てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

米軍属、裁判の対象拡大=日米補足協定が発効

米軍属、裁判の対象拡大=日米補足協定が発効:時事ドットコム
 去年の4月にあった女性暴行殺人事件以来、「軍属」の地位見直しが両国の間で行われていたわけですが、それが合意に至ったわけです。前回の事件では基地で働く民間人に過ぎなかったわけですが、地位協定上「軍属」として日本の警察の捜査・裁判に制限がかかっていました。

 オバマ政権が事件の解決に全面的に協力するという態度だったからこそ、特に問題にはなりませんでしたが、もし違うトップで、地位協定をタテに協力を拒否していたら無罪放免という可能性もあったわけです。

 それが見直しによって正式に「軍属」の対象から外れたことは一歩前進したことは間違いないことで喜ばしいことでしょう。しかし、これが「軍属」によるもの、軍人の犯罪だったらどうなるか?日米関係の不平等性は一向に変わっていないわけです。

 それこそドイツ並みに対等な関係にしていこうと常に丁々発止アメリカとやりあうくらいの態度で望んでもらわなければ困るのですが、そのような国益を守ろうという態度は今の政権にはありません。今後もそのような態度を持った首相は出てきそうにもないでしょうね。今の自民党太子党には、沖縄に対する思い入れがない。昔の自民党は沖縄を取り戻そうと必死になった時期・特別な感情がありましたが、今の太子党にはそういう歴史観がありませんからね。

 何か事件が起こって、トラブルにならない限り今回のように改善の動きが現れることはないのでしょうね。

今月の読んだ本(2016/11)

 相変わらずもう今月ではないですが、お気になさらずに(^ ^;)。荀子の下巻読んで、それについて単独で一本書く予定もありましたが、大して量がないので単独で上げるのは止めました。荀子上巻のところに追記することで済ませました。興味のある方はチェックしてみてください。→新釈漢文大系〈5〉荀子

 全然本読んでないなぁ…。老子と莊子は読んだんですけど、文字起こしがこれまた大変で、それを上げるまでに労力が色々かかるなぁ…と今から結構ゲンナリしております。しかし本読めなくなってますなぁ…。困った困った。

「反日」中国の文明史 (ちくま新書)/筑摩書房


 『「反日」中国の文明史』、文明史ってなんだろう?反日の源流・背景を探るとかじゃダメだったのかな?文化史という本も最近読んでアレだったけど、~~史ってハズレ多いのかな?まあ、内容自体は普通の本でハズレとはいえませんでしたけどね、これは。

 平野聡さんは尖閣を単なる領土問題ではなく、近代国際秩序以前の「中華秩序」「華夷秩序」に引き戻す戦略の一環と考えているようですね。対等な主権概念が存在せず、明確な上下の差異がある秩序に組み替えようとしているのだと。尖閣を「奪い」、日本を屈服させるもくろみがあると見てますね。

 出版が2014年当時なので、当時の韓国もその中華秩序に擦り寄っていると。まあそういう見方は当然存在するわけですが、 果たして今の中共指導部に現行国際秩序を破壊して、中国独自の秩序を東ア一帯に確立するという戦略性があるかと言われると怪しいですよね。

 むしろそういう戦略性があったほうが、これは実現不可能だと認識すれば途中で諦めるので、そちらのほうが好ましいんですよね。そういうロジックや構造を理解せずに、ただ今の成長をバックに調子こいて、「取れるものは取ってやれ!」という場当たり的な対応にしか見えないんですよね…。戦略性なき驕り≒暴走かと…。

 若手研究者だからでしょうか?日本からの視点・主張で、中国の主義・主張を否定するという体裁の研究者の本は珍しいですよね。若手のこういう本は今後増える傾向にあるのでしょうかね。あとどうでもいいんですけど、また黄巾&戦乱で人口が1000万人に激減してしまったという誤解がありましたね。

中国の論理 - 歴史から解き明かす (中公新書)


 大して気になったりすることもなかったのですけど、一応メモ。欧陽脩が五代は「嗚呼史」というように「嗚呼…」という史家の嘆息によって成り立っていると。当時の歴史家の傾向という意味で面白い話ですね。

 刑は士大夫に登らず=士大夫のような社会の上の階級と、庶民は別の秩序で存在している・動いているというのが元の言葉の意味なのだが、どうかな?まあ現在は高官には刑法が適用されない、二重規範みたいなそういう意味で用いられているのだけど。科挙の士を唐は内面バカにしていたというのはどういうことを言うのだろうか?

