てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

失敗する田舎への移住

 地方移住に失敗した若者という話を見ました。震災で移住を促進している福島に移り住んだが、仕事が無い。多くの若者と移り住んだのですが、高学歴な人はNPOの運営だったり農産品のネット通販で稼いだが、自分にはそんなスキルはなかったと。

 月15万の地域活性事業の職をもらって、草刈りや掃除など地味な作業ばかりでうんざり。ゆるキャラの仕事をもらって、ぬいぐるみの中に入って、地域おこしをしていたと。炎天下で暑い中そんなことをやっていた時に、中の人が自分とバレているから、通りかかった爺さんに「あんたそんなことやって意味あるの?税金でしょ?」と言われて心が折れたとか。

 もう一例は、長野に移住した人の話で、田舎は寒いからストーブをつけっぱなしにしないといけない=光熱費がつく。さらにいろんな集会やら何やらがあって時間を削られるし、集会費やら、なんやらの出費がかかる。毎晩酒盛りがあって、それに付き合わないといけないと。

 田舎だからプライバシーがない、鍵がないから勝手に入ってくる。それにストレスを感じた。役場の職についたら、それが出戻りの若者の唯一の仕事で、周囲から顰蹙を買った。結果、孤立して結局ギブアップしたと。

 以上、たった二つのケースですが、田舎暮らしは厳しい!&難しい!というよりも、むしろなめているなという印象を受けました。なめているな、というか甘いというか。甘いという表現でも、全く最近の若者はけしからん!みたいだから語弊があるか。要するに移住をする上で「準備・下調べ」が足りないということですね。

 己が元々関西人で、子供の頃(5歳だったか?それくらい)まで向こうに住んでいて、関東に引っ越して今に至るという人間なので、よくわかるのですが、関東人関西人というのは基本別物。この二つのタイプは、日本語が通じるだけの異民族です

 それと同じように、都会の人間と田舎の人間というのも、心の作りがかなり違う生き物です。その理解がないとまずうまく行きません。それを理解した上で、きっちり対策が取れるか。異文化社会に移住してうまくやっていけるかどうか?そういうことをきっちり考慮して、対策した上でないと成功するはずがありません。

 上のケースはテレビか何かの村おこしの映像を見て、それが自分の理想的な生き方だ!と思い込んで応募したとありました。テレビなんですから、当然美化をするはずで、集団で移住する際、中心となって活躍する人とそうでない人がいるはず。自分がそうでない人になるというケースを果たして考えたでしょうか?

 地味な清掃や自然での肉体労働がキツイというのは、完全に想定の誤りですよね。それがむしろ辛い日常として待ち構えているということにどうして気づかなかったのか…?不思議で仕方がありません。田舎なんですから都会とは比べ物にならないほど肉体労働をすることは当たり前でしょう。

 ゆるキャラの話もそうですが、与えられた仕事についてどうこうという話ばかりで、では自分がどうやったらうまく物事を進められるのか?という発想がない。そも成功している先輩たちのように、何か自分にできるオリジナルのことを!ストロングポイントを、事前に考えておくべきでしょう。移住してからだって難しいとは言え出来なくはないはず。

 まあ文量が短かかったので 色々適応しようとやったのかもしれませんがね。

 そして次のケースは、同じようにコストを事前に調べておかなかったミス。田舎の人が自分に対してどう接してくるのかという調査のミス。そして就職してしまったら、ハブられたという村の慣習についての無知。

 行けば当たり前のように受け入れられる、村の人達が自分に優しくしてくれるという思い込みがあったのでしょう。そしてそれは大きな間違いだということ。「オリエンタリズム」と言いますか、未開な文化・社会、一段低いところに夢破れて都落ちした青年がそこで美しい異性と出会い、英雄になるみたいな物語はよくあるパターンなのですが、そういう物語のイメージを知らず知らず投影してしまった可能性がありますね。

 最近では『のんのんびより』が田舎をテーマにした作品で、一人女の子が都会からやってきていましたが、特に衝突は描かれていませんでした。普通にその田舎に溶け込んで、そこで楽しく過ごしていました。もっと適切な例では『ばらかもん』でしょうか?田舎に逃げ込んだ、悩める新進気鋭の書道家が田舎の生活で、成長するというストーリーですがこれも成功例。

 『ばらかもん』の事例は、青年が移り住んで周囲の少年・少女や大人との温かい交流を過ごすという点で、より想像しやすいケースでしょう。それでもやはり多少のストレスを感じるような不便、人の干渉が描いてありますが、最終的に人の暖かさ・優しさでそれは乗り越えられています。このように「田舎の人=やさしい」もしくは「田舎=都会よりものはなくとも心温まる幸せな暮らしができる」と自然と思い込む作品はおそらく枚挙にいとまがないと思われます。

