Foreign affairsからChanging Course in Moscow
過去記事の再掲です。元は10/11に書いたものです。
Changing Course in Moscow Is Medvedev Serious About a New Vision for Russian Foreign Policy? 2010/9/7
タイトルどおり、ロシア外交の話です。ま、普通の話。ソ連崩壊から欧米妥協政策。2008/8グルジア戦争で、その妥協政策が終わったと。ここが決定的なターニングポイントだと言っています。グルジア戦争の制裁によって、キャピタルフライトによって、ただでさえ金融危機で苦しんでいるのに、傷口を広げたと。09アメリカがGDP-2.6%だったのに対し、ロシアは-8%となった。
ロシアは強いロシア再建計画の失敗、頼りになる同盟国も見つけられず、was stunned to~愕然としていると。キルギスタンのマナス空軍基地からアメリカ軍を追い出そうとする計画もアメリカ以上に金を支払えず、失敗した。
メドヴェージェフは自身が形式上のトップとなっているthe Institute of Contemporary Developmentでmodernization alliancesと名づけている米、EU特に独・仏・伊との関係を深めたがっている。これによって外資を導入し経済の現代化を達成しようというのだ。『現代同盟』っての変だな、まぁ現代化を達成するためのパートナーでいいだろう。しかし何故、英日が入っていないのか?気になるところ。
メドヴェージェフは西欧流を受け入れて、関係改善=経済成長達成、強いロシアによってその国際的地位を取り戻そうとする。そのため米との関係改善は戦略上欠かせない。骨がらみの西欧コンプレックス、西欧崇拝ですね。
オバマになって新外交政策を採る。オバマのreset policy。関係改善を目指したオバマに対して、核条約START・イランへの制裁、アフガンへの新供給ルートの承認などなど、対米関係改善を図った。訪米時、シリコンバレーを視察、モスクワのハイテクに応用するため。
政権は軍や秘密警察などを見て、大国願望、西欧と対抗する路線を捨てない。んで、バカだから石油高騰で一時、調子こきましたと。
米ロ貿易総額は250億ドルに過ぎない。中国のわずか三分の一。米の対露直接投資はわずか4%。米はロシアにボールを投げ入れろ!具体的にはWTOを後押しすべき。まあ例の現行国際秩序に取り込んで内側から変化を喚起させよというやつですね。
New STARTに経済協力に、EU新安保に、ロシアの役割が大きくなるような提言をすべき。メドヴェージェフは経済立て直しが出来れば、再選の目が見えてくる。アメリカはロシアを後押しすべきだ。
もう、一本くらいやろうと思ったら、時間かかったから止めました。ちゃんと、毎回英文チェックしないとな~。
アメリカがいくらがんばったって、ロシア経済が発展するわけじゃないんですけどね。まあアメリカにできることはやっておくべきということでしょう。博士がじゃがいもについて、大ジャガイモ、ジャガイモ、ジャガイモちゃん。サア大きくなって、実って、運ばれておくれなんて、言ってもそうなるわけないっていってましたね。
アメリカががんばってもロシア人に直接教育できるわけでもない、資本主義精神が備わるわけでもない。金をどぶに捨てるようなもんだと思うが、LTCM、アジア金融危機から露の経済破綻まで、まだ10年も経っていないから投資するやつなんていないでしょう。あ、12年は経ってるか。でもよっぽど投資条件が整っていないとねぇ。ちょっとは外資を徹底して呼びこむ努力をしている中国を見習ったらいいのに。資源で一時的に持ち直しても結局またいつか同じ道になると思いますけどね、ロシアは。
フォーリン・アフェアーズ・リポート 2013・11&12
フォーリン・アフェアーズ・リポート2013年11月10日発売号
