てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

うつ病で自殺に追い込め―社労士ブログの問題は社会が「ブラック」を許容していること

 社労士のブログで、モンスター社員をうつ病で退職に、そして自殺に追い込めという記述があり、炎上して県社労士会が調査。厚労省(厚生労働省愛知労働局)も動く模様だとか。参照→こちら

 県の社労士のコメントを見ると、社労士がやってきたこと・方針とまるで逆のことをやっている。こんなことをされたら、社労士全体の評判が落ちる!台無しになる!という考えを抱いているように思えます。おそらく社労士の9割以上がこのような考えを持って仕事をしているといいでしょう。

 一部の変人・おかしな主張をする人間のために、所属する全員が、業界全体がおかしく、思われるのは今に始まったことではありませんが、そういう偏見に一躍買うことになるでしょう。まあ、第二第三のやらかしがないかぎり、そうそう社労士ってひどい!ということにはならないでしょうけど。

 ブログ炎上で顕になった「ブラック士業」の実態 という記事で、今野晴貴氏が解説していらっしゃいますが、ブラック企業の前に、「ブラック士業」という存在がある。ブラック企業がやっていることは明らかにルール違反でアウト、どう考えても裁判でやったら負けるのにもかかわらず、裁判で戦いを挑む。それは本文中にあるように、圧力をかけてゴリ押しで裁判に持ち込ませない。また裁判に持ち込ませても諦めさせるように戦略を取る。

 負けてもまあ裁判費用や労働者への賃金を払うだけ、もし、労働者の心が折れれば、その分得をする。つまり戦うメリット・利益が大きいわけですね。負けてもともと、勝てばその分労働者に払う分の費用をダンピング(正確には違うと思いますが)、自分たちの懐に入れることが出来ると。

 「いじめ」もそうなのですけど、突き詰めて言うと、日本の社会というのは「いじめ」を容認しているわけです。「いじめ」が発生したなら、しかるべき処置をする。特定の機関にプロセスが移って対処される―というふうになっていない。結局ケースバイケースで、たまたまその担当にあたった教師が無能・不作為だったら死ぬ。こういう形になっています。

 一大社会問題に対して、しかるべき対策・処置を講じていないということは厳しい言い方をすると、その問題を放置=容認していることと同じことです。例えば、日本の軍隊の補給問題のように、重視しながらも労力を注がないとでも言いましょうか。口で「けしからん!許さない!」なんて言っても結局やらないのですから、同じことですね。

 「いじめ」と同じく、「ブラック企業」問題、従業員・労働者における過酷な勤務・法律の規定を超えた異常な実態を放置するのですから、これは日本の社会が「ブラック企業」を許容している一連の問題を許容しているとみなすべきでしょう。

 今野氏は、ブラック企業だけではなく、このようなブラック企業に奉仕する「ブラック士」がいる。ブラック企業が従業員からピンハネした取り分が良い収入になっているという実態があるわけですね。なければ、このような「ブラック士業」は成立しないわけですからね。

 一人の頭のおかしい社労士が「社員をうつ病に追い込みましょう!」という考えを持っていたことが問題なわけではありません。その事自体が社会に許容される環境であること。これこそが本質なわけです。「ネットは馬鹿発見器」の名言のごとく、今回も一人御用になったわけですが、こういう人間が出てきて初めて「ブラック士業」が明らかになる・周知されるではマズイわけです。

 また言うまでもなく、このようなブラック社労士は氷山の一角でまだまだ存在するわけですから、大事なのはこういった「ブラック士業」が根絶されることにほかなりません。

 今回の問題は一アホが発見されて、社会的制裁を受けておしまいではなく、「ブラック士業」という存在を社会から消していく「戦いの始まり」なわけですね。この戦いがいつ終わるのか…。彼らが社会から消えて初めて問題の解決であることを、私達は見過ごしてはならないでしょう。

 今野さんの本興味が出てきました。読んだらまた書きます。