 士大夫が自身の利権を守るために抵抗する。その時の決まり文句が「人心を失う」。その結果士自身が軽視されるモンゴル・元の時代になるという流れ。

 皇帝=唯我独尊という理解もどうなのだろう?秦漢・唐宋・明清それぞれ皇帝の地位だったり、権威だったり、機能だったり異なるから、そんな簡単にざっくり行ってしまって良いのだろうか?まあ唐と宋ですら違いが大きいとか行政制度から云々すればいくらでも言えるだろうし、ここらへんそんなふうに言って大丈夫かなとか思いましたね。

 攘夷や夷務といった言葉が西欧諸国と付き合わなくいけなくなって、「洋務」という言葉に変わっていった。夷→洋という価値観念の転換は地味にポイントになりそうですね。中体西用、あくまで中心は中国の価値観念。エリートなら諸子百家などの知識を知っていて当然で、文書中にそういった古典の引用が所狭しと出て来る。

 康有為は儒教を「孔(子)教」化しようとしていた。教会の必要性を認識していた。当時は宗教なき国民国家はありえませんでしたから、非常にポイントを理解していた取り組みだといえますね。その康有為の改革が頓挫したことが中国の大きな挫折になったといえるでしょうね。翻訳に「雅」の壁があった。「雅」でない文章は明文・良文とされず、受け入れられなかった。

 しかし、梁啓超の文章にはもはやそのような「雅」は見られなかった。そういう伝統に引きずられずにただ淡々と論じる文章に変わった。よりプラグマティズム的な方向に進んだわけですね。陳独秀辺りにはまだそういう伝統的な傾向を引きずっていたと。梁啓超国民国家の必要性を説き、旧史からその淵源を探そうとするも、中国にはその先例がないと嘆いた。彼が来る国民国家のための新史観を打ち立てたのでしょうか?気になるところですね。

 あとどうでもいいことですが、若い頃の梁啓超って、楽天イーグルスの則本に似すぎですね。亡命→野球選手説を作ろうか(笑)。※リンク先に写真があります。ページ内容とは一切関係ありません

梁啓超(りょうけいちょう、Liáng Qǐ chāo) | 横浜国際オークション | 書画の部 | 出品受付のご案内 | 出品者ガイド

駐韓米大使マーク・リッパート、涙の離任会見

駐韓米大使、涙の離任会見 2年前に襲撃受け大けが

 駐韓米大使マーク・リッパート氏が政権交代で韓国を離れるというまあそんな話ですが、2年前に襲撃・テロを受けて傷を追った事件をそう言えば取り上げていなかったなぁということも思い出したので。

 自身は中国名を名乗り、子供に韓国名を名付けるほどの現地へ帰属意識がある外交官や大使というのはなかなかめづらしいのではないでしょうか?それこそローマ帝国のように世界を支配するには、世界各地への事情に精通した人材が不可欠で、現地へ骨を埋めるような本国と架け橋になるような人間が非常に大事ですね。

 こういう人が米の大使では当たり前というのならば心強いことこの上ないのですが、どうなんでしょうね…。外交下手米でそういう人材が豊富とは到底思えないんですけどね。

朴大統領が若く大物ではないリッパート駐韓大使に大満足なワケ - ZAKZAK
 ググっていたらついでにこんなの出てきたので余談ですが、日中韓とバランスの取れた人事という解説がありましたが、駐日大使のケネディさんはどうみても大使にふさわしい人物ではないでしょう。

 「大物度」が韓国的に重要で、日本や中国と比べて大物ではない!なんていう憤りがあるのだとか、「大物度」ってなんなんですかね?ポイントは国際情勢・東アジア情勢に精通しているかどうかでしょう。二世の閨閥政治家だらけの日本が言えることではないでしょうけど、実力なき世襲政治家を大使にして、外交がうまくいくとは到底思えません。「有名人」ではなく、「実力者」を外交のトップにつけてくれと要請してほしいものですね。

 当たり前のことなんですけども、東ア情勢において日本・中国・韓国とトータル的に考える必要性がある。最前線韓国に、仮想敵国中国。そして重要な拠点・中継地としての日本がある。マックス・ボーカス駐中国大使、キャロライン・ケネディ駐日大使、マーク・リッパート駐韓米大使は一つのチームとして考えられるわけですね、まあ他にもどこかの大使がはいっていてもおかしくないですけど。そういうチームとしての性格・バランスを考えるのも面白いですよね。

 そういう視点から次のトランプ大統領の大使人事を考えるのも一興かと思います。

 知らなかったんですが、このマーク・リッパート氏を襲撃した人物は、2010年7月に駐韓大使であった重家俊範に投石して、周囲にいた女性書記官に怪我をさせた人物、いわゆる極右(韓国思想的には極左なのかも?まあどっちでもいいですか)だったわけですね。

 警備の問題もさることながら、そういう要注意人物をあっちの公安みたいなものが厳重にマークしていなかったんでしょうか?普通はそういう場所に入れない、海外の高官・重要人物に近づけないようにさせるものではないんですかね?まあ、韓国のそういう行動は国際的信用を下げるだけでしょうね。