- 作者: ローリー・ギャレット,セバスチャン・スラン,ダミアン・マ,ポール・ホケノス,ラリー・ダイアモンド,他,フォーリン・アフェアーズ・ジャパン,Foreign Affairs Japan
- 出版社/メーカー: フォーリン・アフェアーズ・ジャパン
- 発売日: 2013/11/10
- メディア: 雑誌
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合成生物学のポテンシャルとリスク ―人類社会への大いなる貢献か、それとも悪夢か /ローリー・ギャレット
人工的に生命体が作れるようになった話。効果の大きすぎる細菌・生物兵器も。コントロールして限定的なターゲットのみに使えるようにすることも可能になるかもしれない。H5N1ウィルスの死亡率59%(スペイン風邪はわずか2.5%で5000万人の死者)、これを実験のために人から人へ感染する物を人工的に作り出してしまった。ウィルステロの危険性に、実験であろうとも厳格な基準、国際的取り決めが必要、それが未整備。WHOが国際的取り決めをしようとしたが、インドネシアのH5N1インフルエンザのウィルスサンプルの提供を拒否した。製薬会社がこのサンプルを元にワクチン・医薬品を作れば、米欧の得になるだけだから。根深い先進国の製薬会社への不信があると。エジプトのムバラク政権の時に暴動でこのサンプルが持ち去られている。今も行方は不明。
ヒトゲノム解析以後、数千ドルの機械で24時間以内に解析が可能になった。これは家庭で可能なレベル。ゲノムコードの伝達は情報の送信なので簡単。アルカイダがポルノ動画の中にメッセージを入れたケースも有るように、ポルノ動画で拡散をさせれば防ぐことは不可能か。悪用を防ぐために、追跡可能になるようにする番号付けが行われるようになる。すべての情報にバーコード化してひと目で分かるようにすることが進められている。
石油を作り出すバクテリアの研究とか以前話題になりましたが、そういうものもこの研究で進められると。
<特集 一体化する現実と仮想現実>
グーグルのXマン ― セバスチャン・スランの思想 /セバスチャン・スラン
インターネットでデータ化される世界 ― 「モバイルインターネット」と「モノのインターネット」の出会い /ジェームズ・マニュイカ、マイケル・チュイ
グーグルの方は自動車の自動運転とかスマート云々の話ですね。まあテクノロジー関係はいつものとおり特に食いつきませんので省略。
<特集 変化する世界のエネルギー地図>
クリーンエネルギーの黄昏? ― 迷走し始めたドイツのエネルギーシフト政策 /ポール・ホケノス
米原油輸出の自由化を /ブレイク・クレイトン
アフリカの石油ブームと「資源の呪縛」 ― オイルマネー社会還元プログラムの導入を /ラリー・ダイアモンド、ジャック・モスバチャー
例のエネルギー・資源関係です。これもとくにないですね。
大学ランキングが助長する知的孤立主義 ― より社会に目を向けた政策志向の研究を ピーター・キャンベル、マイケル・C・デッシュ
大学を評価する基準がおかしいというよくある話ですが、まあ別に特に取り上げることもないですね。そういえばウォルツの本が例に出てきて、このものさしだと影響力あるはずのウォルツがランク圏外になってしまう。―という話がありましたが、ウォルツを対した研究成果だと感じない己にとっては、正しいんじゃね?とか思ってしまいました(笑)。まあ基礎的な話として、必ず触れられなければいけないんでしょうけどね。
共産主義後のキューバ ― 経済改革とキューバの未来 /ジュリア・E・スウェイグ、マイケル・J・ブスタマンテ
キューバとの国交回復とかの話でしょうね。改革開放・移行経済の話ですが、まあそんな興味ないので。製造業の割合が低く、サービス業の割合が高すぎるとか、政府職員を減らして自営業を増やそうとしているが、あんまりうまく行ってないとか。経済制裁解除で、港湾として望ましい位置にあるとか、急激な移行はありえないとか、まあそんな話。
