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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

報ステには、ショーンKの学歴詐称について説明責任がある

覚書

【目次】

 

 今週の週刊文春報道ステーションのコメンテーターのショーン・マクアードル川上氏が経歴詐称をしていたと報道されました。そして本人がそのことを認めたとのこと。本人のインタビューも載っていました。

週刊文春 2016年 3/24 号 [雑誌]

週刊文春 2016年 3/24 号 [雑誌]

 

 

川上氏個人についての問題

 まず川上氏個人についての話。まあ言うまでもなく、誰でもこの事について問題はないと感じる人はいないと思いますが一応。

 学歴について卒業や留学による実績がないというのは、重大な問題。聴講生というのは、要するに、授業を数回受けただけで、普通の学位に存在する然るべきテストをパスしてない。最低限こういう能力がありますよという保証がないわけですから。能力に対する証明を意味する学歴にならない、なりようがない。ただ単に授業に出ただけなら、そこら辺のオッサン・オバサンとあまり違いがないわけです。

 米欧系の大学は入るのが易く、出るのが難しいと日本の大学制度と比較して言われますが、その入試すら受けていないわけです。本来海を渡って、そういう授業を受けたということを履歴として記載する感覚がおかしい(人任せにしておいたら、そういう風に書かれてしまったというのは「秘書が勝手にやった」を彷彿させる言い訳ですね)。語学留学して、そのついでに向こうの大学の授業を聞いてみた、雰囲気を味わってみたレベルなわけで、正直そういった人は今の時代探せばどこにでもいるわけです。海を渡る人がごく少ない時代ならともかく、今の世でこれはちょっと通じない話です。

 

 経営コンサルタントというのは、ピンからキリまで存在して、基本実力主義の世界。その世界で実績を残し続けてきたとするのならば、それはそれで許される余地があるのだと思いますが、果たしてそういう実績がいかほどあるのか…。経歴詐称の問題がクリアされるというわけではないのでしょうが、そういう経歴を偽ったとしても、ちゃんと報酬に見合った実績を作ってきた、顧客に示してきたのならば倫理的な問題のみで済むでしょうが、そうでなければテレビ番組で偽りの経歴で収入を得てきたことになり、裁判ざたになってもおかしくはないでしょう*1

 

事件の本質は個人の倫理ではなく報道ステーションの姿勢

 彼の本名が川上伸一郎だとか、本当に彼はハーフなのか?などと色々な疑惑があると思いますが、それについてはさておいて、報道ステーションはこの一連の顛末について説明責任がある。

 ―というのは、何故彼を採用したのかということ。普通、就職試験の面接でも学卒証明書を持って来いとは言わない(無論実際の入社の際には証明書提出を求めるでしょうが)。が、その人間性以外にも、ちゃんと能力があるかどうか簡単な質問をするもの。そこでどうしてこれはおかしいと見抜けなかったのか?

 こういうテレビ番組で、コメンテーターとして人材を引っ張ってくるときに、優秀な人間と見込んで声をかけるわけですから、学位について証明するものを提出せよとは言わないでしょう。それが必要のないほどの能力があるからこそ声が掛かるわけで、まず要求する必要が無いわけですね。

 要するに川上氏本人の問題よりも、報道ステーションという報道番組のつくり手が、彼の能力をしっかり測れなかったこと。然るべき人物が川上氏を「この人は優秀な人材だ、ウチの番組でコメンテーターとして是非起用したい」と判断した理由・経緯をしっかり視聴者に説明する必要性がある。

 報道するものには、報道について重大な疑問が持ち上がった場合、説明する責任がある。政治の説明責任どころか、我が国では報道機関に報道責任があるという恥ずかしい状況がある。報道責任を果たさずに、報道ステーションは番組を続けるつもりなのだろうか…。

 学位があるから、優秀な人材だと騙されました―は通じない。コメンテーター足るもの、いろんなことにコメントできる能力があるから選ばれるわけで、その能力があると判断する際に、基本となる専門分野での能力の判断が行われるはず。著作だったり、論文、専門分野での分析ペーパーなり*2ちゃんとした根拠があるはずです。経歴詐称をするふてえやろうをクビにしました!いや~私達も騙されたんですよ―被害者なんですよ―は通らないし、それでは済まされない。人選過程でちゃんとしたチェックがないから、チェック機能が働いていないからこういうことになるとしか考えられません。 ということは必然的に組織の自浄作用が働かない危険な組織であることを意味する。そういう意味で今回の事件は、放置できない問題なのです。

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 ―ぱっと目についたものをあげてみましたが、英語が話せて、経営学を学んだからそれを飯の種にしようという所*3。あとは、自己啓発に近い本を出しているところから見ると、大衆に広く需要がある所をかいつまんで、うまく立ちまわっているというように見えます。そういう点ではマーケティング戦略に成功しているといえるのでしょうが。いずれにせよそういう人物を選んだ理由を鮮明にすべきでしょう*4

 

