びつくという力学・構造が根底に存在するわけですね。

 貧困がテロを生む―とはよく言われることですが、これはこの当時の欧州に全く同じことが言える話なわけです。本当、手を変え品を変えた異端が起こってるんですね、知りませんでしたが。中には金は使われることで、本来の目的を達するから人のものを勝手に使うべし!みたいなわけのわからないものまで出てくると。そういうものに、丁寧に論理を作ってくるとか陰謀論みたいなやつですね(笑)。

 異端のパターンとして、突拍子もない頓珍漢なものとその社会に根付く宗教なり政治・歴史なりを、論理的に抑えた上で新しいものを打ち出しているものと大きく分けられると思います。宗教改革でも、新しい社会を生み出す社会・政治改革なんでもいいですが、成功しているのは大学者。教理に精通した知識人であるという傾向は不変でしょうね。王莽なんかもそういうタイプの人ですよね、結局失敗しましたけど。まあ呪術的な論理、まじない師的なものも備えていたのが王莽の面白いところでしょうか?

 ですから、前近代では改革を実行するのは「原理主義」になるんですよね。開祖がやってたこと、言ってたことと違うじゃないか!だからおかしいんだ!開祖の時にもどれ!が合言葉になりますよね。フスとかルターなんか、まんま「原理主義運動」ですしね。

 異端とされたカタリ派が、女性信者を多く取り込んでいたというのも、これまた面白い話でして、ミトラ教キリスト教とかなり似ていたのに普遍宗教になれずに負けてしまった、滅んでしまった理由と似ているところがあると思います。

 ミトラ教キリスト教に負けた理由が、軍人を主体にした宗教・基盤とした宗教であるのに対し、キリスト教は女性信者が多かったなんていう話があります。広い大衆に基盤があったことがキリスト教の勝利に結びついたと言われています。

 貧しい物の味方、弱者の味方であるためにまず女性のニーズに適合して広がっていくのは自然の理なのでしょう。

 仏が異端のカタリ派の討伐に手を焼かされたなんていう話がありますが、やはり相当政治力が乏しかったんでしょうね。ですから、中央が地方をコントロールしきれずに、政治・経済力が行き届かずに異端に支配を奪われる。宗教コミュニティがいたるところに乱立するというのが珍しくなかったんでしょうねぇ。日本でも中央の政治が衰えて、地方の政治主体を武士に奪われる前にこういった邪教集団とでも言うような、教団・異端が社会を動かしていたなんて事例あるんじゃないですかね?

 気になるのは、その広範囲の影響力を誇った「カタリ教」が社会を運営する政治組織に昇華するまでに至らなかったことでしょうか?まあ本人たちは異端ではなく、キリスト教だと思っていたようですけどね。カトリック教会のような組織をつくろうと思えば作れなくもないはずですよね。ルターみたいに教会に対向するために同じような組織を作るのではなく、そもそも「組織論理」そのものを否定するという発想・手段もありますが、当時の社会事情とマッチしたとは思えませんしね。

 やっぱり当時の貧しさ、経済力・政治力の乏しさが根底にあるんでしょうねぇ。当時のいろんなこと異端の発生やその成功・失敗を説明するのに社会的貧しさがそれをとく論理として一番マッチしそうですね。宗教改革も、興隆する欧州みたいな社会背景があってのことでしょうし。そういう社会背景と絡めて異端とかそういうのを説明する話を読みたいですね。まあヨーロッパもの手を出さないので、うまーく説明している古典的名著なんて探せばいくらでもありそうですけど。

 そもそもキリスト教自体が、貧民救済をテーマにしているので、一度社会不安があれば、何とかしろゴルァ!になりやすい。「異端」が発生しやすいというのも注目すべきことでしょうか。

 女性が社会的不満を持ち「異端信仰」という社会変革運動につながるという力学、構図は今で言うと「フェミニズム」ということなのかもしれませんね。これ思いついたので書きたかったんです(^ ^;)。

 もう一冊修道会の方で、三大騎士修道会は、神殿騎士修道会以外病院だった。病気は神の試練であり、その救護が救いになる―という論理なんか、まさに貧民救済・社会福祉ですよね。病気を救うためにいろんなじ議場を手広くやっていたらいつの間にか軍隊になっていた。(ゝω・)テヘペロ的な話なんでしょうかねぇ?日本の僧兵、武装教団にちかいものがやはりあるのでしょうかね?テーマ史的には騎士修道会が一番いいと思いますが、リブレットにそれはないんですね。面白すぎてやり尽くされたということなんでしょうか?

 十字軍はフランス人主体で出遅れたドイツ人がおいしくなるために、騎士修道会というものを思いついて進めていったという側面があるんですかね?ドイツ騎士修道会が、東プロイセンをドイツ化していったように、ドイツ化と不可分っぽいですしね。

 神殿騎士修道会は大国さながらの力を持ったが、フランス国王に財産を没収されて、火刑に処された。だまし討ですよね。教団を排除するには政治力しかない的なものがフランスの伝統なんですかね?そこら辺も面白いかな?とか思いましたね。