<特集 変化する中国の経済モデル>
中国の労働者はどこへ消えた ― 経済成長至上主義の終わり /ダミアン・マ、ウィリアム・アダムス
09年春節までに数千万人の解雇。無用の長物になるというリスクを犯してでも大規模インフラ投資。10年に資源集約型経済が起きて以降初めて求人が求職を上回った。資源集約型経済ブームを毎日体重の10%~15%の笹を食べるパンダになぞらえてパンダ経済という。08年労働契約法で労働者のコストが上がる。組合を無視した山猫ストの発生。ストライキなど起きないという幻想は消えてなくなった。
人が多い=労働者が多いではない。工場が好むのは若くて扱いやすい25歳未満の女性労働者。40代、50代の労働者は需要がない。若い男は進学を選ぶようになった。大学進学でも職がない若者の問題。ブルーカラー労働者はどんどん減っていっている。11-12年の間、年の労働者の賃金上昇の中間値は15%で、企業収益は5%。経済成長の果実は労働者に向かったと。これは内需主導型経済の移行にいい傾向。経済問題のリスクよりも、労働者の小規模デモのほうが社会・政治的リスクが大きい。
上海自由貿易区は第2の改革開放路線の始まりか /ダニエル・H・ローゼン
上海自由貿易区、人民元の自由な交換、関税なき自由貿易、外国直接投資に対する規制緩和などが上海自由貿易区で進められていく。TPPや韓国・日本との自由貿易構想の前の前段階か?まあTPPという流れの中にあって、なにもしないわけには行きませんからね。そんなにトントン拍子にうまくいくとはおもってないでしょうけど。AIIBとかそういうものの総合的なプロジェクトの一つとして考えているのは間違いないでしょう。鄧小平の改革の時のように沿海部から成果を積み上げて全体に波及させていきたいという考え。
中国経済と都市化政策 ― 問われる成長と社会保障のバランス /エリザベス・エコノミー
都市の住民の消費は農村の3.6倍。都市化が中国経済の内需主導型への転換のポイント。都市戸籍のない人間が増えている。ラテンアメリカのような都市スラムと社会問題の二重構造の罠にはまりかねない。医療・教育などの社会サービスを受けられる都市住民は35%しかいない。当然このサービスの恩恵を受けられるように予算を増やす必要がある。首相の李克強は上手くこなすことが出来るか?
サウジのトリレンマ ― 地政学と宗派対立と対米関係 /グレゴリー・ゴース
サウジはエジプトのクーデターを支持、暫定政権に協力的でない米に不満。シリアでの及び腰にも同じ。シリアでのシーア派・イランの影響力を見て介入。カタール・トルコはイスラム同胞団を支持、サウジはシリア自由軍を支持。エジプトでの同胞団や、アフガン・ボスニアでのジハーディストの支援の結果がアルカイダ&今の中東の混乱だから世俗勢力を支持と。そこから手を変えて、イスラム主義者達によるイスラム軍という勢力にシフト。アルカイダなどの過激派はいない。過激派を排除して彼らをまとめたのはおそらくサウジだろうと。
以前、世俗的なプロの軍隊に統治させるのが、軍政が現状の中東を考えるとベストという話をしましたが、サウジもそういう判断を下したということでしょうか。
アサド退陣にこだわるサウジ、父のハフェズとはそこそこの関係を築いていたが、バッシャールになってからは微妙。シーア派とスンニ派の宗派対立上、引けなくなっている。イランの核問題で妥協する替わりにシリアの優越を認めるのでは?という懸念がサウジにある故の態度。実際はこの湾岸で親米的な国家ならともかく、そうではないイランに地域覇権を認めるわけがない。
フォーリン・アフェアーズ・リポート2013年12月10日発売号
- 作者: アラン・B・シーレン,ヘンリー・ファレル,トバイアス・ハリス,ロバート・フェルドマン,ルイス・アレキサンダー,アブラハム・ニューマン,他,フォーリン・アフェアーズ・ジャパン,Foreign Affairs Japan
