てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

平良好利氏のインタビューから思いつきを少々:押し付け憲法・占領政治体制を現代に甦らせる安倍体制

引用から、感想を書きたいと思います。
 普天間基地移設問題が浮き彫りにした敗戦国・日本の現実 『戦後沖縄と米軍基地』著者・平良好利氏インタビューダイヤモンド・オンライン bit.ly/1IXW8qT より。


 「占領のシンボル」である在日米軍の撤退と基地の整理縮小に取り組む流れがあった。52年の段階で本土の米軍基地は13万5200haだったのが→61年3万350ha→72年1万9700ha→現在8000haと実際縮小されていると。

 にも関わらず、沖縄の基地は蚊帳の外。日本の政治指導者たちは、岸信介氏の言葉で言う「占領の残滓」の払拭という命題があった。その結果が本土の基地縮小。しかし沖縄はその恩恵を受けられていない。沖縄の基地は主権にかかわる「占領の残滓」というものとどう向き合うかという問題であると、なるほど。

 沖縄が問題にしているのは海兵隊、それが日本の安全にとって必要不可欠というならば、国外移転をめざし、どうしても必要ということであれば、負担平等の観点から、本土側が引き受けるという覚悟が必要
 ―同意。辺野古不要&他のどこかに代替新基地を!という議論が起こらないのは何故なのか…。野党は特にその安保の専門・担当の政治家に「移せる!縮小できる!」と主張させないといけないですよね…。

 太平洋戦争での多大な犠牲&戦後の米国統治下&米軍基地拡大の犠牲。岸氏ら保守の政治家、外務省など官僚にも申し訳ないという気持ちがあった。橋本龍太郎氏や小渕恵三氏くらいまでは同様。もっと言うと、沖縄県民だけでなく、沖縄で亡くなった18万人以上もの国民への思いがあったと。

 自民党小泉政権以来その性格を大きく変化させたのは言うまでもないのですが、経世会が離脱して、残った経世会系統の人材が壊滅して、清和会系統が主流になるとそういう自民党の良心・良識というのが吹っ飛んでしまったということでしょうかねぇ。そういう沖縄に対する当たり前の思いというのがなくなってしまったというのは。

 安保条約は基地提供の代替に安保の見返りを得るというもの。憲法9条維持は、基地を沖縄に起き続けることとイコール。これ当たり前のことでいつも言ってるんですけど、そのロジックをあまりハッキリ提示する人がいなかったので、こういう風に書いてくれるのは個人的に嬉しいですね。


 まあリンク読めばいいのにいちいち書く必要ないんですが、良い文章なのでつい。戦後史を考える際に占領とその構造の払拭というのは一つのテーマになるはず。安倍ちゃんの「戦後レジームの脱却」はその完成・延長上にあるはずだと普通は思うのですが、どうも戦後のいろんなことをチャラにする、忘却するという意味っぽいですよね…。

 前に、多分つぶやいた気がするんですが、中国・韓国との戦後的な価値観から結ばれた関係から脱却する、反省・謝罪という主従の関係を破棄する。まあこれはわからなくない、時間が経っていつまで言うとんねん!というロジックだから。ところが中韓と同じカテゴリに沖縄が入ってる節があるんですよね…。

 中国・韓国は一応外交上、敵にも味方にも変わりうる。しかし沖縄は違う。味方以外の何物でもない(というか国内のこと、自国の国民ですからねぇ…)。それを同一上に扱うのはどういう論理なんだ?と疑問を呈した覚えがある。これは多分戦後のいろんなこと全てをリセットするというのが今の自民党の主流・安倍政権のスタイルという気がする。

 安倍という新リーダーが出てきた、以後安倍ルールですべてが動く。新基準・新法になるために、それに従いなさい、なお異論は認めません―今の自民党政治ってこういうことなんじゃないですかね?多分、安倍さん以後の首相でも、同系列の人間なら同じ態度を取る可能性が高い。

 本物の政治家、本物のリーダーが出てきた。新時代の始まりだ!みたいなそういう思いが根源にあって、「正しい」政治をしている。これまでの「間違った」政治のやりかた、相手を「甘やかす」ようなやり方、もしくは悪いやり方は許さない―という態度になってる気がしますなぁ。

 優れた実務の裏付け、キャリアが背景にあったり、学術的な裏付け・根拠などが背景にあればいいですけど、そういうものがない。ネットで真実!に毛が生えたようなもので動いてますからねぇ…。新興宗教に目覚めた的なものを感じますよね…。*1

 小泉時代の強いリーダーシップ、派閥の長よりもポスト、総理・総裁に権力が一元化された結果、多用な意見・話し合いという土壌が積まれて、自民党という組織が変な色一色に染まるようになるとは、誰が思ったでしょうかね…。どうしてこう悪い方に悪い方に改革の影響が出るのか…。

 党内権力の一元化が話し合い、バランス感覚の重視という当たり前の政治の技術を自民党から奪ってしまった。それだけならまだしも、野党にまでそのルールを持ち込んで平気の平左というのは、議会政治上相当まずい状態であるという気がしますね…。落とし所を図るという当たり前の事もできなくなりそう…。

 昔の「数は力」政治が終わって「よかった、よかった」と思っていたら、今の「数は全権委任」の時代が来るとは、一体誰が思ったでしょうか…。議会政治は議会における調停にこそ、その真価があるのに、ゴリ押し一辺倒ですからね、今の政治は。


 押し付け憲法許すまじ!的な論理が盛んのようですけど、そもそも自民の上の意見、内閣の意見をトップダウンで受け入れなければならない。条件については交渉しない、話し合わないというのが、そもそもその「押し付け」の態度そのものでしょう。そんなことでどうやって「押し付け」憲法のおかしさを唱えるのか?その歪みを改造できると思っているのか?

 まあ、米に対抗して、日本の独立を達成しようなんていうつもりはなく、今の日本のままで米に従属する。その従属体制の中で自分たちの高い地位を確保しようと考えて行動していると見ていますから、そんなことを言ってもしょうがないと思いますが。

*1:まあ、結局、敵か味方か&既得権かそうでないか、自民党の票田、権力構造に組み込まれているかどうかという話なんでしょうけどね。沖縄=左翼=社会党の延長で、敵勢力・敵サイドとみなしている。よって、自分達の政治圏内に入っていないから無視する・敵視するということなんでしょうけどね