今月の読んだ本(2016/11)
相変わらずもう今月ではないですが、お気になさらずに(^ ^;)。荀子の下巻読んで、それについて単独で一本書く予定もありましたが、大して量がないので単独で上げるのは止めました。荀子上巻のところに追記することで済ませました。興味のある方はチェックしてみてください。→新釈漢文大系〈5〉荀子
全然本読んでないなぁ…。老子と莊子は読んだんですけど、文字起こしがこれまた大変で、それを上げるまでに労力が色々かかるなぁ…と今から結構ゲンナリしております。しかし本読めなくなってますなぁ…。困った困った。
『「反日」中国の文明史』、文明史ってなんだろう?反日の源流・背景を探るとかじゃダメだったのかな?文化史という本も最近読んでアレだったけど、~~史ってハズレ多いのかな?まあ、内容自体は普通の本でハズレとはいえませんでしたけどね、これは。
平野聡さんは尖閣を単なる領土問題ではなく、近代国際秩序以前の「中華秩序」「華夷秩序」に引き戻す戦略の一環と考えているようですね。対等な主権概念が存在せず、明確な上下の差異がある秩序に組み替えようとしているのだと。尖閣を「奪い」、日本を屈服させるもくろみがあると見てますね。
出版が2014年当時なので、当時の韓国もその中華秩序に擦り寄っていると。まあそういう見方は当然存在するわけですが、 果たして今の中共指導部に現行国際秩序を破壊して、中国独自の秩序を東ア一帯に確立するという戦略性があるかと言われると怪しいですよね。
むしろそういう戦略性があったほうが、これは実現不可能だと認識すれば途中で諦めるので、そちらのほうが好ましいんですよね。そういうロジックや構造を理解せずに、ただ今の成長をバックに調子こいて、「取れるものは取ってやれ!」という場当たり的な対応にしか見えないんですよね…。戦略性なき驕り≒暴走かと…。
若手研究者だからでしょうか?日本からの視点・主張で、中国の主義・主張を否定するという体裁の研究者の本は珍しいですよね。若手のこういう本は今後増える傾向にあるのでしょうかね。あとどうでもいいんですけど、また黄巾&戦乱で人口が1000万人に激減してしまったという誤解がありましたね。
大して気になったりすることもなかったのですけど、一応メモ。欧陽脩が五代は「嗚呼史」というように「嗚呼…」という史家の嘆息によって成り立っていると。当時の歴史家の傾向という意味で面白い話ですね。
刑は士大夫に登らず=士大夫のような社会の上の階級と、庶民は別の秩序で存在している・動いているというのが元の言葉の意味なのだが、どうかな?まあ現在は高官には刑法が適用されない、二重規範みたいなそういう意味で用いられているのだけど。科挙の士を唐は内面バカにしていたというのはどういうことを言うのだろうか?
士大夫が自身の利権を守るために抵抗する。その時の決まり文句が「人心を失う」。その結果士自身が軽視されるモンゴル・元の時代になるという流れ。
皇帝=唯我独尊という理解もどうなのだろう?秦漢・唐宋・明清それぞれ皇帝の地位だったり、権威だったり、機能だったり異なるから、そんな簡単にざっくり行ってしまって良いのだろうか?まあ唐と宋ですら違いが大きいとか行政制度から云々すればいくらでも言えるだろうし、ここらへんそんなふうに言って大丈夫かなとか思いましたね。
攘夷や夷務といった言葉が西欧諸国と付き合わなくいけなくなって、「洋務」という言葉に変わっていった。夷→洋という価値観念の転換は地味にポイントになりそうですね。中体西用、あくまで中心は中国の価値観念。エリートなら諸子百家などの知識を知っていて当然で、文書中にそういった古典の引用が所狭しと出て来る。
康有為は儒教を「孔(子)教」化しようとしていた。教会の必要性を認識していた。当時は宗教なき国民国家はありえませんでしたから、非常にポイントを理解していた取り組みだといえますね。その康有為の改革が頓挫したことが中国の大きな挫折になったといえるでしょうね。翻訳に「雅」の壁があった。「雅」でない文章は明文・良文とされず、受け入れられなかった。
しかし、梁啓超の文章にはもはやそのような「雅」は見られなかった。そういう伝統に引きずられずにただ淡々と論じる文章に変わった。よりプラグマティズム的な方向に進んだわけですね。陳独秀辺りにはまだそういう伝統的な傾向を引きずっていたと。梁啓超は国民国家の必要性を説き、旧史からその淵源を探そうとするも、中国にはその先例がないと嘆いた。彼が来る国民国家のための新史観を打ち立てたのでしょうか?気になるところですね。
あとどうでもいいことですが、若い頃の梁啓超って、楽天イーグルスの則本に似すぎですね。亡命→野球選手説を作ろうか(笑)。※リンク先に写真があります。ページ内容とは一切関係ありません
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