てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

アフター・ヴィクトリーの感想

 

ブログ引越し&見直しの再掲です。元は10/01に書いたものです。

 続きです。重要なことは立憲型秩序といわれるもの、自分の力・優位をあえて捨てて、制度に参加することによって帰って相手の信頼を獲得することが出来、長期的に必ず自国のためになるということ。国際政治がこの制度・レジームの力が大きく働いており、どの国もこの制度の主導権を握ろうと動いていることを知っていただければいいでしょう。
 あとは、八のところですね。
世界中に「ハブとスポーク」型のネットワークを作る、これが米の東アジアで展開していく外交になるということです。

 日本にとっては対米外交を有利に進めるためには、どうしてもこの米の恣意性を防ぐための地域レジーム・何らかの制度が必要になる。そこで米抜きで地域の紛争・問題を解決できるシステムを創造すれば、米に頼る必要性はなくなる。しかし実は東アジアという地域はヨーロッパと違って、何百年も国家(国民国家)があーだこーだしてきた歴史がないのですね。世界の諸地域と比較してみても、国民国家の資質はある程度備わっているし、国家の中の同一性もある程度保たれているのに、それぞれの交流の歴史は著しく乏しい*1冊封システム・華夷思想からわかるように、そもそも外国というのは東アジアに存在せず、中心である自分たちの国に対し、蛮国があるという考えしかないために対等な交渉などありえなかったという歴史背景がありました。その思想ベースを現在にまで引きずっており、大きな影響を与えています。

 よって、鳩山政権のような東アジア共同体構想は一朝一夕には成り立たず、五十年・百年単位でなされるものでしょう.すべては安定した東アジア地域秩序のために、韓国の李明博政権を見て分かるように、どんな国でもやはり時間が経てば変化していくものです。仮に中韓はクソッタレな国だとしても、それを変える努力、対話と交渉で自分たちにふさわしい国に変える努力をしなくてはなりません.ネット上で単に悪口、シナだチョンだなどとわめいても世の中は変わりません.そんなヒマがあるなら、中国語か韓国語でも覚えて、相手の言葉で相手を説得すべきでしょう。

 今後日本は国内の利権を一掃し、政治システムを根本から改めて行くことになります.当然米との関係も見直されていくでしょう。軍事的独立をすれば沖縄の基地は縮小されますし、経済的独立にはアホみたいな巨額な米国債を減らしていく方向に進むでしょう。

 二国間交渉、二国間ベースで超大国と外交交渉をすれば必ず、他の重要な懸案を絡められて、外交的に不利益をこうむります。イラク戦争に日本が参戦して、その代償にブッシュが日本企業への膨大な訴訟をやめさせたように、政治・経済の問題はそのまま外交と関わってきます。

 内政と外交はリンクする。これは国際政治上の一大法則です。不利な相手との外交交渉に挑む場合にはどうするべきでしょうか?いうまでもなく、多国間ベースで自分たちが先に主導権を握る。そのためには自分たち独自のオリジナル・スタンダードを作ってしまうことです。六カ国協議というのは日本にとって、東アジアという諸国家にとってオリジナルスタンダードを作る場になりうるわけですね。以前書いたようにこの機構とは安定と発展を念頭に置いたもので、長期的民主化と経済発展を達成するものでなくてはなりません。地域機構でいえば、ASEAN要素が強く、かつ長期的民主政府を目指すためにEUのような要素が入ってくるでしょう。しかし、EUになるわけありませんから、あくまで民主化を促すものという意味です。当然独自の理論に基づいたやり方が必要になります。

 北は5~10年ぐらいで金正日が死ぬでしょうから、その後決定的な体制転換をしなくてはなりません。それをさせるために日韓の枠組み内に取り込み、経済発展を遂げさせ、台湾のように民主化・安定な政権を遂げさせるか、韓国に吸収させるかいずれにせよ、日本に・地域にふさわしい政体に変貌させる必要があります。対北を睨んで国交正常化と非核化=不戦条約や安全保障を与えてやらなければなりません。

