てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

【アルジェリア誘拐事件】 自衛隊法改正?ピントがずれた対策。必要なのは情報収集能力+「日本人」が標的にされた以上報復は避けられない

アルジェリアの誘拐事件で一応ちょっとしたコメントを。

 アラブの春以降、アラブ世界にレジーム・チェンジ(政権交代)が相次ぎ、大きな変動があったわけですが、当然政体が代わってそれで生活が良くなったなんていうメデタシメデタシで終わるわけはありません。むしろそれ以後混乱する、不安定になるだろうという見方が強かったのはいうまでもありません。

 今回のきっかけの一つにフランスのマリ介入が挙げられますが、誘拐事件ということにおいてあんまり意味が無いことですね。むしろ不安定化したアラブ・アフリカ社会においてそのような武装勢力・過激派が力を持っていったことに注視すべきでしょう。そもそもマリのどの勢力に呼応して、どんな主張を持っていたか、まるで見えませんからね。それよりは国内の仲間、政治犯の釈放の方が重点・意味合いは大きいでしょう。

 アルジェリアは国土・面積は大きい国でも、実際は砂漠だらけの点と線の国家。よくある国土は広いけど使える所は少ないという発展の見込みがあまりない、厳しい地形の国ですね。今回強硬な鎮圧策に出たのも、テロに弱いと言った背景があるのではないでしょうか?

 テロを断固として鎮圧する方針でないと、頻発する。国家としての体制が保てなくなる故の強硬策かもしれません。まあ国内情勢を知らないので、軍を掌握できていないとかあるかもしれませんけどね。強硬策に英仏が反対したのではなく、「事前通告無し」という点が非難されたという点は認識しておかなくてはならないポイントでしょうね。通告さえすれば特に非難もされなかったでしょうに、なんでむしろしなかったのか気になる所。欧米諸国に対する不信感でもあったんですかね?

 日揮という会社が被害にあったわけですが、今回の事件によって、誘拐・テロリスクが高まるとあれば、他所へ代替地を探さなくてはなりません。需要が他所に流れて更に貧困・混乱といった感じになりそうですけどね。どうなりますかね?またその恩恵を受けられる国なども出てきそうですがどうでしょうか?存外サウジあたりの湾岸諸国はこれでまた石油需要があがって、ホクホクだったりして?


【的外れ、トンチンカンな対応策】

 そして気になったのは今回の事件で自衛隊法の改正が~なんていう話があったこと。今回の誘拐についてなぜ自衛隊が関係あるのか?無論、国防のために軍隊の法整備を進めるということが重要なのは論をまたない話しですが、今回のケースとは全くが関係がないこと。何を言ってるんですかね?

 大体テロリストが大使館でも襲撃して立てこもったのなら、それを鎮圧する特殊作戦部隊でしょう?それにもっと予算を割くとかじゃないでしょうか?普通。今回の事件をきっかけに今後同じケースがいくらでも起こるでしょうし、邦人人質事件で当該国にそういう能力がない場合、特殊部隊派遣を要請されるでしょうし。それに力を入れろってことになるでしょう、普通。

 まあ、だからといって滅多に要請されることはないでしょうけどね。それ以上に重要なのは情報収集能力。有効な情報を絶えず集めといて、そのような危険性を事前に察知しておいて危険ならば通告する、あるいは何らかの対策を周辺国に協力要請すると言ったところでしょうか。

 日本の場合アメリカの方針に追従するという路線で、情報なんかいらん。独自で判断しないから。というあんぽんたんな思考のため情報収集を放棄しているフシがあります。が、情報というものは優れた諜報機関に勝てないからそこから教えてもらう・お世話になるというだけでは絶対に賄えない要素があります。独自で情報を集めておかないといざというときに動けないし、また同盟国と情報照会をしてより正確な物をつかむという要素がありますし、何より非欧米圏の日本だからこそ入手できるという性質が必ずある。そこで優位とは行かなくとも何らかの重要な役割を果たすことが出来るはず。

