てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

自民党について(2) 世襲政治(1)―名望家行政

安部、福田、麻生、と三人続いて宰相、もしくはそれに準ずる息子・孫という世にも珍しい縁故政治が続いた日本の政治はいったいどういう意味合いがあるのでしょうか?もしくはこの現象から何を読み解けばいいのでしょうか?

ここで私は名望家行政と言う一つのキーワードを用いて説明してみたいと思います。

 名望家行政といえばマックス・ウェーバーを思い出される方もいらっしゃると思いますが、ここではちょっとウェーバーとは違う意味合いで使いたいと思います。一時期、ヨーロッパでは政治が伝統的な貴族、世襲政治として行われました。それを担った貴族は、必然的に一身に政治責任に応え、名声を集めるため名望家と言われます。しかし後、この名望家が行政を担った状態から官僚によって行政が担われていきました。名望家行政の特徴というのは、官僚が恣意的な権力を行使する「家産官僚制」に基づき、欧州ではこの名望家の政治から、法に基づく「近代官僚制」・「依法官僚制」というものに移行していきました。官僚と名望家による政治の違いなど結構興味深いのですがここでは、本旨から外れるので割愛します。

 日本の政治と言えば世襲の割合が非常に大きく、議員の30%が世襲であると言われる政治体制です。昨今世襲が大きく取り上げたことからも分かるように、一つの問題として認識されていることは間違いありません。では世襲とは何なのか?世襲という現象によってどんな傾向が起こり、どんなシステムが成立するのでしょうか?

 厳密に言って、小泉も世襲政治家であったし、現首相も鳩山一郎という元宰相の息子という立派な名望家行政が五代に渡って続いています。名望家行政とは、この場合一つの「家」が中心になり、その「家」の血筋によって政治が担われる事を指します。小泉純一郎とは典型的なポピュリスト政治を行った人間です。ポピュリストと言うと衆愚政治の代表のように思われますが、日本の無階級社会では階級=政党と言う仕組みがないために無党派層が何よりも大きく、その無党派層の以降に最大限応える、もしくはおもねることは必然でおかしいことはありません。少なくとも特定の業界・団体とのしがらみを切れずに有効な政策を打ち出せない状況よりはよっぽど健全でしょう。

 政治のみならず、世襲というシステムは色んなところで見られます。つまりそれに有効なところがあるからです。「長所と短所は表裏一体ままならぬものよ」とDIOさまが言っているように、何事も長所と短所の両方見なくてはなりません。まず、長所としてはもちろん幼いころからその世界に触れることで英才教育が出来、優れた人材を輩出できるという点です。次に、短所としてはもちろん、その世界の担い手が必然的に少数の、特定の者達に絞られてしまうという点です。

つまり世襲というシステムは、その世界に新規参入者が少なく、かつ英才教育を受けたものが優れた結果を出す―という条件が備わったときに有効に機能するシステムであると言えます。

 まぁ、補足として、新規参入者に才あるものがいない、もしくは才があってもそれを上回る有害な性質を持っているなどと言う条件をさらに付け加えても良いでしょう。今の日本はこの条件を満たしているのでしょうか?排除しなくてはならない新規参入者がいるのでしょうか?もちろん答えはノーです。小泉純一郎世襲であるからその任を担えたのではなく、ポピュリストであること、若くして郵政民営化規制緩和という政策を唱え続けた政治家であるからこそ出来たのです。英才教育を完全に否定することまでは出来ませんが(事実彼の父が郵政事業に深い関係がありましたし)、少なくとも彼の実績に世襲政治家でなければならないというのは必要条件でも十分条件でもありません。

 重要なことは世襲政治家が担う名望家行政が有効に機能しうるのかという点です。安部晋三小泉純一郎のように、若いころから政策を訴えたのでも、YKKと言われるような地位を党内に築いたのでも、何らかの大臣など要職を経験したわけでもありませんでした。これは福田、麻生と言われる人物も同様でした。五年・十年前から少なくとも自民党内に○○あり!というような人物ではありませんでした。特定の政策を何か持っていなくても、広範な見識があるのならば、英才教育のかけらでも伺えるのであればいいのですが、少なくとも同上の三人の著作を読んで「なるほど!」とか「ほう、こんなことを考える人がいるのか~」というような感想を抱くものはありませんでした。ネットでは麻生氏の『とてつもない日本』が流行ったようでしたが…(´-ω-`)少なくとも上げ潮派と言われる成長路線を訴えた『上げ潮の時代―GDP1000兆円計画』の方がまだ関心を引きました。

長いので分割 to be continued…

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