- 出版社/メーカー: フォーリン・アフェアーズ・ジャパン
- 発売日: 2013/12/10
- メディア: 雑誌
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破壊と汚染で原始海洋へと回帰する海― 退化する海洋 /アラン・B・シーレン
いつもの環境・資源&エネルギー・テクノロジー関連。タイトルそのまんまで触れることはないですね。マグロ・クジラなんかもそうですが、海洋資源は日本にとって大事なものですから、日本がなんか海洋の環境を守る取り組みを率先してくれると良いんですけどね。
<特集 アメリカの偽善と同盟関係の本質>
暴かれたアメリカの偽善― 情報漏洩とアメリカのダブルスタンダード
/ヘンリー・ファレル、マーサ・フィネモアー
なぜ同盟国は互いを監視するのか― 国際政治に信頼は似合わない
/ジェニファー・シムズ
スノーデンの影響でスパイについて云々。まあ、同盟国とはいえどスパイを全くやらないと考えるのもナイーブな話。しかし現代同盟国間でスパイをやるような時代ではない。経済領域など公平な狂躁が求められる分野においては尚更。ならば、スパイ・諜報においても同盟国内で規範・ルール作りを進めたほうが良いのではないでしょうか?素朴にそう思うんですが、なんでこれまでなかったのか。また今回のことでどうしてそういう話に発展していかないのか?不思議ですね。ウィキリークスみたいなのも、巨大な超国家に対するある種の「テロ攻撃」ですよね。正義・悪関係なく唯一の巨大な権力に対して、疑念を持って情報工作に協力しようという動機が高まる。見えないところから、あちらこちらから攻撃の手がやまない。対米情報工作支援の手が出てきてしまうのですから、ルール化してそれに従ったほうが「テロ攻撃」への対策として有効なのではないでしょうか。
サイバー戦争の神話と現実/トマス・リッド
以前もこんな話ありましたね。サイバー攻撃についての3つの事例。ソビエトのパイプライン爆発事故、07年エストニアへの攻撃事例、08年グルジアへの攻撃事例。どれをとってもサイバー攻撃の被害が甚大であり、サイバー戦争と深刻化するようなものではない。にもかかわらず過剰に取り上げられるのは、映画やテレビドラマかなんかの影響でしょうか?
諜報や後方撹乱、サイバー攻撃のほうが通常の戦争・兵器よりも暴力性は低く、トラウマも小さい。スタックスネットのように一時的な遅れ・障害をもたらすことはあっても、相手の意図を砕く、ウラン濃縮の阻止をするような段階にはない。
サイバー「戦争」は起こりえないし、実際は防衛目的での人員増強。イランのケースと同じようにこちらが、諜報や後方撹乱の被害に合うことを防ぐのが第一。脅威は常に存在し、「平和」という状態が訪れることはない。サイバー戦争=国防で国家の仕事ではなく、民間で自分で守らなくてはならない。攻撃が最大の防御ということもありえないと
<特集 第3の矢と日本経済を考える>
日本経済を左右する規制緩和と労働市場改革― ネオリベラリズムと「第3の矢」
/ノア・スミス
ネオリベラリズム政策を安倍晋三首相は取る、「第3の矢」で日本のコーポラティズム(会社本位主義)を終わらせると。経済改革=ネオリベラリズムという肯定的な用語として用いているのはどうなのかな?もうネオリベラリズムという言葉はネオコンみたいなもので、ネオリベとして経済的な改革政策としては信用性を失っていると思いますけどね。コーポラティズムと縁を切る、改革路線に舵を切るという理念には賛成できますけど、安倍首相がそれをやるというのは日本の政治の現状を知らないと言わざるをえないでしょうね。まあやらなければ日本経済・社会がダメになるという主張なんですが。文が短いからあれですけど、どうも日本システムに後進性を見出すといういつものパターン・手合という感じがしなくもないですね。
日本にネオリベラリズムは似合わない/トバイアス・ハリス