 まあ、いつまでたっても中央情報局を作らない国に何をいってもどうしようもないでしょうが。


【日本に重要なのは極東・東南アジア・中国での対応】
 そして何より重要なのが、地理的位置関係。どうやっても遠い日本がそこら辺で欧州より軍事行動なり、情報収集なり上に行くことは考えづらい。むしろ彼らにとって手の届かない極東・東南アジアあたりの情報収集に力を入れるべきでしょう。そこでなにか一大事が起こったときに、日本さんお願いしますと言われるようになっておかないと、今回の時のようなケースで日本さんのために頑張らないととギブアンドテイクで働いてくれないわけです。

 中国リスクが高まっていて、中国が万一ポン!とはじけたら欧州の在中企業・人員はまっさきに日本を頼るでしょう。その時何が出来るか、何をすべきか今から考えておくべきだと思いますけどね。

※別枠だったのを一本にまとめました。ここからは「日本人」が標的にされた以上報復をすべしで書いた話です。

 今回の事件でフィリピン人が状況インタビューをされていて、なんでこの人助かったんだろう?と不思議に思っていましたが、どうやら日本人がアメリカの手先として一致協力している以上、欧米圏と一括りにされてターゲットにされたようです。

 ―である以上、報復をして今後日本人をターゲットにするのはマズイと思わせないといけません。アメリカの子分・言いなりを止めて独自路線を歩むというのももちろんですが、国際情勢・国際社会の力学と構造を考えると自ずから限界もありますしね。まあ何より今の政府には親米・従米しかいませんし、反米色を持った政治家はパージされるようになってますから無理でしょう。

 軍隊を派遣するといっても、こういうケースではハッキリ言って役に立ちません。事件の顛末を見ればわかるように向こうの軍隊で十分鎮圧出来ましたからね。武装勢力といっても軍隊以上に勢力持ってるケースは稀でしょう。それはほとんど内戦状態ですね。

 で、今後こういった悲劇を産まないために日本としては報復をしないといけない。軍隊派遣して武装勢力に復讐する叩き潰す手助けをしないといけない。むこうが他所の軍隊の介入を好まないですからノーと言うでしょう。しかし、こういうケースでは過去に例がないですが、金を払ってでも武装勢力叩きをさせてほしいとしなくてはいけない。別に軍隊でなくとも特殊部隊や警察みたいな小規模なものの特殊任務で十分。報復で的確に脅威・恐怖を与えるメッセージを発しないといけない。

 必要とあらば、その勢力を根絶する。こうすることで日本人を殺したら、その武装勢力はより強力な敵を作ってしまう。ヘタしたら自分たちの組織が潰れてしまう。そうしないと今後世界中で邦人誘拐は何度でも起こるでしょう。

 ミャンマーの時のジャーナリスト殺害事件もそうでしたが、なめられると同じ事が何度でも起こる。ああいったケースではしっかり報復しないといけない。外交関係考えて手を切れないにしても、向こうの官邸に大砲ぶち込むくらいやってからにしないと、なめられる。なんで福田政権の時に毅然とした対応を取らなかったか、理解に苦しみますね。その後関係を改善すればいいだけの話。

 先進国には先進国の法に則った対応を、後進国には後進国に則った力の原則に則った対応をすべきですね。

 ※追記、どうも西村さんが己と同じ主張をされていたようです。Σ(゚∀゚;)。まあでもあの人は、武装勢力じゃなくてアルジェリア人を殺せみたいな無茶苦茶を言ってましたけどね(笑)。日本人テロリストが海外でこのような犯罪・テロをおこして、日本人許せぬ!日本人を殺せ!って言われちゃうと思うんですけどね(笑)。まあどういうロジックかよく知りませんけども。あと友好関係を築くこととセットなんで武装勢力皆殺し、報復スッキリは論外で、その国にとってその後の国造りもセットで協力していくことを同時に行うことがポイントなのは言うまでもないことですけどね。ハード&ソフトパワーって感じで行きましょう。

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アルジェリア人質事件の深層: 暴力の連鎖に抗する「否テロ」の思想のために