 NHKで小泉=金正日会談の内容をやっていましたけど、北という国家は米に攻められること、体制転覆されることを最も恐れている国家です。19世紀のリアリスト外交・戦略・思想を前提にしているのに、査察を受け入れれば経済発展出来るとか、そんな論法で攻めても相手が納得するはずないでしょう。小泉訪朝で結局国内世論が硬化しただけで、二国間外交も、地域レジームの見通しも立たず、何がしたかったかさっぱりわからない最悪の結果になりました。彼らの常識ではトップが謝るというのはものすごい大きな意味があります。それで現状を打破しようというサインを送ってきたのに、それを無視して、拉致問題を終わらせることも出来ないんですから、彼らには無能・不義な相手としか移らなかったでしょう。

 もちろんここで言いたいのは北が正しいといいたいわけではないですよ。重要なのは相手がどういう理屈に基づいて行動し、何を要求しているかを理解することです。お互いの要求を理解・要請しあって、妥結するのが外交ですからね。

 つまり対北に挑むには安全保障をどうするか、という一大テーマがあるわけです。相手が受け入れる条件はそれですから、体制・安全を保障する地域安全保障機構を設けます。つまりこの東アジア地域では戦争を起こした場合、それ以外の参加国から制裁を受けるというものです。露ではなく、台湾を加えた六ヶ国でこの地域で戦争を許さないというシステムを作ります。日米韓中、どの国であれ、違反をすれば制裁を受けるという相互信頼システムにしなくてはなりません。少なくともそれを訴えなければ北の信頼を得ることは出来ないでしょう。今後こういう主張・提言をしなくては東アジア外交は進みません

 こういう保障を与えた上で、北に核を放棄させ、経済発展を促す援助をします。発展に十年、民主化に二十年、統一に三十年というプランが最もわかりやすいでしょう。同時に、このプロセスに違反する場合には日韓米中で軍事制裁します。場合によっては米なしでも良いでしょう。重要なのは叩くことで受けるリスクの大きさと、相手の約束を遵守した場合に受けるメリットをはっきりさせることです。それをはっきりさせるためのプラン・ビジョンがこの地域機構になります。

 今の日本の外交・現在の方針(鳩山以前の、自民外交)は対米従属という面がありましたが、それ以上にこういう外交方針は、隠れ単独主義、裏単独主義or~一国主義といっていいと思います*2。日本本土以外のことには関与・干渉しないという方針です。あるいは一人ASEAN主義といってもいいでしょう。日本人の世界・海外に対する意識の薄さが発露したものといってもいいと思います。だからこそ沖縄についても無関心でいられたのでしょう。

 EU・ユーラシア・アフリカ・中東・南アジア・太平洋・米・北米・南米、それぞれの地域にどういう外交方針・戦略を採るのかという視点が圧倒的に足りていません。一国の独立・戦略、地域の独立・戦略、そして各地域とどうやって渡り合っていくのかという方針・戦略を打ち立てるためにもこの地域機構は欠かせないものになります。まずは二国間ベースで韓・印・豪などとの関係強化、さらに軍事的強化に、二国間安保締結、ネットワークを構築し、地域機構へのアプローチといったところでしょうか?その過程では米と摩擦を起こすでしょうから、かなりの面で対米軍事貢献を求められるでしょう。いくら対米独立が国益にかなうといっても、必要以上に米との関係を悪化させる必要はありませんし、内政・外交改革を進める上で不安要素を抱え込みたくありませんからね。

 まぁ、こんなところで東アジア地域の日本の戦略・方針を展望するのは十分でしょうからここで終わります。殆ど外交政策提言になりましたけど。

*1:無論、華僑が多いところなんか同一性高いとはいえませんけどね

*2:今見ると、隠れ単独主義ってネーミングだせえなぁ(^ ^;)。センス無いなぁ