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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

EHカー『ナポレオンからスターリンへ』

本・読書―批評・批判・感想・レヴュー

ナポレオンからスターリンへ―現代史エッセイ集 (岩波現代選書 (96))/岩波書店

¥2,052 Amazon.co.jp

 レーニンからスターリンへというものが、氏の著書『ロシア革命』の副題にありますが。そこからAJPテーラーの『ナポレオンからスターリンへ』というタイトルは生まれたのでしょうかね?まあそんなことどうでもいいですか。てっきり、カーの欧州史的なものかと思い期待していましたが(そしてその歴史を扱う分物凄い労力と時間をとられるだろうと手を付けるのを尻込みしていましたが)、書評集みたいな本ですね。

 書評、取り上げる本を紹介、氏のコメントという感じの文章が章毎に繰り広げられるわけで、その取り上げられている本、特に氏の専門であるロシア革命周辺の知識がある人は面白いと思います。まあ己はそんなものないので、読めませんでした。というわけであんまりまじめに読んでいないんですけど、なんとなくメモ。

 ロシア革命がもたらした負の結果を指摘しつつも、農民・農奴が全人口の8割以上だったロシアを都市住民が6割以上に変化するに至ったその結果・功績を見落とすべきではないと。まあ、そういう面白いところがあるわけで、先に氏の『ロシア革命』とか読まないとダメですね、これ。国際連盟のコメントは一本くらいなので、『危機の二十年』の追記的な話は無いですし。氏の時代背景から言っても、共産主義・ロシア分析こそ大事だったということでしょうか。

 国際連盟の米不参加での頓挫、義務条項を破棄して参加を容易にしようというプロセス。再建と平和で米投資の上げ潮時代とラムゼイ・マクドナルド内閣とロイド内閣による1924連盟総会参加でようやく体裁が整う。戦争が終わって新秩序の道筋に5年もかかっているのが興味深い所。

 国際連合の強引な性質、参加義務・奉仕義務を見るとその反動なのだということがわかりますね。そしてその非現実性に基づくゆえに、あっさり崩壊したのも。戦後米経済が大きな役割を果たしたことと新国際秩序が形成されていったことは、中国のそれと似たようなものを見出すことが出来るのではないでしょうか?比較ロジックとして面白いと思います。

 1920年ウクライナキエフポーランド軍の占領。ロシア勢力を東に追いやるというのは、今欧州の中で再び問われだしていることかもしれません。ロシアについて、正規戦を挑むなんて当然欧州諸国がやるはずもない。あるとすれば欧州内の貧民を利用したゲリラ戦でしょうか?シリア難民など今話題ですが、こういったん難民が欧州を通じてロシアにテロとして向かったらと考えると…面白いかもしれません。

 ウィーラーベネット『権力のネメシス』面白そう。

 マルクス主義は根付いたのに、自由主義はどうしてロシアに根付かなかったのか?それは前者には利益を得る人がいても、後者ではそうでなかったという背景による。当たり前といえば当たり前ですね。

 ロシア内部のユダヤ人が共産主義を支持していた。それを現実化させようと動いていたというのは、ナチスの宣伝材料に利用されたんでしょうかね?ロシア人差別のない理想社会を共産主義社会に見たとしてもおかしくないですからね。ナショナリズムよりも、「インターナショナリズム」を選択したユダヤ人。そして第二次世界大戦後、ナショナリズムに回帰してイスラエル建国に至るというのを見ると、現代国際秩序では国家なき民族は相手にされないわけでイスラエル建国も当然の流れなのでしょう。利用されるユダヤ人という姿を考えると、対ロシアの番兵として東欧あたりにもう一つイスラエル作るという手もあるのではないでしょうか?

 資本主義国内のプロレタリアートの反乱として共産主義が起こっているのではなく、プロレタリアートが貧弱・全く存在しないところで革命が起こっているという矛盾。むしろ帝国主義化する資本主義への植民地下の反乱となっている。