てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

野球賭博を叩きながら八百長を誘発する週刊文春

【目次】

 

 野球賭博という犯罪は脅しのネタとして八百長を誘発する

―の続きです。 

―というものがありました。この記事中にあるように、高木京介氏が真摯な反省をした、良心の呵責に耐えかねて―というような受け止め方をした人は殆どいないと思います。彼の言を聞くと、飲食店経営B氏が「とても怖い人」だった=ヤクザということでしょう。つまりヤクザに追い込みをかけられたから、隠し通すより自白する道を選んだというわけです。

 コミッショナーが調査の成果があったとか、心情に訴えかけるものがあったとか訳のわからないことを言っていましたが、反社会的勢力がプロ野球選手に野球賭博で追い込みをかけてきたという事実についてあまりにも無関心・的はずれなコメントという他ないでしょう。

 

 八百長とは選手の「弱み」を掴んだところから始まる。この野球賭博の場合は、金銭での借金から相手を脅す(借金の棒引きの代わりにプレーでエラーをしろなど)。その次にプロ野球選手が野球賭博をするのは重罪だと脅すこと。その二つの問題が発生することになるわけです。一度でも野球賭博をやらせることができれば、弱みを握ることができる。もしくは同じ秘密を共有することで、その「犯罪仲間」になる、一味に引き入れることができるわけですね。笠原の場合、おそらく入れ知恵されて、この「犯罪仲間」を作ることでコネを形成しようとしていたのではないか?と思われるフシがあります。

 今回は発覚してしまったがゆえにこういう展開を見せましたが、おそらく、あと5~10年(ヘタすれば5年以内)で現役を引退した後、その「犯罪仲間」の若手投手陣の誰かの伝手で将来コーチ・スタッフの職を斡旋してもらったり、もしくは情報をもらう。その情報によって野球賭博の胴元の一人、もしくはハンデ師になるということを考えていたのでしょう。

 福田への取り立てによって野球賭博の自体が発覚したとありましたが、本来、プロ選手の中に「インサイダー」を作る。内部事情に精通している人間をたらしこみながら、うまくやるものでしょうから、発覚はしない。発覚すれば、その野球賭博の胴元の摘発に繋がったり、賭博をやりづらくなったりする。また重要な内部事情のパイプを失う。そうでないにせよプラスのメリットは何もない。両方共損をする構造になるわけですから、あってもなかなか発覚しないもの。福田に「取り立てに取れにこれるものなら取りに来い」と言われて、挑発されて舐められたとはいえ、ノコノコ出かけていって挙句の果てに野球賭博を摘発されるとはバカとしか言いようが無いでしょう。

 その間に立って自分が肩代わりをすると申し出た笠原は、野球賭博の仲介人となっていたことを考えても、やはり単純にバクチ好きというよりも、そういうことを将来的に自分の仕事にするつもりだったと見て良いのではないでしょうか。

 

野球賭博の処分は1年間の出場停止に留めるべき

 ―にあるように、本来「野球賭博をした場合」に限っては、一年間の出場停止にすべき。文春のインタビューで何故か巨人戦に限っては賭けていないという点が強調されていたので不思議に思っていましたが、自分たちの出場試合の場合には、永久追放扱いだからですね。賭けの当事者がその試合に賭けるのは事実上八百長になるのですから、まあ言うまでもないこと。

 福田は二軍の選手=野球賭博止まりで、一軍の試合で八百長のしようがない。これは松本についても同じですね。彼ら二人は本来罪が軽くならなければならないわけです。笠原の成績を見ても去年は20試合程度でほとんど登板していない。防御率6点台の投手ながら負けはついていない。過去の成績を見ても負けがあまりない。野球賭博にはハンデ*1というものがあるので、ここで1失点しておけば…というケースがありえるものの、年間登板試合が多い選手でもないため、あまり八百長に関与できるようなピッチャーではなかったと見るのが自然でしょう*2

 疑わしきは罰せずの原則からすると、彼らは八百長の決定的証拠がない限り、永久追放にはすべきではない。無期失格ではなく、一年間の出場停止が本来の処分としては妥当なところでしょう。許しがたい行為ではありますし、厳罰化による綱紀粛正という意味で事実上の永久追放にしたいところですけどね。

 というのも永久追放をしてしまえば、そうなった彼らは不安定な環境に陥ることになる。そして以前言ったように結果、裏社会の人間になりやすいわけですね。自業自得とはいえそういうことがいいのかどうか?プロのいろんなことを知っている選手をヤクザが抱え込めば、ヤクザ・裏社会の人間が他のプロを引きずり込みやすくなるリスクが高まります。

 

出場停止一年ならば、問題はここまで長引かなった

 もし、三投手を暫定的に一年間の出場停止処分にとどめておけば*3、高木(及び疑惑が持たれている他の選手)はさっさと告白していた可能性が高かったと思われます。罪を償ってまっさらな状態でスタートしたいのが普通の人間の判断。隠し通せる可能性が高く、かつバレたら永久追放・いつ球界復帰できるかわからない―という処分を考えたら、まず殆どの選手はシラを切るでしょう。正直に自白したら損をするのですから当然ですね。