民主→みんなの党の浅尾さんの元スタッフ。上の文に対する反論で、まさにそのとおりだと思います。ロックスター並みの人気を持った小泉だって改革を訴えた。でもやったのはミクロ的な不良債権処理。元々安倍氏はネオリベラリズム的な思想を持っている人間ではない。根強い党・議会の反発で改革は失敗するだろう。
20年にわたって政治学者&社会学者はどうして日本で改革が失敗するのかという話をしてきた。それは、単一・単独なシステムではなく、相互補完的にからみ合って形成されているために、単独の改革では不可能。ダイナミックにあらゆるものを変えるくらいでないと成果は出ない。小泉政権時代に行われた労働規制改革は部分的なもので、バラバラに行われた結果、却って状況を悪化させてしまった。保護されている産業は地方に多く、ここから議員が多く輩出されやすいことを考えると改革がうまくいくとは考えにくい。明治維新と1940年体制、この2つの大掛かりな経済システムの見直しは民主主義体制で行われたものではなかったことに注目すべき。「上からの改革」以外にダイナミックな制度変革が行われたことがない=改革失敗不可避ですね…。
R・フェルドマンが語る安倍政権の経済思想と構造改革 /ロバート・フェルドマン
ハーバード流交渉術を誰もが読んだとか、マキャベリズムを思わせる国民への直接アピールで官僚・各派閥をコントロールするとか…?ですね。
世界経済アップデート― アベノミクスと中国経済の行方
/ルイス・アレキサンダー、ビンセント・ラインハルト、ネマト・シャフィク
いつもの経済インタビュー記事ですね、省略。
高齢化する中国社会の社会経済・外交的意味合い/ヤンゾン・ファン
暴れる若者が高齢化することで近隣諸国との摩擦も減るかも…という「高齢化による平和」というどうでもいい説が出てきますね。
1945年の恐怖と希望/マックス・ヘースティングス
イアン・ブレマー氏の本の紹介・書評ですね。
オランダ人ジャーナリストで大学でも教える研究者…。戦犯を裁くなら数十万人に対する懲罰が必要だったとか、戦争犯罪や戦争の責任について連合国・枢軸国どちらにも公平なものなのかな?とちょっと疑問に思ったんですが、どうなんでしょうね?これ?
<特集 シリコンバレーとNSA> シリコンバレーとプライバシーとNSA― 情報革命とプライバシー保護
/アブラハム・ニューマン NSAはいかにサイバーセキュリティを脅かしたか
/ネディア・ヘニンガー、J・アレックス・ハルダーマン
技術系の話。特にないですね。
グリーンランドの資源開発ブーム― 開発と汚染リスクに揺れる島民たち
/アンナ・カタリナ・グラブガード
タグタパイトという資源以外に、200を超えるレアメタルが。ウチ15は世界中でこの地域のみ。開発を妨げる要因は殆ど無い。自治政府でデンマークの属国状態と。温暖化で氷が溶けることで採掘が容易になり、独立も。資源で教育インフラも出来るとして、人口はどこから取ってくるのだろうか?57000の人口で移民が少し増えればもう大丈夫なのかな?
ウラン鉱の周辺採掘で環境破壊・放射性物質の影響などのリスクが有る。そう容易に踏み出せていない現状がある。中国の無節操なレアアース採掘で、国内に環境ダメージで数十億ドルの資金が必要になったケースもあり、慎重にならざるをえない。中国はグリーンランドの出資に積極的。環境問題もそうだし、アフリカでの劣悪な労働環境で中国は警戒されている。
中国のレアアースの独占と供給の管理で、各国が研究に熱を上げ始めている。開発を進めて、新技術で採算が見合わなくなるというリスクもある。フクシマの影響で環境への懸念・住民の反発も大きいと。ポテンシャルはあってもそうすぐには実現しそうにはない感じみたいですね。
シリア連邦国家の形成を― アサド政権と反政府穏健派勢力の大同団結を模索せよ /レスリー・ゲルブ
