読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

オバマの参拝批判に見る米の対日観

 前回オバマ外交の稚拙さについて書きましたが、ではどうしてそういった稚拙な対応をしたのかという解説をしたいと思います。

 まあ、米は基本的に軍事大国であり、実力で何とか出来てしまうので外交が下手です。冷戦・第二次世界大戦は言うまでもなく、第一次世界大戦でもそうでしたね。外交でいくらでも何とかなったことを、戦争にしてしまっていますからね。外交で危機を未然に防ぐということが出来ません。

 何故危機を戦争にする前に外交で防げないか、または戦争というリスクを最小化することにしてしまうのか?それは見えている現実が歪んでいるから、認識が間違っているからであることは論をまたないでしょう。アメリカという歪んだレンズ・メガネをかけているがゆえに世界が歪んで見えているわけですね。

 歪んだ現実認識・理解からは自ずと誤った結論が導き出されるわけです。

東洋経済オンラインにあるダニエル・スナイダー氏のこれ(靖国参拝は日本の戦略的利益にとって無意味 toyokeizai.net/articles/-/28287)が、概ね米の学者が見ているパターンだと思います。こういうモノの見方からは大体次のような視点を見て取ることが出来ると思います。

 ①米は日本や地域の安全を「守ってやっている」と考える。守られてるやつが何ごちゃごちゃ言ってんだよという上から目線で外交を考える。②日本の信仰・宗教事情に配慮しない。③太平洋戦争で米の負の側面、否定的な性質を省みない。人種戦争(=人種差別)だったり、自己の戦争犯罪に向き合うことについて消極的または否定的。また東京裁判のような国際法的に無理がある行為について肯定的。ブッシュ政権時に東京裁判有効という宣言が下院を通過したことなどから明らかですね(上院時間切れ否決で成立しませんでしたけどね)。まあ、言うまでもなくイラク高等法廷見れば、正義の代理人という姿勢は明らかでしょうしね。④ようするに東アでの戦後体制見直しに否定的。

 まあ、そういうことが言えると思います。前々回書いたように、日本はこの東アの国際秩序を変えたいという欲求が有りますが、アメリカはそれを認めないという以前の段階として、まず自分達が正しい&戦前の日本は間違っていたという認識があります。よって、安倍政権は突然変異のようなものであって、一時的な現象であると見ているでしょう。安倍政権の次に出て来る政権が同じような主張をすると考えていない。その次の政権は再び既存秩序踏襲になると見ているでしょうね。それこそが日本人の多数はの意見だろうと。安倍の主張は殆どの日本人の主張ではなく、民意に支えられていないだろうと見ています。

 これらは半ばあたっているわけですが、前々回述べたように、そこに「法の支配」を求めているという日本人の正当な要求があることを完全に見逃していることは間違いないでしょう。ジョン・ダワー氏も自分が付き合っている「普通の日本人」は森の「神の国」発言に憤ったとあるように、彼らが考える普通の日本人というのは戦前の日本は間違っていたと考える人達でしょうからね。

 そこには一面の正しさがあって、集団自衛権の解釈変更などがあっても行使に慎重でしょうし、軍事行動について積極的な姿勢を示す日本人はもっと少ないでしょうしね。靖国についてもそこに積極的に支持を示すより反対を示すそうもまだま多いわけですからね。

 アメリカは自分達が過去日本にひどいことをしたという意識、借りや負い目があるという意識はないので、日本に対して尊重や配慮はしません。多少そういう物があるとしても、「守ってやってる」意識があるので上から下に要求するという態度になります。日本は軍事的にコストを払わない=対米軍事依存。である以上米の戦略に忠実であるべきだ。守ってやるから靖国参拝のような秩序を乱す行為は慎むべき―まずこのような姿勢で間違いないでしょう。そしてそれは安倍政権が軍事的な対米貢献を出来ない以上正しい主張であるともいえます。

 ①日米安保条約の誤認、基地提供と防衛義務という平等性の認識の誤り。②靖国参拝という日本人の心性・内面への配慮の欠如。プライドに関わってくる事にきちんとした対応を取らねば、反感を買う。反米感情を育てるという認識の欠如。

 この二点を主張することが出来るでしょう。米兵が死んだ!!ということに対して、いわゆる血を流すという人的貢献に非常にナイーブなアメリカらしい発想といえば発想ですね。安倍政権としては靖国参拝をしたいのであれば、まず対米軍事貢献をすることでしょうね。そうしない限りは米は配慮してくれないでしょう。そういうポイントを稼いだ上で、どうしても参拝したい!と主張して初めてこの政権ではトーンダウンすることでしょう。つまり今の米は戦争する意図がないので、靖国参拝の了解をえるのはまず無理ということですね。

 言うまでもなく対米関係重視という姿勢・方針では、日本の戦略目的達成(靖国参拝ではなく「法の支配」の国際秩序の形成の方ね)はかなり難しいでしょうね。まあ、今更な話ですけどね。個人的にはアフリカなどのPKOで欧州との外交を深めること。EUに入るくらいの気持ちがないと日本の外交的戦略は達成されないと思いますけどね。

 まあ次は日本が戦略的目標を達成するにはどうすべきかという話でもしたいと思います。安倍政権を見るに、自民党は対米従属のままで靖国参拝というセコイ目標を達成することで満足するような気がします。そこにグランドビジョンのようなものはなく、ちょっとした成果をその都度かすめ取ろうとするセコイものになるでしょうね。

 上でチラッと書いたように、だったら軍事的に力を持てば発言権がますから軍拡すればいいんじゃない?という声も必然的に起こってくるでしょうね。まあそんな話もしたいと思います。

靖国関係の記事一覧

日本の声を聞かない米は反米派を育成している 

The economistから安倍外交の失策について 

靖国参拝について日本国際問題研究所の小谷哲男さんの分析 

この記事は時系列的にココです。

靖国批判に見るオバマ外交の稚拙さ

東京裁判とサンフランシスコ体制を結びつける愚かさ

維新、河野談話の撤回要求へ

靖国報道に見る自民族中心主義と「失望」