能力よりもコネ・見た目の人選基準?報ステは報道責任を果たすべき

 報ステへの疑問として、人選を「見栄え」で決めていないか?報道番組として一番大事な能力を軽視しているのではないかということです。この疑惑は「政治とカネ」なんていう問題の比ではありません。視聴率という目先の数字、利益のために重要な報道の質を二の次・三の次にしているとするのならば、それはもう報道機関として失格と言わざるをえない事実だからです。*5

 昨今では、古市氏という学者としての能力に疑問がある人物がテレビに出るようになりました。学術上の対立から、A派から支持されているが、B派から非難されると言った党派性の問題ではなく、明らかに疑問符がつく人物をさも学者の代表として出してしまう。そういった適切と思われない人物を平気で選んでしまうテレビ局の人選基準はおかしい。そういうことを知らない人・大衆には、彼は「学者」「学会・学問の世界で評価の高い人物」として映る。世論をミスリードする報道上の犯罪をしているわけです。

 別に古市氏を使うな!と言いたいわけではなく、能力に疑問符がつく学者というのは多かれ少なかれどこの学会・業界にも存在するわけで、そういう人を完全に排除せよ!となればまた別の問題に繋がります。時に鼻つまみ者や疑問符のつく人物を取り上げる、起用することは大事なことでしょう。ただ、問題のある人物をわざわざ高い頻度で選ばなくても、他にいくらでも高い評価を得ている人というのはいるわけです。そういう人物を選ぶことが基本。そうすれば、方のサイドの責任はゼロにはならなくとも大部分はその学会・学問上の問題になるのですから。普通に学会で発表を聞いて優秀な人間に出演を求めて、忙しい時にそういう人をバーター・穴埋めで使うということでいいわけです。起用基準が明らかにおかしい。

 学会・学問の世界に報道が恣意的な基準で口を出すな!となっては、身もふたもなくなってしまうのですが、少なくとも学問の世界の評価を抑えて、その上でメディアとして評価を下すことでもいいわけです。論文を読んだが、この若手の学者は招来間違いなく権威になる!是非うちの番組に出てほしいという事ができる人間がちゃんといるのでしょうか?原発問題の時に、それがわかるスタッフが誰もいなかったと池上さんが言ってましたが、そういうことを考えると専門性を持つ人間がいないとしか考えられません。

 報道に携わるものが専門性を持たない。これで一体何を調査報道するというのでしょうか?*6

 

ショーンK個人の問題と捉えるのならば報道の再生はない

 これは単なる一芸能人(?)のよくある経歴詐称という話ではなく、テレビ界・報道界の根本的な問題を象徴している事件だといえます。社を上げての検証・真摯な反省をして、報道責任を全うすべきだと思います。そうでない機関が政治について責任をと主張しても誰も信用することはないでしょう。

 

※追記、古舘氏は番組で同僚に対する弁護の意味で、彼の能力について公的的な発言をしたようですが、報道に携わるものとして能力を測れないと自白をしているに等しい。このことも問題発言だといえるでしょう。またフジテレビでも彼を起用するつもりだったとか、どうして起用しようと考えたのか、フジテレビも説明する責任、報道責任があります。新聞・テレビは世間の批判にまっすぐ向き合い、報道機関としてのあるべき姿を追求すべきでしょう。

*1:無論、そういった実績があったとしても経歴詐称によることで訴えることはあり得ると思います。過去のこういうケースの判例が気になるところ

*2:経済誌への寄稿などですね

*3:彼の40代後半という年齢を考えると、当時はそういう人が大勢いて、それで一発当ててやるというか、それで食っていけるだろうという雰囲気があったということじゃないでしょうかね?

*4:彼のマーケティング戦略にマッチする=報道側がそういう人間を求めているということでもあります。彼を腐っている人間だと叩くのならば、その人間を腐らせたシステム・社会制度の腐朽を問いたださないのはアンフェアを通り越して異常と言えるでしょう。問題の本質はどう考えても前提となる社会制度、その前提から今回の出来事が派生したわけですから。

*5:それこそかつてクレヨンしんちゃんで、小宮悦子が美人(好みのタイプだったかな?)で好きという理由で幼稚園児にわかるはずもないニュース番組・報ステを見ていたというネタがありました。そういうことは言うまでもなく、あくまで二次的な要素に過ぎない。報道番組足るものそういった見てくれというのは二の次・三の次に考えなくてはならない。

 たまたま出ている人物が美形だったということで成立するクレヨンしんちゃんのネタがこれで成立しなくなってしまった。まあ今のテレビではそんなネタやってるはずもないですが、過去の漫画を見た時に当時を知っている読者以外には理解されなくなってしまうでしょう。報ステは容姿を売りにしているショーだから、しんちゃんがそこだけ見ている、なるほどねとなってしまう。作者の報ステに対する風刺なのね、と理解されてしまうのですからね

*6:文春がやっていることこそ調査報道といえます。今の日本では文春以外報道機関が存在しないと言われても仕方がないでしょう