外交問題評議会の人ですし、特になし。そういえば、イラク政権を武力で打倒した結果、周辺諸国は制裁を恐れて言うことを聞くという可能性も上がったが、同時にいざとなれば、どこまでも徹底抗戦するというリスクも上げたと。だからシリアでの内戦で諸勢力は徹底的に戦う。化学兵器を使うというやらなきゃやられる感を導いたのはイラク戦争になるわけですね。もう完全にベトナム戦争・ケースを上回る、イラクケースですよね。ホントアホですね。
追い込まれたムスリム同胞団― 真の政治勢力へ進化するには /エド・フサイン
同胞団は世俗主義を受け入れよ。チュニジアのアンハナダ運動のようなイスラム主義を憲法に盛り込もうという動きをすべきではなかった。同胞団の創設者、ハサン・アル・バンナーはエリート層との関係をうまくやることを怠らなかった。しかし現同胞団、モルシ政権はそれを怠った。サラフィー派を切り捨てずに、彼らと手を組んでイスラム主義路線へ向かう失敗を犯した。これで庶民の反発を買った。
同胞団は個人的コネクションをもってしてそれで上手くやっていけると勘違いした。各組織の中核利益や価値観を過小評価した。アンハナダ運動も、トルコも女性が参加を認められている。同胞団では女性は別枠の組織になっている。組織の上部委員会は依然として50歳以上の男性。
イスラム主義の放棄と世俗主義による安定した統治が望まれるわけだが、軍政以後はそのような組織・勢力が出てこないかぎり民政以降は難しい。そういう組織を育てられるのか?アンハナダ運動よりも、遅れていると見て良いのかな?
教育ローンは将来への投資か、未来を抑え込む債務か /スティーブン・J・マルコビッチ
特になし
2013/8&9 フォーリン・アフェアーズ・リポート
あんま書くことないので二ついっぺんに。本当は三ついっぺんにまとめようとしましたが、それだとちょっと微妙に長いので。これだと今度は短すぎるんですけどね。
模倣せよ、本物を造れるまで中国経済、知的財産権侵害の話。以前の、米が経済発展して、大国になるまで欧の知的財産権をさんざん侵害したくせに何言ってるんだという話のそれと被ってるので、まあパス。後は中国はパクりながら、オリジナルのサービスを作って、国内需要に応えているとかそんなところですね。
ムスリム同胞団の終わりなき戦い/エリック・トラガー
エジプト初の同胞団出身のムルシ文民大統領。反ムルシデモで軍が追放へ。同胞団の抗議・抵抗が起こる。元同胞団メンバーの証言によると、同胞団は抵抗する「屋根」がある。ここまでは攻撃してはいけないという意味で、ムバラク個人を「屋根」として攻撃しなかった。ムバラク以後はその「屋根」がアメリカになった。今はそれが軍になっていると考えられると。同胞団VS軍事政権という図式が怖いですが、そのリスクは低いと見て良いのでしょうかね
誰がエジプト経済を救うのか― 湾岸諸国と変化する援助構図/マリナ・オッタウェイ
IMFの改革要求を拒否して、周辺諸国の支援に頼れるという図式の指摘があります。まあ、混乱してそれが自国に波及されたら困りますからね。同胞団政権と、軍政ではどちらが周辺諸国にとって好ましかったんでしょうか?それぞれのお国によって好ましい政権というのは違うのでしょうけど。
今のシーシー大統領は軍人で、かつ諜報機関出身だったとか。プーチンみたいな感じで理解するべきなんでしょうか?まあ、クーデターで同胞団を追放したので、何より重要なのは政治的安定=経済的立て直しですよね。そもそも同胞団の無策が経済危機をどうにも出来ないゆえにクーデターを引き起こしたっぽいですし。
日本を抑え込む「シルバー民主主義」― 日本が変われない本当の理由/アレクサンドラ・ハーニー
シルバーデモクラシーの話。というよりも選挙制度のいびつさについて指摘されていることにもっと注目されて欲しいですね。選挙制度改革は独立した外部委員会に委ねるべきだというのは同意です。若者のために、過度に硬直した労働ルールを改革する必要がある。昇進・賃金の引き上げは年齢に左右され、怠惰な従業員も簡単には解雇できないとありますが、どうですかね?つうかこれ書いてるのロイターの人、ジャーナリストですね、まあ指摘されるだけマシですが…。
