『知の鎖国』 アイヴァン ホール
ブログ引越し&見直しの再掲です。元は10/03に書いたものです
- 作者: アイヴァンホール,Ivan Hall,鈴木主税
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 1998/03/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
日本の閉鎖的なシステムを打破することを唱える己にとって、読まなくては!と思う本。しかし、中身を読んでいて?とかうーん…(´-ω-`)、イマイチ。
というのもこのアイヴァン・ホールという人がどんな人間かイマイチ不明なんですよね。森有礼さんの研究者みたいですが、この人が他にどんな研究業績を上げているのかよくわからない。つまり、日本の研究者であるのにもかかわらず、他にどんなことやっているのかわからない人間が、批判しても説得力がない。本書で述べられていることは日本人でも知っている、変えねばならないと思っているもので、そんなこといちいち指摘されなくても知ってるよとしか思われない。何故変わらないのか、現実と理想の差、どういう構造がそれを阻害し、どういう新しいシステムを作れば、変えられるのかといった指摘がない。そもそも日本語で筆者がこれを書いていない時点で、筆者の学術的能力に疑問符がつかざるを得ないのではないだろうか?日本語の著述がない、そんな人間が日本の大学で教えられるのだろうか?
よく、ネイティブスピーカー的な話が言われるが、正しい表現はこうだとか、訂正することなら日本人でもいい。そうではなく、どうしてそうなるのか、そう考えてしまって間違えるのかということを説明できなくては意味がない。マーク・ピーターセンのような人間が教えてくれるのなら、話は別だが。外国語はその人間より、日本との違いを認識し、こう考えればいいんだよというノウハウを持っている日本人の方が良いに決まってる。外人雇うくらいなら、優秀な世界中の人間が集まっているアメリカに行った方が良いに決まってるんだから。日本の大学は日本人に占められるに決まっているだろうに、そもそも需要が違うのだから。もちろんそれが大学の質を下げてはいるのだが。日本の大学は優秀な人間が、質の高い授業を授けるものではない。しかしそれは己の見たところ世界中の大学もあんまり変わらないと思われる。優秀な人間が集まっているだけで、教え方・工夫の仕方が上手い人間が揃っているとは到底思えない。
ただ、筆者のせっかく日本について専攻したのに、日本で職がないじゃないか!という憤りや悲痛は絶対知っておくべきだと思う。世界中の人間が日本を愛し、学んでくれるには、日本系の学を専攻して、より安定した・給与の高い職に付けるというシステムがなくてはならない。そうでなければ日本の世界シェアがなくなる。中国が物凄い期待感を持たれて、世界でシェアを増やしているのとは対照的だ。中国語・文化を学べば職が得られる!という期待感で隔絶の差があろう。グーグルのように、中国wayはいろんな批判を浴び、異様なモンスターを見るような目で見られるが、それと同等に期待感もあるということを忘れてはならないだろう。そして日本は良くも悪くも印象に残らない。地味キャラに移っているという事実を認識すべきだろう。
で、元に戻って、この人の分を読んでいて、頭が良い、なるほど!ぐいぐい引き込まれるという論理展開はなかった。これがダメ、こんなことがあった。またこうだった、―が延々続いてオリジナルのコンパクトなまとめがない。なるほど!そうだったのか!ということがないので途中で終わり、打ち切り、少年ジャンプです。