 しかし、高木の場合、そういうシラを切る選択に出たら、追い込みをかけられたと―本人は説明しています。「お前をかばってやる、面倒見てやる、あとは分かるよな?」ということですね。高木は良心がどうではなく、追い詰められた結果苦渋の判断に踏み切ったということです。一軍バリバリの投手であることを考えると八百長の疑いは他三人よりも高くならざるをえない、本来野球賭博だけの処分なら一番重くなる存在。にも関わらず正直に告白したからという理由で罪が軽くなるのだとしたらおかしな話です。

 

文春の報道責任

週刊文春 2016年 3/10 号 [雑誌]

週刊文春 2016年 3/10 号 [雑誌]

 

 そしてその背後には文春の記事があったということです。巨人が笠原・B氏が週刊誌に虚偽の情報を書かせていると報告しましたが、まあ文春のことですよね。そして松本・笠原にインタビューを受けさせたのが、B氏だとのこと。Tという投手がバクチにのめり込んで借金を払えず、電話をかけてもしらばっくれていたと書かれていました。これが高木のことなのでしょう。

 ということは、こちらの言うことを聞かなければ、T=高木をバラすぞ、次はTは野球賭博やっていたと書かせるぞと脅されたと考えるのが自然。文春はこのB氏の追い込みに、「八百長誘発」に(いくかどうかはともかく)加担したことになります。文春は「野球賭博はいけない」といいながら、八百長に引きずり込む手助けをしたことになりますが、それについては文春に責任があります。このB氏の動きにホイホイ乗っかってしまったことについてはきちんと説明をすべきでしょう。

 そもそも高木が悪い、野球賭博をしたやつを徹底的に叩くのがウチラの仕事だ!記事を書いた結果それがどういう結果をもたらすかなんて知ったことではない!―なんていうことはとおりません。当事者・関係者の一方の言い分・主張を取り上げて、結果そちらが悪かったが、それは知ったことではありませんは筋が通らない。何故それを報道する必要があったのか、その結果招来する事実・結果についてアフターケアがあったのか、高木の将来を考えて今自白しないと君は大変なことになるぞ。そのためのサポートをこちらはするから自白した方がいい―というちゃんとしたケアがあったのか、文春は問われるべきだと思います。

 

 下手な対応を取る巨人 問題はずっと続く。

 今回たまたま高木は自白するという選択をしましたが、そうでなかったら…。球界にどんな影響を与えたか考えるべきでしょう(下手したら自殺だってありえます)。これは巨人サイドにも言えることで、自チームの選手に蔓延している可能性があるのに選手を守るのか、それとも疑わしい選手を徹底的に追求する・罰するのか判断をくださなかった。処分を中途半端にごまかして、笠原やB氏とのラインを球団サイドで対応しようとしなかったからこそでしょう。この選手の自己責任で対処している現状を見ると、次の謝罪会見・将来のヤクザとの繋がりでの不祥事が起こるのは必然と考えるべきでしょうね。

 

※追記

勿論一番悪いのは不祥事を招く環境を許した読売巨人。そして野球賭博に手を出した選手達です。ただ文春にも報道の仕方に責任が伴ってくるということです。最近の報道を見ると、B氏は実はヤクザ系ではないのに、あたかもヤクザかのように見せかけている。そうすることで高木を「被害者」に仕立てあげて、問題の本質から目をそらさせようとしているとも思われる情報がありました。さすが読売、報道コントロールはお手のものという所でしょうか、そのあたりは注意を要するところなので、読売の恣意的な情報操作の可能性についても一応留意しておきたいと思います。

 また高木の1年間の失格・出場停止処分が決まりましたが、高木は一軍の選手であり、調査に嘘をついた。また闇カジノに出入りしていたなど新しくペナルティを課される事実が発覚したので、1年間の処分は軽すぎるという指摘を追記しておきたいと思います。高木が1年のみで、他3人が無期というのは明らかにアンフェアで筋が通らない処分です。この量刑の違いの基準・理由をコミッショナーは明確に説明する義務があります。こんなアンフェアな処分が許されることはありえないでしょう。コミッショナーは説明責任を果たすべきです

*1:1とか2とか0.5とか点差がついていて、その点差がついて勝たないと勝ちにならないというものですね。ハンデがある以上、単純に勝っても勝ちとしてカウントされない試合があるのになんで賭けるんでしょうね?どう考えても胴元有利だと思いますけどね。ホークスが強すぎて賭けが成立しないという話がありました。今年もぶっちぎりで勝てば野球賭博を壊滅に追い込めるかも…?

*2:外部との連絡で今ここで失点しろというリスクを考えると今後試合中の通信手段・携帯は没収されるかもしれませんね

*3:本来、八百長が発覚するまでは一年間の出場停止があるべき処分。とりあえずそう発表しといて、悪質な行為、八百長の証拠がかたまったら、より罪を重くするというステップを踏むべきでした。それこそ携帯の提出を拒んだので解雇・出場停止処分を長くするべきですね