<特集 日本のアジェンダ――エネルギー問題とTPP>
/ダニエル・P・オルドリッチ、ジェームズ・E・プラッテ、ジェニファー・スクラリュー
エネルギーアジェンダ。金融ビッグバンの一連の改革の中に、電力規制緩和も存在した。が、ニューヨークやカナダでの停電、エネルギー取引を扱うエンロンの倒産で05年に頓挫。電力自由化・規制緩和は原子力参入のコストを上げる。電気料金で原子力発電所建設後、電気料金が下がれば原発での安い電気もそこまで魅力的な商品にならなくなるから。
つまり小泉の脱原発はこの電力自由化を念頭に置いたものだったわけですね。13年に安倍政権で再びこの電力自由化が出てきている。今は原子力再稼働と規制緩和がセット、取引になっている。電力自由化と再生エネルギーで電気が安くなっていけば、脱原発も自然に進むという形になりそうですね。再生エネルギーが進めば…ですが。
蓄電技術の進化が電力供給と経済を変える
/ジェームズ・マニュイカ、マイケル・チュイ
蓄電、蓄電技術は世界を変える。スマート化の流れがここにも見られるということかな。グリッドストレージ・バッテリーストレージ。電気がないことが経済発展の障害になっている。が、この蓄電技術が進めば、電線を引けないようなところにも恩恵が及ぶようになる。この技術革新でアフリカなど一気に経済開発が進むということもありえるわけですね。いつになるかわかりませんが。
変貌した東南アジアへ帰ってきた「古い日本」
/ジョシュア・クランジック
東南アジアについての記事。まあ、フォーリン・アフェアーズ特有の何を言ってるんだお前は感が強いもの。たいてい、ここの関係者が書くものは「?」というものが多いんですよね。その地の大した専門知識もなく、米欧の俗世間感、一般感覚の延長で物事を語ってしまうからなんでしょうけど。
安倍は、民主主義・市民社会の言及なしと書いてますが、じゃあ何について言って欲しいのか?何を課題として、どの民主化・市民社会のための改革をすべきなのか、当該地域の情勢など論じずに単に言及しておしまいでは、米欧の二番煎じになる。米欧の主張をなぞればいいというのだろうか?東南アジアに歴史の論争はないが、過去の記憶はある。ナショナリズム・レトリックはプラスに作用しない。まあ、そのなんでしょうかね?華人社会があるところでは、否定的な作用がありますから当然、それを理解してのことなのか?まあ、皮相的な記事ですね。
インドを支える州経済の台頭― 経済再生を主導する州経済の躍進
/ルチル・シャルマ
国家のトップより、州政府のトップに強いリーダーシップが見られる。クジャラート州はインド内の中国と呼ばれていると。国政の80歳の首相に65歳の閣僚という平均年齢に対して、初めて州政府首相になった平均年齢は56歳。州政府のほうがまだ革新的なリーダーが登場しやすい背景があると。
国政では地方の基盤が弱く、全国的な政治家が国のトップになっている。州政府での実績を上げてから、それによって国政転身というルートは存在しない。地方改革からの国政転身は難しい構造になっている。州政府に権限をもっと移譲して、地方に任せるべきと。国のトップは融和的、州は独裁的というのがインドの政治構造。
インドの時代が来ると言われるだけに政治構造は面白いですね。これだとちょっとわかりにくいので、あんまり深く読みませんでしたが、もっと読める・面白いのなにかないかな。日本の本でもインドについて書いてあるのは皮相的なのが多いですしね。
中国における外国医薬品メーカー黄金期の終わり?
―というのがありました。特に触れることはありませんが、医薬品がいかに金になるかというのは以前堤さんの本にあったように、米の市場・医療や福祉を歪める暗い力を持つことからも明らか。中国市場は当然巨額の富を生み出すはずで、それについての中国の医薬品メーカーの登場だったり、米の製薬企業の圧力・売り込みなどは注目すべき話になってくるんでしょうね。