てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

規制緩和とバス会社の事故を招く体質


 ―NHKで運転手が気絶してしまい、多くの人を巻き込むバス事故がありました。バス会社の事故を招く体質という番組が報道されていましたので、それについて一言。

 会社側もちゃんと健康診断に行かせることは行かせているのですが、そこから再検査などの診断が出ても、それがなされているかどうかのチェックまではされていないのが現状だと。企業サイドは、かつかつで一人抜けられるとローテが回らないから、積極的に再検査させない。そして労働者側も、基本給とは別に実際に働くことで支払われる給与のために、健康診断の再検査などを積極的に受けないと。もしそこで引っかかってしまったら、生活できなくなるからだと。

 ―そんな背景があるから事故が起きたと。また、今若手が入ってこない。かつて花型だったバスの運転手も「規制緩和」の影響で、給与が安くなっている。そのために人が集まらなくなってしまったと。

 で、まず指摘したいのが、そんな労働環境、クソブラック企業ですやん…ということ。従業員が病気・怪我で仕事休んだら、給与が全額ではないにしても生活できないほど保証されていないというのはダメでしょう。むしろそこから手当が出てしかるべきなのに。

 そして「規制緩和」、結果競争が激化して、運賃を下げて、給与を払えなくなったというのは本末転倒でしょう。大手だから、参入企業が増えたから「ウチは3割運賃安く出来ますよ」とか、そんな簡単にできることではないでしょう、そもそも。タクシー会社も規制緩和で運賃が安くなったとかそういう話を聞きますけど、要するにそれだけ人件費を削ってる、賃金を下げているわけでしょう?果たしてそれはいかがなものか?そしてそれは本当の「規制緩和」なのか?ということです。

 まず、欧州福祉型モデルが有り、労働条件がいい、賃金も高い、そして福祉などが整備される反面、その分物価も税金も高いと。逆に米などの階級が激しい社会がある。低賃金労働のようなものは無論欧州でもありますが、その保障の少なさは比にならない。自由競争というより、個人への手当・社会福祉という発想がない、そういう個人へのケアが乏しい社会。

 日本はその米型の方へ進んでいるといえるでしょう。運転手のような仕事は単純労働であり、賃金安くていい、カツカツの生活をしろ!というのも一つの社会のモデルなのでしょうが、個人的には公務員の給与を下げろ!というよりもむしろ社会全体の給与を公務員よりも当たり前にもらえる方向へ持っていかないと行けないと思います(まあ公務員の一部は言われるとおり高いんでしょうけどね)。

 前にも書きましたけど、最低賃金とか給与を上げるような社会にして、物価もあげる方向にいった方がいいと思うのですよね。そして労働者が当たり前に手厚い保障を受けられるようにした方がいいと思うのです。そのほうが日本経済は上手く回るでしょうし、少子化対策にはそれしかないと思うからです。貧乏だから子供産めないわけですからね。

 先の文で、現実はそんな甘くない!それが当たり前だ!いい加減にしろ!みたいなことを思う人もきっといるのでしょうけど、本当の「規制緩和」というのは決して自由競争を推し進めて、賃金を下げてやっていけなくなるほどまでカツカツにするのではない。業界を破壊するものではないはずです。

 もしそうやってやってけないのなら、ギブアップして倒産。そして吸収されて新しい大企業でいい雇用環境が保証されるとなるのが市場経済の道理です。ところがそうならない、そしてその大企業がでかくなったら独占・寡占で分割される。もしくは価格サービスが適切な値なのか、チェックが入って問いただされる。果たしてそういう本来正常なプロセスが起こっているのでしょうか?

 そもそも規制というのは、規制しないとその業界が壊れたり、不健全なことが起こる。これ以上競争を推し進めてもサービスが向上するどころかむしろ独占が進むなどまずいことになってしまう。逆に市場の原理法則が作動しなくなってしまう。だからこそ市場や社会・公共を破壊しないために、競争の原則を曲げて「規制」を設けるはずです。そして時代が経って、改めて検証してみると当時と今とでは事情が変わった。これなら規制を取り払ったほうが良い。規制が今では逆に足かせになってしまって、競争を阻んでいる。競争したほうがより良いサービスを提供できるからこそ、「規制緩和」という判断に至るはずです。これでは「規制緩和」ではなく、「規制破壊」でしょう。

 無論、計算した前提に誤りがあったり、予想外のことが起こることもありますから、それなら現状を踏まえて新しく規制をかけ直せばいい。「規制緩和」とは緩和してハイおしまいではなく、絶え間ない検証プロセスが必要な物のはずです。どうも小泉改革規制緩和路線以降はなんでもかんでも「規制緩和」すればいいんだ!みたいな雑な感じになっている気がしますね。本当に必要なところには族議員や官僚の利権で出来ず、うまみがなくてそういうコネがない・パイプがない分野には行われて、元に戻らない、再検証がないという形になっているような気がしますねぇ。

 われこそはバス・タクシーの政治家!みたいな人聞きませんからねぇ…。ですから、何度も言ってますけど、労働党作って、労働者の条件を向上させる政党になるべきなんですよね。共産とか公明とか、憲法9条とかそんな暇なことやってるから支持を得られないのにねぇ。そんなことより賃金、医療保険、派遣などの同一労働同一賃金とかそっちをやらないといけないのに、やる政党がないから今の労働環境・雇用の地すべり・底抜け現象に歯止めが掛からないわけで。業界や経営者に命綱握られている状況でしょう。王様の慈悲にすがるしかない前近代みたいな状況でしょう、これ。

 基本的に移民はいいと思うんですが、今の移民の話って、結局この労働者の状況を改善する気もなく、さらに安くてよく働く人を入れて解決しようということでしょう?それならより多くの労働者の状況は悪くなるでしょうし、入ってくる外国人を敵視する排外主義が絶対高まりますよ。ですから、今の雇用・労働環境などを改善しないままの移民は賛同できませんね。

 本当不思議ですよね、愛国名乗るなら国民・労働者を何より重視して救うはず、何より少子化を何とかするはずなのに、自民党は真逆のことやってますからね。まさに愛国サギ。

 今のような政策・方向性だとアメリカのような社会になってしまう。望もうと望むまいとね、言うまでもなくアメリカは超移民社会なのでそれでもいいですが、日本はそういうわけにも行かない。根本的に社会を作り変える労力は果てしないものになりますからね。絶対自国民の少子化を止めるほうがコストが低いはずです。意識してるかどうかわかりませんが、今の政策は米化型。欧州化型にシフトするようなダイナミックな政権が誕生しないとこのままずーっと少子化傾向が続き、経済は停滞すると見ていいと思います。業界や企業に任せて賃上げなんてまずありえないでしょうからね。政治の力でやるしかこの流れは変わらないでしょうからね。