 田舎で必要とされる自分(若者)、と言うのは間違いなくあるでしょう。しかし作品に出てくる若者というのはたいてい、夢破れたり挫折したといえども、容姿が優れていたり、何らかの特殊なスキル・才能持ちである事が多い。ラノベなんかだと「何のとりえもない普通の少年・青年だった僕」というのが強調されるかもしれませんが、必ず成功するにはそれなりの理由があるわけです。それをまるっと見過ごして、「行けば何とかなる」は無装備での登山に近いものがあるでしょう。

 山を舐めるな!田舎も舐めるな!ですかね。

 田舎に殺される―だったか?そんな本がありましたが、田舎では閉鎖的な社会で、毎回寄り合いに必ずでないといけない。そこにでないと、でなかった人の悪口が延々語られるという、女子か!というような習慣があるという話もあります。全てが全てそうでないにせよ、田舎では人と人との距離感が異常に近い、村一つが家族みたいな暖かさとコインの裏返しで息苦しさが存在することを理解しないといけません。

 きっちり調べた上でやらなければ成功するはずがないことを改めて理解すべきでしょうね。特に今の生活、ギスギスした暮らしで病む一歩手前のような人は衝動的に行動してしまいかねませんからね。

 田舎・移住先として人気なところでは長野・北海道・沖縄というのがあるそうです。まあ環境が豊かな所というのは「田舎」を求めているわけですから、当然でしょうね。

 一つ変わったところは、千葉。田舎&都会の便利さを両立しているというのがまあ、イイトコどりのような感覚で人気だとか。そういえば生活費月3~5万で自分でログハウス作って住んでいる人が増えている地域があるとか。九十九里町作田ですか。まあ自給自作で過ごせる分はいいとして、バラックというかドヤ街というか、こういうのが広がっていったらどうなるんでしょうね?

 気になって役所のHP見ましたが、特に若者誘致のための手当があるとかそういうものでもない感じですし、何か仕事があるのでしょうか?IT的な在宅ワークでほそぼそという感じなんでしょうかね?キャンピングカー生活をする人がアメリカでは珍しくないといいますが、いずれこういう土地でキャンピングカー暮らしをする人も出てくるんでしょうかね?

 もうひとつ変わったところで人気なのが、岡山だとか。というのもこれは、疎開的移住者が多いということのようです。岡山市活断層がなく、地震津波の可能性が低い&原発から120キロ離れていると。福島でつらい思いを味わった人たちが、何より選ぶ選択肢は原発津波のリスクが小さいことですからね。※そういうことを考えると、岡山は脱原発のメッカ・反自民のメッカになる可能性がある土地と言えますよね。統一地方選なんかありますが、岡山はどうだったか?県知事選などあれば注目してみたいでうね。

 田舎への移住が、役所の待遇・手当などがあって進んでいるとはいえ、年間1万人にも満たない8000人というレベル。自治体の支援策を利用した数で実際は2万人近いのでは?なんて言われていますが、4年間で約3倍に増えたと言っても、根付くかどうか…?ですからね。特に福島の影響もカウントされているでしょうし。

 以前、安倍政権で地方移住を促進するという話があったが、江戸時代の人返し令や帰農令みたいだなぁ―とつぶやいたことがありましたが、このような状態ではそれが進むことなどありえないのは明らかでしょう。東京五輪など一極集中を進める支援をこそすれ、地方分権はまるで進めていませんからね。しかも東京五輪後は公共事業もなくなり、人口問題=高齢化問題が深刻化すると言われていますし。

 そういえば「けぶりしてつけびよろこぶ~」といった田舎でのトラブルによる事件があったのは記憶にあたらしいことですが、田舎は年功序列というか、60歳くらいでも若者で、80歳以上の老人の世話をするのが当たり前のようなところがあります。そういう理不尽な対応に今の都会の人が反発してトラブルに成るのは当然起こりうること。

 高度経済成長は、地方から三大都市への流入・転出によって促進されたものですが、それほどではないにせよ、特定のターゲットの地方に人が住みたくなるようなポイント・エリアを作るべきではないかと思いますね。シルバータウンでもいいですけど。あまり既存の町・村に囚われるべきではないと思います。むしろ「少数の居住者を現地の人が受け入れる」という図式になるからこそ、トラブルになったり失敗するわけですから、はじめからゼロの町を作るべきでしょう。

 まあコロニー(植民都市)ですね。計画的にゼロから田舎コロニーを作っていくこと。そうやって初めて地方移住のような政策も成功するかと思います。数多くのいろんな背景を持つ人が移住して新しい文化を作りあうからこそ、新社会・文化が誕生して国が活性化すると思いますね。

 豊かな自然&暮らし=安い家・生活費。都会ほどではないにせよ、相対的にそこそこ高い収入。そういうモノを用意できない限り「移住」は成功しないでしょうね。それを作って社会を活性化させることも、経済成長政策の一つとして面白いのではないかな?と思いましたね。

 ※書き忘れていましたが、少子高齢化で大変だ!ということを、それこそ子供の頃から社会科の授業で習っていますから(農業の担い手がいないとか、嫁がいないとか)、そういう刷り込みが強烈なので、行けば「若者」である自分は大事にされる・ちやほやされて当たり前と思ってしまうのかもしれませんね。